イズっち

【遊んでみた商業ゲーム紹介】
 『ゼルダの伝説』(FC/A・RPG)

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『ゼルダの伝説』(FC/A・RPG) 〜2009.3.6
ファミリーコンピュータ ディスクシステム用/アクションRPG
任天堂
1986.2.21発売

Wiiバーチャルコンソール用
2006.12.2配信開始/500円
公式サイト
 初めに断っておきますと、我が家にファミコン本体がやってきたのは既に『ドラゴンクエスト3』が出ていた頃なので、僕はこのゲームをリアルタイムには知りません。『ゼルダの伝説』シリーズを初めて遊んだのはスーパーファミコン版で、このディスクシステム版(初代)は今回バーチャルコンソールでプレイするまで触れたことすらありませんでした。

 なので、今回の記事はいつもにも増して「昔はこうだったんじゃないか」という推測を含むことを御了承下さい。


 初めに書いたように僕にとっての初ゼルダはスーファミ版の『神々のトライフォース』でして、謎解きもアクションも絶妙なバランスで計算されたあのソフトは芸術だとすら思っていたのですが。ゲームボーイアドバンスにリメイクされた『神々のトライフォース』のレビューに「何処に行っていいか分かりづらい。不親切なゲーム」と書いている人がいてショックを受けたことがありました。
 あの絶妙すぎる難易度で「不親切」だと言われるのか、と。確かにそれ以降のゼルダは「ヒント」をくれるキャラ・場所などが充実して詰まりにくくなってはいるのだけど……『神トラ』を不親切だなんて言うなんて、どんだけヌルイゲームライフを送ってきてんだよとか憤慨していました。


 ゴメンなさい。
 そんな僕でも、この初代『ゼルダの伝説』は「何処に行っていいか分からなかった」です。

 オマエはどんだけヌルイゲームライフを送ってきたんだよと言われようとも、このゲームから感じる「何をしていいか分からない」感覚は否定出来ません。最初にもらえるのは剣だけで、その後は完全にフリーダム。入るべきダンジョンがどこにあるのか分からず、彷徨っている間にザコ敵に瞬殺される日々が続きました。

 象徴的な話を一つすると―――『神トラ』以降のゼルダは、爆弾で壊せる壁には“ヒビ”や“亀裂”が入っているのが基本です。じゃないと、どこに爆弾を置いてイイか分かりませんからね。でも、この初代『ゼルダ』にはそんな生易しいヒントはありません。
 勘で爆弾を置いて壊れるか試すしかない―――もちろん爆弾には個数制限があって、以降の作品よりも爆弾は手に入りにくい印象まであります。


 なんじゃこりゃー!どうやってクリアすればイイんだよー!と途方に暮れました。
 しかしコレ、恐らく当時のゲーム業界ではこれがスタンダードだったんじゃないかと思ったのですよ。もちろん僕は当時を知らないのですが、時系列を考えれば何となく思うところがあるのです。この3ヵ月後に『ドラゴンクエスト』が発売され、日本のゲーム業界は一変する―――それ以前の作品だからこそ、なのではないかと。



○ コミュニケーションをさせるゲーム
 何年か前、このゲームの作者である宮本茂さんが講演にて「『ゼルダの伝説』は一人で遊ぶゲームだと思われているでしょうが、1作目を作った時にはプレイヤー同士が情報交換をしてもらうことを狙いました」と仰ったのを聞いたことがあります。当時は確か『Wii Sports』のヒット中ですから、「ゲームとコミュニケーション」みたいな話で、その延長線上に『どうぶつの森』や『Wii Sports』があるという展開だったと記憶しています。

 当時は「へー、そんなもんなんだ」と思っただけなんですが。
 言われてみると、それは別に『ゼルダの伝説』に限った話ではないんですよね。84年にアーケード版が出た『ドルアーガの塔』なんかはノーヒントではとてもじゃないけどクリアできないことで有名でしたし、そこまでいかなくても『ゼビウス』の隠しキャラ以降は「プレイヤー同士が情報を交換する」こともゲームの一部になっていたように思えます。

