【『西の善き魔女』感想】
 スタッフ&キャスト
 第1話「エディリーンの首飾り」
 第2話「子ヤギたちの行方」
 第3話「秘密の花園」
 第4話「花園の暗闇」

  公式サイト



■ 『西の善き魔女』 スタッフ&キャスト
<スタッフ>
 監督:中山勝一
 シリーズ構成:冨岡淳広
 キャラクターデザイン:相澤昌弘
 設定:小林 誠
 美術監督:飯島寿治
 色彩設計:谷本千絵
 撮影監督:岩崎 敦
 編集:瀬山武司
 音楽:七瀬 光
 音楽制作:Mellow Head
 音響監督:菊田浩巳
 制作:ハルフィルムメーカー
 漫画・キャラクター原案:桃川春日子
 原作:荻原規子


<キャスト>
 フィリエル・ディー:折笠富美子
 ルーン:平田宏美
 アデイル・ロウランド:斎藤千和
 ユーシス・ロウランド:谷山紀章
 レアンドラ・チェバイアット:田中理恵
 ロット・クリスバード:石田彰
 マリエ・オセット:藤村歩
 ライアモン・リイズ:中田譲治
 イグレイン・バーネット:斎賀みつき








■ 『西の善き魔女』 第1話 「エディリーンの首飾り」
脚本:冨岡淳広 絵コンテ:中山勝一 演出:布施木一喜・名取孝浩 作画監督:相澤昌弘

 ようやっと1話視聴できました。
 原作は未読。コミック版はよう分からんのですが、小説版はそこかしこのサイトさんで評判良かったんで視聴リストに入れていました。主演が折笠さんですしね。そしたら、斎藤千和も出ててビックリ。『サムライ7』ではイチャイチャしてる二人ですが、こちらでは果たして。



 ○ 冒頭から怒涛の説明台詞でビビった
 ・主人公は預けられたコ
 ・実の父親は近くの塔で研究に夢中
 ・その父親には弟子がいる
 ・実の母親は亡くなっている
 ・主人公は15歳になったので舞踏会に行くことに
 ・今日は女王の誕生日
 ・主人公はおとぎ話に詳しい(他の人はその物語を知らない)

 とまぁ、冒頭からの数分でコレだけ駆け足で説明してきたワケなんですが・・・・・・意図としては、主人公達が送っていた平穏な日常を事件でぶち壊そうとするなら、その前に設定を説明しておかなきゃってことなんでしょうけど・・・


 ・父親は何故か主人公の名前を間違える
 ・父親は女王の誕生日と主人公の誕生日をごっちゃにしてる(?)
 ・母の形見は行方不明になった王女のもの
 ・主人公の母親は実は王女だった
 ・主人公が母の名前だと思っていたものは、とある言語での「女性」という総称だった
 ・父親が研究していた学問は“異端”らしく、異端審問会に見つかるとマズい
 ・主人公が知っていたおとぎ話も“異端”だった
 ・だけど、塔内部で襲ってきたのは異端審問会ではない別の勢力


 上で説明した設定が、実は不確かなものだったんだよと次々と崩していくんですが。
 正直なとこ、説明台詞だけでとりあえず理解した設定なので、ぶち壊されたところで何の感傷も湧いてきません。育ての親であるおじさんとおばさんが殺されたというのも、その辺にいる一般人が殺されたのと大して違いはなかったんじゃないかなぁ。

 それとちょっと似たような理由なんですけど、怒涛の展開にキャラが動かされすぎて、どのキャラもどんな性格なのかよく分かっていないというのは辛いかなぁ。『シムーン』に比べれば全然マシという気もしますけど(笑)。これだけ多くのアニメが放送されている中、初動で「継続して観るか/切るか」を判断するにはキャラの魅力というのは重要ですからね。今のところ、フィリエルがキレやすいということくらいか。



