イズっち
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【『うたわれるもの』感想】
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 第13話:「血塗られた戦い」
 第14話:「戦禍」
 第15話:「宴の終わり」
 第16話:「戦いの果て」
 第17話:「幼き皇」
 第18話:「解放軍」
 第19話:「決別」
 第20話:「初陣」
 第21話:「大封印」
 第22話:「忌まわしき契約」
 第23話:「心の在り処」
 第24話:「滅びゆくもの」
 第25話:「太古の夢跡」
 第26話:「うたわれるもの」

  公式サイト



■ 『うたわれるもの』 スタッフ&キャスト
<スタッフ>
 監督:小林智樹
 シリーズ構成:上江洲誠
 キャラクターデザイン:中田正彦
 プロパティ・デザイン:深沢孝司
 美術監督:加藤賢司
 オープニングテーマ「夢想歌」Suara
 エンディングテーマ「まどろみの輪廻」河合英里
 アニメーション制作:OLM Team IWASA


<キャスト>
 ハクオロ:小山力也
 エルルゥ:柚木涼香
 アルルゥ:沢城みゆき
 ユズハ:中原麻衣
 カミュ::釘宮理恵
 ウルトリィ:大原さやか
 オボロ:桐井大介
 テオロ:石川ひろあき
 ソポク:雪野五月
 トゥスクル:京田尚子
 ベナウィ:浪川大輔
 ドリィ&グラァ:渡辺明乃
 ヌワンギ:吉野裕行
 カルラ:田中敦子
 クロウ:小山剛志
 ササンテ&インカラ:大川透
 トウカ:三宅華也








■ 『うたわれるもの』 第13話 「血塗られた戦い」
脚本:上江洲誠 絵コンテ:サトウシンジ 演出:青柳宏宣 作画監督:小山知洋

 う、うーん。展開も演出もコレ以上ないほど盛り上がっているはずなんですが・・・
 パス回しもオフザボールの動きも素晴らしい躍動感と統率力を見せているのに、何故か最後のシュートだけがゴールを大きく外れるガーナのサッカーみたいな印象。あと一歩でこちらのテンションも最高潮になるところを、ことごとく肩透かしを喰らっているような・・・出撃のシーンまではホント鳥肌モノの演出だったのになあ。



 ○ 結局明かされなかったハクオロの過去
 詳しくは後述しますが、エルルゥたちとの家族の絆で前を向いたハクオロが先頭に立って決戦へ。
 最強であると同時に“正義の証”であるトウカを何とかしようと団結する各々―――ここの出撃シーンがそれぞれやたらカメラアングルが凝っていてカッコ良かったです。特にオボロ出撃の下からの絵にテンション上がりまくりでした。
 また・・・残される立場として、他国であるから介入できないウルトリィやカミュのやり取りも微笑ましくて。助太刀したいカミュと、「やはり」と悪態をつく爺さんを使い、ウルトリィの微妙な心境を描いていたのも上手いなぁ・・・と。この描写が、今後ウルトリィ達がメインの話になった時に活きてくるというものですし。


 合戦シーンも物凄く動いていたというワケではないですけど、突撃前のそれぞれのアップがムチャクチャ格好良かったですし。トウカを封じ込めるために、クロウ、オボロ、カルラが順々に襲い掛かるという流れるような動きも燃えるシチュエーションでした。


 でも、燃えまくっていたのはここまで。あれだけの包囲網もあっさりとトウカに突破され、結局は勝負はお預け。
 (この展開を見越してのAパートだったんでしょうが)Aパートでようやく乗り越えたに思えた“ハクオロの過去”が、「幻術だったよ〜ん」というオチで有耶無耶にされてしまったのには幻滅するヒマすらないほど唖然とするばかり。

 よく分からんのですが―――オリカカン自体はハクオロとはほとんど無関係な人なんだけど「あの男に妹を殺された」と思い込まされたせいで、兵士やトウカも一緒になって巻き込まれたということなのかな? 「ラクシャイン!貴様の悪行を許すわけにはいかない!」と大層なことを言ってたトウカですが、ラクシャインなんて人物は最初から存在しなかったということ?
 それとも幻術をかけられたのは最後だけで、ハクオロがオリカカンの妹を殺したという過去までは真実なの?? この辺は早く次週を見ないと何とも言えんですが・・・とりあえずトウカはこのまま仲間になっちゃいそうですね。