 それこそ『スーパーマリオブラザーズ』のワープとか1UPキノコとかだって、自力で見つけたのではなく友達や兄弟から聞いて知ったという人が多いでしょうし。
 時間軸は前後しますけど、『ドラゴンクエスト』だって初期の『2』などでは「こんなんどうやって見つけるんだよ!」というところがあると言いますもんね。



 『ゼルダの伝説』内で「ミンナニハナイショダヨ」とルピーをくれる隠し部屋の住人は、裏を返せば「みんなに教えると喜ばれるよ」という宮本さんからのサインだったのかもなーと思います。最初のダンジョンがどこにあるのか分からないのも、アイテムの効用が分からないのも、爆弾をどこにセットすれば良いのか分からないのも、当時としては「友達同士で情報を交換してね」ということだったのだろうと思いました(もちろん自力でクリアした人もいたでしょうが)。



 しかし、この3ヵ月後に『ドラゴンクエスト』が発売され日本のゲーム業界は一変します。
 『ドラクエ』がスタンダードになっている時代にゲームを始めた僕のような人間には、当たり前すぎてネタになっているような『ドラクエ』の台詞達―――「ようこそ!ここは○○の町です!」「ここから××に向かうと△△がありますよ」「武器は買ったら装備しなきゃ意味ないですよ」といった住人の言葉は、それ以前の『ドルアーガの塔』や『ゼルダの伝説』といったゲームに「何していいか分からない」と途方に暮れてしまった人々を、一歩ずつ前進させる効果があったのかなと思います。

 先ほども述べたように、その『ドラクエ』ですら初期は理不尽な部分もあったと聞きますが……『ドラクエ』が日本のゲームのスタンダードになり和製RPGが溢れていくに従って、「友達同士で情報交換をするゲーム」から「一人でもクリア出来るゲーム」がメインになっていったんじゃないでしょうか。
 喩えば、スーファミ時代の頃には既に「ネタバレになるからどこまで進んだか言うなよ!」という風潮はありましたし、現在でも「一人で遊ぶゲーム」「ストーリーメインのゲーム」を「ゲームらしいゲーム」と呼んでいる人は多いですからね。


 そして、『ゼルダの伝説』シリーズもスーファミ版『神々のトライフォース』以降は明らかに「一人でもクリア出来る」ゲームデザインになりましたよね。もちろん一つ一つの謎に詰まることはあれども、初代のような「何をしていいか分からない」状況にはなりにくくなりました。これも、『ドラゴンクエスト』がゲームを「一人でも楽しめる娯楽」に変えてしまった(変えてくれた)からなのかも知れませんね。



 『ゼルダの伝説』はアクションアドベンチャーを名乗り、『ドラゴンクエスト』はRPGを名乗ったことで、日本では『ドラゴンクエスト』こそがRPGの代表格のように認識されているでしょうが。『ドラゴンクエスト』が日本のようにヒットしなかった海外においては、RPGというジャンルの定義が日本と違うのも当然ですよね。





 さて、話を戻します。
 「友達同士との情報交換が必須」とされたこの初代『ゼルダの伝説』―――今遊ぼうとしても一緒にやってくれる友達もいないし、攻略本も売っていないし、と。なかなか敷居が高いゲームだとは思います。じゃー、今ではもう楽しめないゲームなのか?とお思いの方がいらっしゃるかも知れませんが……



 
攻略サイトに頼ればイイじゃない!
 いやまぁ、どうしても自力でクリアしないと気が済まないんだ!と言う人もいるでしょうし、僕も最初はそう思っていたんですが……最低限、最初のダンジョン(LEVEL1)と2番目のダンジョン(LEVEL2)の場所くらいは調べないとキツイかな。
 その2つをクリアすれば、最大ライフも増えるし、アイテムもそれなりに揃ってくるので自由に探索が出来るようになるのですが。それまではダンジョンを探して彷徨って、その間に敵に殺されまくり、またスタート地点からやり直し、というのがパターンでして。ちょっと軽いトラウマになりました。