 小説の原作を1クールのアニメにするのだから相当詰め込まなきゃならんかったのでしょうし、第1話のラストまでにある程度の事件を起こして日常を崩さなきゃならなかったのでしょうが―――もうちょっと、崩される前の日常を描いてくれた方が、全てを失った主人公の絶望感が伝わったんじゃないのかなぁと残念なキモチになります。やろうとしていることは面白いと思うからこそ―――




 ○ どういう話になるのか第1話ではさっぱり分かりませんが
 ですが、詰め込み過ぎ・急ぎ過ぎという点を除けば好印象なところも沢山。
 前情報を全く入れなかった僕は、「魔女」というタイトルからいわゆる皆が想像する中世ファンタジーみたいな話なのかなぁと思っていたんですが。“異端審問”などの言葉から考えるに、「魔女」というのは人ならざる力やその研究という、史実にあるような「魔女」という蔑称がベースにあるのかなぁと思いました。どういう話に展開するのかまだ分かりませんけど、「魔女」だったり「学問」だったりを単純に全肯定(or全否定)するような作品にはならなそうで楽しみ。

 どうやらメインの二人はフィリエルとルーンになりそうな感じなんですが、本を燃やす時に見られた、学問というか書物に対する考え方の差が面白かったです。メイン二人の意見を対立させる辺り、「思い出も大切だけど」という台詞は今後の重要なキーワードになりそうですが、果たして。
 また、“おとぎ話に詳しい”という設定が実は深い意味があったというのは、「そこを拾うんだ!?」と良い意味でで驚きました。フィリエルとルーンだけが“おとぎ話を知って”いることと、第1話でその本を燃やしたことが今後に上手く繋がってくると良いんですけどねぇ・・・




 あとはキャラかなぁ。
 斎藤千和のアデイルはちゃっかり首飾りを預かったり、なーんか怪しいような。斎藤さんの黒い役は観たことがなかったので、黒い役でいてくれ!と密かに願っております(笑)
 あとは、石田彰がイイカンジに気持ち悪い役で面白かった(笑)




 第1話だけでは判断できないような内容なんで、続けて第2話・第3話と視聴できるような状況はラッキーだったかも。
 あと、個人的には1クールというのがありがたいんですよねぇ。他の作品はどれも2クールっぽいので、どの作品も一気に盛り上がってクライマックスとかに向かわれるとしんどくなるので・・・・


 






■ 『西の善き魔女』 第2話 「子ヤギたちの行方」
脚本:冨岡淳広 絵コンテ:笹木信作 演出:小坂春女 作画監督:古賀準二

 
何だこのダイジェストアニメは!!!

 テンポが早いとか詰め込みすぎとか、もはやそんな次元は軽く超越しているかのように、次から次へとシーンが切り替わってガシガシ進んでいきます。ルーンが「僕がいない間に君はすっかり城の人間に」と言っていたけど、フィリエルの一挙手一投足を見守っているはずの視聴者でも「いつの間に!」というペースで順応しているので、もはやワケが分からない・・・・

 50話のアニメを2時間の劇場アニメに詰め込んだというか、1年分の大河ドラマを3時間に凝縮して放送しているかのようなムチャっぷり。あまりに早すぎて、キャラ同士の関係性構築とか心理描写なんかが一切無視してストーリーだけが進んでいるような印象すら覚えます。

 いや。もちろん、後から冷静になって考えると、あーそうかあのタイミングでフィリエルとアデイルは友達になったんだとか、ユーシスの葛藤はあそこで描かれていたんだとか、頭では理解できるんですが・・・・・・視聴者の頭の回転スピードを無視したペースで進んでいくので、よほど回転の早い人間じゃなければ楽しめないんじゃないかと不安になってきます。
 僕は状況を把握するので精一杯で「面白い/面白くない」を論じるレベルじゃなくて、感想を求められたら「早い」としか言えないくらいです。ストーリーの本筋はとても面白そうなので、原作が人気というのは至極納得なんですが―――これ、原作ファンはどう捉えてるんでしょうね。「あのシーンがカットされてる!!」とかのレベルではもはやない気がするんですが・・・