 個人的に、この作品にイマイチ盛り上がりきれない要因として“敵の不在”があると思うんです。バトルモノならば、主人公と敵が信念ぶつけあって昇華していくことで、双方のキャラを掘り下げていくものじゃないですか。なのに・・・この作品のこれまでは、インカラみたいな小者か、ベナウィみたいに「本当は戦いたくないんですけどね・・・」みたいな敵しかいなかった。
 トウカとオリカカンにはこの役割を期待していて、戦いを通じてハクオロのキャラと成長を描いてくれるんじゃないかと思っていたんですよ。それが「いや〜騙されてましたね」で信念をぶつけることも、緊張感のあるバトルを繰り広げることもなく終わってしまったことは残念でした・・・バトルものとしては、マイナス点の目立つ展開になっちゃったかなぁ・・・と。




 ただ、ここで秋元羊介が連れてきた幻術使い(?)が翼人だということを考えると、今後ウルトリィやカミュの役割が活きてくるんじゃないかと想像され、期待値は以前高いままなんですけどね。人間ドラマとして見れば、文句はないです。




 ○ 説教臭くない程度の副題をどう捉えるのか?
 僕はこの作品をずっと“あざとくない『舞-HiME』”と言い続けてきたんですが、“『舞-HiME』”というのは「計算高い脚本」や「キャラの動かし方が上手い」「無駄なキャラがいない」といった意味で。“あざとくない”というのは、「押し付けがましくない」「説教臭くない」という意味で使っていました。

 僕は『舞-HiME』(と、その系譜)が大好きだってことを前提に読んで欲しいんですが、あの作品って物凄く押し付けがましい作品だと思うんですよ。26話通じて明確なテーマをこれでもかって繰り返してくるし、色とりどりのキャラをズラッと並べて全員に役割と見せ場があるし、えっちぃシーンには「どうだい?エロイだろう?」という自信が見えてくるし、泣かせるシーンには「どうだい?泣けるだろう?」という周到さが見えてくるし。
 萌えも燃えもバトルもギャグもシリアスも揃えています!という点では『舞-HiME』も『うたわれるもの』も共通すると思うんですが―――『舞-HiME』はひたすら味の濃いジャンクフードを何十種類も食べているような感覚で、味は濃くて楽しいんですけど胃がもたれ気味。『うたわれるもの』は和洋中が混ざり合ったものを食べているのに、それは一つのコース料理のように単品ごとには味が抑えられてるので栄養バランスは保たれていると言いますか。


 あぁ・・・ちょっと『舞-HiME』だと分かりにくかったかも知れないんで、『ガンダムSEED』で置き換えてもOKです。
 要は、『うたわれるもの』もかなり胃もたれしそうな題材を揃えているくせに、「おらー!ちょっとオマエラ戦争について考えてみろよ!!」みたいな押し付けがましさはないということです。(繰り返しになりますが、僕は『舞-HiME』も『ガンダムSEED』も好きだという前提で書いています)


 ハクオロのスキャンダルで戸惑う人々なんかは、カリスマによって成り立つ政権の不安性をキッチリ描いていますし。それを支えるベナウィやクロウの会話も、「理想のチームとは何か」を模索しているようで興味深いです。何も国政に限った話ではなく、集団全般においての問題点ですね。これを描くために、ここまでずっとハクオロを無条件にカリスマとして描いてきたんだから・・・流石の脚本ですよねぇ。
 ハクオロがエルルゥと両親の話をするところは、言わば「人はやり直せるのか」という話だと思うんですよ。罪を犯した人間(ハクオロは都合よくその記憶を忘れていたという設定なんですが)も新たな人生を歩み、新たな人間関係を構築することが出来るのか―――
 「幻術とは便利なものじゃい!」という秋元羊介のせいで有耶無耶になってしまいましたが、それがなくてハクオロが本当に人殺しだったとしても、Aパートでエルルゥがハクオロを受け入れているんですよね。まぁゴチャゴチャと「家族がどうの」とか言ったり、真っ赤になったりしているんですが、その辺は理由付けであって。作品として言ってることは、人はやり直すことが出来るということなんですよね。


 この辺、『舞-HiME』だったり『ガンダムSEED』だったりが好きな僕としては、「もっと声高に叫んでもいいテーマなんじゃないかなぁ」とは思ったりもするんですが。この作品の“あざとくなさ”から考えると、これくらいサラッと届く人にだけ届けばいいんだという描き方も一つの手段なのかも知れませんね。

 ともかく・・・エルルゥと一緒に、あのシーンで僕もボロボロ泣いてしまいました。
 アルルゥの使い方はちょっと卑怯だと思うんですけど、虎がなぁ・・・虎がペロペロ舐めてくるトコで、もう泣きじゃくり。評判や偏見に流されず個々に人を判断することって、簡単そうに見えて難しいこと。でも、そうやって関係を構築することで、“やり直しがきかない”と思ってしまった人も救うことができる―――素晴らしい話でした。