 というか、攻略サイトで情報を調べまくっても純粋にアクションゲームとして難易度が高いんですよね……
 ルピーも慢性的に足りないし、敵を倒してもたまにしかルピーを落としてくれないし。




○ パズル要素よりも未知なるダンジョンを突き進むドキドキ
 『神々のトライフォース』以降のゼルダシリーズというのは、どちらかというと「パズルゲーム」に近いダンジョンで。ここで手に入れたアイテムを使って、ここでこうして、こっちをこうして、そこを通す……みたいな“理詰め”で解いていくゲームだと思います。それはそれで非常に面白いのですが、正直その“計算されているカンジ”が苦手な人もいるんだろうなとは思います。

 この初代『ゼルダ』の場合、そもそもアイテムの種類がそれほど豊富ではありません。
 なので、持っているアイテムをそれぞれに駆使して解いていくというよりは、未知なるダンジョンを一部屋一部屋進んで敵を倒していくゲームという印象を受けました。スーファミ版以降を「完成された作品」と呼ぶのなら、この初代『ゼルダ』は非常に荒っぽい作品だとも思うのですが……その“計算されていないカンジ”が、逆にリアルなダンジョン探索という雰囲気を醸し出しているとも言えますね。ホント、敵が強いしね……


 アクションゲームとしての操作感は極上。
 そりゃ『スーパーマリオ』の後の作品ですからね。ダッシュや回転切りはないものの、ブーメランや弓矢の感覚は以降の作品と比べても遜色がありませんし、「操作しているだけでも楽しい」という任天堂アクションゲームの真髄を感じます。マップは広大ですが、隠しトビラにてワープすることが可能ですし、笛を使うことでクリア済ダンジョンの入り口に飛ぶことも出来るそうな。

 「謎解きが理不尽」のように書きましたが、フィールドを探索出来るようになればある程度のヒントは得られますし、根気と時間さえあれば一人でもクリア出来ないバランスではないと思います。僕にはそんな根気はありませんでしたけど(笑)。


 唯一「これどうなの?」と思ったのはセーブ方法です。
 実は裏技があったそうなんですが(マジかい…)、通常の方法だとゲームオーバー時にしかセーブが出来ません。しかし、ゲームオーバーになった回数はしっかりとカウントされるので、セーブの度に「やられた」感が残るのがイマイチ納得がいきませんでした。バーチャルコンソールでプレイしているのだから中断機能を使えばイイのですが、僕はビビりなので、ダンジョンをクリアする度にワザと1回ゲームオーバーになってセーブしていました。

 当時はセーブ機能のあるゲームがほとんどなかったとは言え、こういう仕組みにしたのは何故だったんでしょうね?




○ 総評
 取っ付きにくいのは確かだと思います。
 「初めて『ゼルダ』やるんだけど、どれから始めればイイ?」という人には、『夢をみる島』辺りをオススメします。


 しかし、それだからこその魅力があるのも確か。
 アクションゲームとしての難しさ、広大なマップを自分で冒険している感覚、最大ライフが上がり剣が強くなり指輪を手に入れどんどん強くなっていることを実感できるゲームバランス―――「誰でも楽しめる」スーファミ版以降の『ゼルダ』とは違う、厳しいけれどやり応えのある『ゼルダ』だと思うのです。

 僕自身は終盤時間がなくなってプレイが出来なくなってしまったのですが、クリア後には更に難易度の上がった「裏ゼルダ」なるバージョンも待っているとか。半端ねー。これだけのボリュームと遊び応えのあるゲームを、この時代に作ってしまうのだから脱帽です。


 


自作漫画を描いています
▲ 『ちのしあわせ家族』連載中。よろしければどうぞ。


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