 第2話の時点で「2クールだったら面白くなったろうになぁ」と思わせる辺り、色んな意味で凄すぎる・・・・・・



 ○ 斎藤千和はフツーにイイコでしたよ
 ちっ・・・期待していたのに。でも、アデイルとフィリエルのイチャつきっぷりは萌えるので別に良いか。
 ストーリーの方は超スピードで何が何やら分からないまま進んでいますが、キャラについては少しずつ理解でき始めた感じです。フィリエルは典型的な元気娘で、アデイルは典型的な箱入りお嬢様で、ルーンは典型的なヲタク、ユーシスは典型的な善人側の貴族、ロットは典型的に胡散臭いヤツでした。冷静になると、キャラはびっくりするくらいフツー。フツーなんだけど、個人的には折笠さんの能動的な役って美羽を除けば久々なので嬉しいキモチも強いです。


 一国の女王候補のアデイルがどうしてフィリエルを助けようとしたのかとか、あんなに必死になって救おうとしたのか―――後から考えると、イトコの可能性が高いから仲良くできる女友達として接していたと分かるんですが。「私は女王の座を譲る気はありません」と、もう一人の女王候補には敵愾心全開なんですよね・・・・・・どういう真意なのか。

 フィリエルの性格は「過去を見ないで未来だけを見る」ということで、第1話で母親の本を燃やしたことがキャラ描写の一環となっていた模様。反対にルーンは、彼らから受けた仕打ちをいつまでも引きずっていたり・・・この辺りの対比も、第1話が上手く効いています。これらのキャラ付けがメインストーリーにどう影響を与えるのか、楽しみにしています。



 ○ 蒼天の青玉、普通に返ってきた
 まったく。アデイルはいいこちゃん過ぎて困る・・・・

 でも、どうやらこの物語は、アデイルともう一人の女王候補が貴族間の勢力図なんかを交えながら対立しているところに、貴族の後ろ盾を持たないフィリエルが入ってきてしまい―――また、その3候補と無関係なのかは分からないんですが、国のあり方そのものを変革させてしまおうとする集団がそこに入り乱れての争いになるんじゃないかと推測しています。
 そう考えると博士の研究を“異端”とする現女王勢力と、“異端”を利用してのし上がろうとする謎の集団の対比と。また、おとぎ話を“異端”と知りつつ覚えているフィリエルやアデイルなんかの立場が微妙な危うさを持っていることに気付きます。フィリエルにおとぎ話を託したという母親は元王女なので、ロウランド家は“異端”に対しての考え方が現女王とは違うのかな? アデイルとユーシスでも考え方は違っていそうな気もしますが・・・


 とにかく蒼天の青玉のおかげで、アデイルが王女の娘であることが証明されました。
 なんか・・・・・・・物凄く御都合主義なアイテムだな・・・・・・・・『舞-乙HiME』の蒼天の青玉にもこの機能があれば、あんなに話がこじれることもなかったのに。







 とりあえず第2話まで観た感じでは「早い」としか思えないなぁ・・・
 筋だけ見たら面白そうなんですが、どんどん話が進んでいくので観ていて全く安心できずに疲れてしまいます。次回からはお嬢様学校にでも通うのかな・・・・・そこから一気に緩いペースになる可能性もありますけど。果たして。


 







■ 『西の善き魔女』 第3話 「秘密の花園」
脚本:河原ゆうじ 絵コンテ・演出:吉田徹 作画監督:さのえり

 
ワケ分かんねええ!!
 何かもうテンポが早いとか色んな要素を詰め込み過ぎという言葉すら手ぬるい、これひょっとして第1話、第2話、第3話と一つ一つが独立した短編アニメなんじゃないかってほどの切り替わりの早さ。フィリエルも第1話ではもうちょっと節度のあるコだと思ったんですが・・・それ以前に、第1話であれだけセンセーショナルなことが起こったのに、何のよどみもなく学園生活を始めさせる辺りが凄いです。一応ロゼリットだか誰かが落ちたときにオジさんのことを思い出してたみたいですが、その割には細かいことを全く気にしない彼女の性格が出過ぎているので、細かい心理状況なんかちっとも分かりません。