 というワケで、半分突破。トウカが入って味方チーム勢ぞろいかな?
 ユズハのようにどう使ってくるか分からないキャラもいますが、ここまでの動かし方から考えるに無駄なキャラというのはほとんどいなさそう。後は・・・あと一押しさえあれば、ね。


 








■ 『うたわれるもの』 第14話 「戦禍」
脚本:鈴木雅詞 絵コンテ:矢野博之
 演出:細田直人・渡辺正彦 作画監督:細田直人・近有希

 なんか・・・結局、みんなハクオロのことが大好きなんですね。
 ニウェ(秋元羊介)はハクオロが欲しいから彼の気を引くために散々国を攻撃して、ありもしない過去を捏造して精神攻撃して、(第2の)故郷を焼き討ちさせて。オボロはハクオロのために前線で身を張って命を捧げ。ベナウィは彼の腹心となって手足のように動き。エルルゥはそっと彼の傍で見守ろうとする・・・

 それぞれ愛情の表現方法が違えど、やってることは「ハクオロが好き」「ハクオロのために」ということには違いないんですよね。この辺はなるほどエロゲ原作らしいキャラ配置です。まぁ、ハクオロに想いを寄せている過半数のキャラがヤローや汗臭いオッサンだというのは流石なんですが・・・




 ○ 敵→味方パターンは最後かな
 予想から1ミリもズレることなく、ハクオロはトウカを釈放。自害しようとするトウカを止め、「まだやることがあるはずだ」と諭す・・・って、ベナウィの時と全く同じ展開じゃないですか!まぁ、敵から味方になるパターンが何人もいるから仕方ないこととは思うんですが、何度も視聴者に「あぁやっぱり」と思わせるのはマイナスだと思うんですけどねー。

 ただ、ここにもちゃんと工夫があり。流れのまま仲間になっていたベナウィと違い、トウカはハクオロとの会話で心境変化→ラストシーンのピンチで駆けつけるという王道パターンでの仲間化でして。ちゃんとトウカの設定が「義によって協力するキャラ」と描かれていたので、仲間化への違和感がなかったのは良かったかな・・・


 「あんなに沢山の仲間を殺されて、いきなり味方になるのを許せるのか?」というツッコミも可能なことは可能なんですが・・・一応、何回か前のハクオロのセリフに「感情に流された結果がコレか・・・」と、復讐に復讐で返すことへの反省がキッチリ伏線として張られていたので。ここでハクオロがトウカやオリカカンを許すことには、ある程度説得力があったと思います。
 もちろん10人が10人納得いく描写ではないんでしょうけど、コレがあるのとないのとでは印象が全然違いますし、個人的には「あり」な部類かなぁと・・・単純に「こんなに強いコイツが仲間になりゃ助かるからありがたいや」ではないのも好感が持てますしね。




 トウカのことは置いといて・・・ニウェ軍の侵攻。
 単純な戦力だけでなく、隠し球を持ってるっぽい(幻術を用いてのバーサーカー化とか?)中に飛び込むハクオロ達。話数から考えても、メンツから考えても、ここで何か大きな事件が起こるんじゃないかと推察。しかし、飛車角王が抜けた状態で戦わなきゃならないベナウィ達の方がしんどそう・・・


 繰り返されてるエルルゥ→ハクオロの微妙なセリフは伏線でしょうか。
 ハクオロはハクオロで傷つく兵士を戦地に追いやっている自分を責めていて、そうした自責の念をエルルゥにだけは吐露しているんですが。エルルゥはそうしたハクオロを受け止めつつ、戦地に向かう兵士に感情移入してしまう・・・
 崩れる家から母を助けられなかったシーンが象徴的だったんですが、エルルゥよりもハクオロの方がよっぽど現実的で、ある角度から見れば「冷徹」でもある行動を取っている。それは結局、助けられる者/助けられない者の取捨選択をしているだけなんですが・・・ハクオロ自身、ずっとそこを悩んできたんですよね。
 ヤマユラの村を率いて謀反を起こした時からずっと、ハクオロは戦争に勝って得られる平和と失っている兵の命の両面に板ばさみになり。それをエルルゥが支えてきたワケなんですけど・・・・・・このハクオロの葛藤をいずれ消化(昇華)出来れば作品としては大化けしそう。そのために、同じ為政者としてニウェとの対比なんかがあれば分かりやすく浮き彫りになるんじゃないでしょうか。




 ○ バトルというより合戦アニメなのか・・・
 先週が消化不良だった分、今週は合戦の絵だけで楽しませてもらえました。
 少年漫画と逆で、名前のあるライバルキャラ相手よりもザコ敵相手のバトルの方が面白いとは・・・