 そもそも、第1・2話に出てきたキャラですら把握しきれていない状況で、既出キャラが誰一人いない修道学校に飛び込ませる辺り、視聴者のキャパを無視しているとしか思えない。出てきたキャラも、仲良くなる兆しが出てきたと思ったら数後には死んでるし・・・
 なのですが。実は、こうして視聴者に負荷を与えつつ、自分達の描きたいものをどんどん見せていく作品は個人的にはキライじゃなかったりします。ポンポン話が進んでいくのは観ていて飽きませんし、刺激的な事件が次々に起こった方が密度が濃いと感じられますし。後は、それらの事件たちが有機的に繋がるかどうかと、尺が1クールしかないからしょうがなく密度を濃くしているんじゃなければイイというニ点ですね。そこの意識次第で超駄作にもなれば、傑作にもなると思います。




 ○ 学校パートは軽く流すのだと思ったんですが・・・
 能登麻美子を始めとして、なかなかキャラが豪華です。
 このまま学校パートで終わるとは思えないので(逆にそうだったら神アニメだけど)、後の「国がどうなる」みたいな話に序盤の学校パートがどう絡むのかが焦点になるかなぁと。「オマエそれが言いたいだけだろ」と言われそうですが、『舞-乙HiME』なんかはこの学園パート→戦争パートが絶妙に繋がっていたからこそだったワケで。単に挿入話として学校パートを描いただけじゃないんだと期待したいのです。


 新キャラいっぱい出てきましたが・・・名前が覚えられない。
 公式サイトのキャラクター欄も、第1話に出てきたフィリエル、ルーン、アデイル、ユーシス、ロット、マリエにオジさん・オバさん、まだ出てきていないチェバイアット家のお嬢様と、重要人物っぽい博士とヒゲの男―――残りの欄が2コしかないんで、キャラはそんなに出てこないんだと思ってましたが。こんなにいっぱい出てくるとはなぁ。


 ということで、整理します。名前はEDクレジットから抜粋
 ・イグレイン=斎賀みつき
 名前はクレジットされてたけど、どの人でしょう・・・ロゼリットを見守っていた人かなぁ。
 まんまチエ・ハラードなヅカキャラで笑ってしまったのですけど。クレジット位置を考えるに重要人物かと。

 ・シスター・レイン=田中理恵
 田中さんはチェバイアット家のお嬢さん役という前情報があったので、これはニ役ということでいいのか。それとも、この二人には何か繋がりがあるのか・・・とりあえず、ドロドロした学園モノには必須の“怖いけど実はいい人”役が出てきてくれたのは良かった。それが『舞-乙HiME』でイジメる側で新境地を開いた田中さんというのも興味深い。

 ・シザリア=能登麻美子
 熱烈に祈りを捧げる、修道学校では必須のキャラ。この作品でいう宗教はキリスト教とは違うみたいですが、西洋の歴史で「魔女狩り」や「異端の学問」に対してキリスト教がどういう役割を担っていたかということを考えると、単なるチョイ役では済まされなさそうなキャラだと思います。相互理解なのか、フィリエルを追い詰める役なのか―――僕はアデイルにこういうポジションを期待していたので、アデイルがデレモードまっしぐらだった分、彼女の登場は嬉しい限り。
 しかし、絶対に裏に何か抱えてるだろう役を能登麻美子にやらせるとは・・・・・・『マリみて』観たことない僕でも「いいのか?」と不安になります。

 ・ラヴェンァ
 生徒会長。黒い巻き髪でどS。エロイ。
 こちらも学園モノには必須の黒いイジメ役。しかし、堂々と正面切って「服を脱ぎなさい!」とは・・・・グッジョブ!
 ロゼリットの話では「この国を変えてくれる人」。色んな意味でフィリエルのキャラと対比させてくれそうなキャラになりそう。

 ・リティシァ
 副長の一人。

 ・ヘイラ
 副長の一人。

 ・ロゼリット
 生徒会長派のパシリ。生徒会長を妄信しつつも、フィリエルの天然っぷりにちょっとずつ変わりつつある・・・と思った矢先に。
 彼女の死とオジさんの死をリンクさせるのは上手いなぁと思いました。

 ・シスター・ナオミ
 敵国の男を誘惑してどうにかすることを授業していた人・・・かな

 ・ヴィンセント
 審問団の一人。アデイルの小説のファン。

 ・レーリア
 審問団の一人。アデイルの小説のファン。三つ編みが個人的には好み。



 とりあえず王道だけど話を広げられそうなキャラが揃っています。
 個人的には、第1〜2話で平民のフィリエルと貴族のアデイルやマリエが仲良くしていられることに違和感覚えて、「コレはこういうとこ気にしちゃいけない作品なんだ」と割り切って観ることにしてたんですが。第3話では身分の違いが重要なタームになっていて。結局どっちなんだと混乱しちゃったところもありました。あの地方だけ異常だってことなのか? なら、フィリエルの空気読まなさ加減もムリがないという気も・・・・



 ○ ちょいちょいスパイスはいい味出してるんだけどなぁ
 アデイルの持たせた小説はどうせおとぎ話とかそういうのなんだろうなと踏んでいた分、開いてみたら思いっきりボーイズラブでムチャクチャ吹いた。しかも、これがちゃんと伏線になって、修道学校のファンが手助けしてくれることになるという(まぁ、ど忘れしていたフィリエルもどうかと思うけど・・・)
 同性愛の類は小さな集団で完結していた分、こういう時代の方が多かったんではないかという説もあるんですが―――流石に同性愛を題材にした文学に萌えている女性はいなかったでしょうね。でも、だからこそ一気にアデイルを好きになったぜ!!てゆうか、幾ら現代の腐女子の方々でも、実の兄貴で妄想したりなんかしないと思うんだけどなぁ・・・・強いなぁ、アデイル。
 おかげで、ただチェスをやっているだけのシーンですら、非常にエロく見えてしまって困る!


 生徒会長派の嫌がらせは、暗い部屋に連れてこられたり、服を脱げとか言われたり。
 地下牢に裸で監禁でもされるんじゃないかと期待したんですが、流石にU局アニメでもソレはムリでした。ちっ・・・ルーンには拷問させたくせに。まぁ、脱衣を強要させてる時点で既にエロかったから良いんですけどさ。下着姿が見たかったんじゃないんだ!ひん剥かれている姿が見たかったんだ!!(もっと最悪)


 この国が「西の善き魔女」と呼ばれる所以は、表向きでは戦争を起こさずに対話で解決する国だからということだったが、本当のところは修道学校で男をトリコにさせる女を養成して送り込む体制が出来ていたからだこそ!な、なんか・・・凄いよ。ガルデローベ以上に凄まじい学校だよ。これ、アデイルが女王の座を狙っていたり、シザリアが何か含んだ表情をしていたりの理由の一つなのかも知れませんね。
 現体制を打倒したいというキモチも分からなくない。作り手も、それは意図しているんでしょう・・・・・・敵となるであろうヒゲ男達にもそれなりの正義があることを見せつけ、それを最後にフィリエルに否定させる、ってとこかなぁ。


 また、劇を通じてこの世界での文明レベル・一般人の文化レベルを描いておいたのも、今後に向けて好材料かな。中世らしさがイマイチ分かりにくかったですから。「騎士と竜と女神・・・・この話には何かいわれがあるのかしら」。これは一般人でも知っている物語と宗教と“異端”であるおとぎ話を繋げる台詞かも・・・どう繋がるのかは分かりませんけど。





 というワケで、ルーンとマリエが合流して修道学校編は来週も続きます。ようやく話が落ち着いてくれそう。
 しかし、ルーンはともかくマリエはほとんどキャラが見えてなかった分、合流されてもまだ何とも言えないというのが本音。まだまだどうなるか分かりませんが、面白くなりそうな要素はそこらに配置されているので何とか期待をしたいところです。


 







■ 『西の善き魔女』 第4話 「花園の暗闇」
脚本:杉浦真由 絵コンテ:福田道生 演出:嵯峨敏 作画監督:日高真由美

 ようやっと話が落ち着いて、学園での日常が描かれたり、学園編での当面の目標(生徒会長とのフェンシング対決に勝つこと)が提示されたり、どうやらこの学園編自体が今後描かれそうな王宮での勢力争いの縮図となっていることが暗示されていたり―――なかなか見所も多い話だったんですが・・・

 逆に露呈してしまったことがあるとすれば、テンポが普通になっても心理描写や人間関係の構築過程なんかは淡白・・・悪く言っちゃえば、雑だということが分かっちゃったかと。フィリエルがいつの間にか学院の人気者になってるトコもそうなんだけど。「L・・・リティシァ?まさか」とフィリエルに言わせた数分後には、Lがシスター・レインだと判明させちゃったり。そもそもリティシァ自体、どいつだかも分からんくらいしか出てないし。描きたいことをバシバシ詰め込んで描いているせいで、視聴者が楽しむ余地が全く残っておらず、単にあらすじを読んでいるのと同じような印象しか受けません。




 どうして・・・どうしてこんなことになってしまったんだろう。
 やろうとしていることはそれなりに面白いと思うし、何か歯車が噛み合えば化けると思うんですが・・・・・・




 ○ ある意味では画期的なんだけど
 どうやらこの学園編、みんなを魅了できた人が正しいという世界観であって―――王宮、諸外国との外交なんかを自身の魅力だけで自己の勢力にしていくことが、この作品での“強さ”である模様。言っちゃえば、『ストロベリー・パニック』をシリアス路線で政治風味に作り変えた作品なんだと思いますが(でも、原作はこっちの方が先か?)


 ちょっと腑に落ちないことが多くて・・・これらを意図して描いているならともかく、素でやっているとマズいなあという不安が。

 1.フィリエルが人望を集められたのはアデイルのおかげ
 シンデレラストーリーの魅力とは―――後ろ盾を持たない主人公が単身新しい世界に飛び込んで、最初は周囲からも異分子扱いされて辛い想いもするんだけど、徐々に周りも主人公に魅かれていって、最終的にはその周りも含めて幸せに出来る―――といったところだと思いますし、実現出来ているかはともかく『舞-乙HiME』とか『ストロベリー・パニック』なんかはこうした路線の話ですよね。
 ですが、この作品の場合はフィリエルはアデイルの後ろ盾のみで周囲から信頼されました。エバンジェリン(=アデイル)の書いたBL小説のファンが、エバンジェリンが信頼しているフィリエルなら信頼できる!と自分達の望むカタチにフィリエルを操っていってるだけという。しかも、アデイルがフィリエルを気にし始めたきっかけすらも、元々は「女王の血を引くから」。

 何ていうか・・・フィリエルって何もしてないのに、持っているものが優れているので、みんなからの人気者になったというだけのような。4話の間にやったことと言えば・・・何もしていないんですよね。僕が『ハリー・ポッター』が好きになれない理由は「結局、親からもらった才能で戦っているだけなんだろ?」というトコなんですが、フィリエルに関しては、加えて「戦ってもいない」ということ。
 だから、観ているコッチからしてもフィリエルを応援したいとは思えないし、応援しているキャラ達もどうして応援しているのかが分からなくなってしまいます。


 もちろん、これが後の女王争いの頃に繋がって、アデイルの後ろ盾を失い、アデイルと争う際にひっくり返ってくれば面白いのかも知れませんが・・・そこまで視聴を続けれるかと言えば。辛いものがあります。


 2.ライバル不在
 一応、生徒会長が現在の学院で最も魅力ある人間だから生徒会長であるワケで、この人がライバルポジションなんでしょうが・・・バトル漫画でもスポーツ漫画でも、乗り越えるべきライバルを描く際には、そのライバルの強さを先に描いておいてナンボです。喩えば、フリーザが強いということを表現する時には、「あのクソ強かったベジータですら恐れている」「悟飯やクリリンは見ているだけで震えてしまうほどの実力差」「しかも、従えてる部下ですらチョー強い」「界王さまですら近づくなと忠告」「戦闘力が途方もない」「しかも、3回変身する」などなど・・・
 なんですが。生徒会長は学院で最も魅力溢れる人物だという設定のクセに、今のところ「服を脱ぎなさい!」くらいしか見せ場がないし、とりあえず設定としてみんながキャーキャー騒いでるだけという気がします。一応、ロゼリットが「国を変革する人物です」と言っていたけど、どうして彼女がそう思ったかは説明されていないので―――なんか、「とりあえずこういう台詞を入れておけば生徒会長がみんなに人気だということになるだろう」という描写にしか思えません。

 別にこっちも誉められたものではないと思いますが・・・『ストロベリー・パニック』の場合は主人公やエトワールよりもむしろ他校のキャラの方が魅力的に描かれていますからね。
 『西の善き魔女』はストーリーの都合で、無理矢理主人公マンセーにしているような気さえ起きてきます。

 せめて、シスター・レインかイグレインがライバル役だったらなぁ・・・


 3.キャラデザインに欠けているあざとさ
 これはまぁ2番とも関係しているんですが・・・正直な話、生徒会長のデザインなんて捨てキャラの扱いですよね。
 イグレインとかヴィンセントはまぁそれなりですが、レーリアのクラスになると一気にオリジナリティがなくなる・・・と思っていたら、ツインテールが出てきて爆笑してしまった。開き直るにもほどがある!学院のキャラはシスター・レインとイグレイン、シザリアくらいまでが重要で、後は全員モブ扱いなんでしょうか。

 これ、原作との兼ね合いがあるんでしょうが・・・・・・あざとくても、捨てキャラも丹精込めてデザインしてくる萌えアニメに比べて、雑な印象を受けちゃうのです。別に『ストロベリー・パニック』みたいに生徒全員美少女なんてことにして欲しいワケじゃなくて、キャラデザの時点で「愛情を注がれているキャラ/注がれていないキャラ」が分かってしまうのは、脚本的にもマイナスだろうってことです。あと、ぶっちゃけて生徒会長派の3人組は全員同じ顔にしか見えません。




 というワケで、せっかく落ち着いた話になりそうだった学院編ですが・・・試練の時になっている気分です。
 マリエがやってきてくれて、面白くなるかなーと思ったら出番ないし。早く王宮の話にならんかなー、アデイルがいないと観ていてしんどいです。



 ○ そういや、シスター・レイン(田中理恵)がやっぱり悪役で吹いた
 今回ばっかしは善人の役かと思ったのですが、先週フィリエルに見せた優しさはフェイクで、胸の奥にドス黒いものを抱えているキャラだったっぽい。学院編が王宮での女王争いの縮図になっているというのなら、ここで“信じた人物が実は敵だった”を描いておけたのは収穫かも。フィリエルの考えの浅さが作中肯定され続けているのもストレスでしたし・・・

 先週のサブタイが「秘密の花園」で、今週が「花園の暗闇」。
 話の展開的には今週の方がフィリエルがみんなから支持され始めて明るかったんですが、その実ウラで何かが蠢いていることが暗示されているようで面白かったです。


 まぁ、そんなワケで無防備に男の部屋を訪れたフィリエルが―――ってトコで次週へ。


 


 アニメ感想マラソンの結果(参考)により、この作品の感想はここまでです。
 ご愛読ありがとうございました。





自作漫画を描いています
▲ 『ちのしあわせ家族』連載中。よろしければどうぞ。


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