 敵を谷に誘い込んでの左右からの弓矢だったり、そこを無視して特攻するオボロだったり。斬り飛ばされる腕の病者だったり。戦場で異端なほど強いカルラの独特の作画だったり。沼地に追い込んで弓でトドメを刺す残酷な策だったり。未だに鉄扇で戦ってるムチャなハクオロの香港映画みたいな動きだったり。絵的にも、内容的にも、工夫がとても多くて観てて非常に面白かったです。

 ドリィとグラァの活躍など、弓兵の重要性をキチッと描けているのが弓兵フェチの僕としては嬉しい限り。今振り返ってみると恐ろしいことに、初期の頃からこの二人が農民に弓を教えるシーンがあったんですよね。弓兵を育てることが戦術的な幅(この場合は戦略的でもあるのか)を広げることを見通しての、あのシーンだったのか・・・
 そうした最重要な二人のどっちかがやられることで、一気にピンチの匂いを作れるのも流石。8話などの箸休めの回で見事にキャラを動かしていたように、この作品のキャラ回しの上手さがバトルにもしっかり反映されているのが凄いです。萌えは萌え、バトルはバトルと分離していないのがいいですね。



 あとは・・・こうした地味に労力のいる合戦描写を、幻術やら何やらの敵方の切り札でどう打破されるのかというのも楽しみ。ハクオロの地道な策略など通用しない生物兵器でも出てくれば、グッとこの作品のバトル描写が引き締まると思うんですが―――と書きつつ、そういやカルラみたいなのはそういう“常識ハズレ”の力でしたね。彼女だけが特別なのか、彼女みたいな敵が出てくるのか・・・その辺にも期待しています。



 そういや・・・ハクオロは「城はウルトリィに任せる!」とか言ってましたが、他所の国の人に城を任せてイイの?
 ウルトリィ&カミュあたりにそろそろスポットあたりそうな気がするんですが・・・


 








■ 『うたわれるもの』 第15話 「宴の終わり」
脚本:鈴木雅詞 絵コンテ:小林智樹 演出:深沢幸司 作画監督:東海林康和

 ニウェ戦決着。
 ようやく名前を覚えたのに・・・・・・というキモチもあるんですが、こうしたテンポの良さがこの作品の魅力になっているというのも確かなので。まずは一区切り&今後への伏線に期待が膨らみます。ニウェ戦の1ヶ月ちょいはW杯編成だったり、バトル描写がノリきれなかったり、それを払拭するような血みどろ作画で圧倒されたり、色んなことがありましたが・・・まぁ、次への繋ぎとしては抑えるトコ抑えていたんで良かったんじゃないかと。



 そういや、ようやく公式サイトの登場人物が更新されてましたね。
 トウカの味方化で仲間が全員揃うのを待っていたということなんでしょうか・・・でも、どうせOPでトウカが仲間になることくらい皆が分かっていたんでしょうし、公式サイトもおろそかにせずに力入れて欲しかったなーと思いました。



 ○ 俺の屍を超えていけ!
 王道バトルアニメでは最終決戦で使われる“仲間が各個足止め”を、この時点で使ってきました・・・と思ったけど、ベナウィ戦もこんな感じだったな。それほど気にするようなことじゃないんでしょうが、バトル時の人の動かし方がワンパターンだと次第にワクワクできなくなるもんですから・・・「このパターンはここで使ったから、次は違うパターンで」という切り替えを期待したいです。


 とは言え、各個の戦闘描写は楽しかったです。

 5万の兵隊を相手に戦う男性陣。
 結果として何とかなってるのは凄いけど、どうして何とかなってるのかイマイチ分からなかったのが辛かったかな。動き自体は悪くなかったんですが、突進する騎馬兵を槍だけで止められるもんかなぁと疑問に思っちゃいました。「アニメだから気にすんな」と割り切るにしては、先週のように上手く策を練って数的不利を消すという回もあるのですし・・・



 カルラvs2ヶ月くらい前に出ていた3人組。
 Aパートラスト、門をこじ開けたハクオロ達の前に待ち構える軍勢に「おぉっ、こりゃどうやって切り抜けるんだろう」とワクワクしていたら、CM明けの時点で既に3人以外は片付いている有様でした。・・・・・・まぁ、長々と描くことでもないですしね。
 3人組はかつてクロウを苦しめただけあって、3人のコンビネーションではカルラを圧倒してきました。あの動きのどこがコンビネーションなのかは置いといて(笑)、それを物の見事に打ち破ることでカルラの異常な強さを引き立たせることと同時に、2ヶ月間ずっと放置されてた敵を倒したことによるカタルシスが生まれていました。

 ・・・しかし、時間と場所を超越してカマセ犬になるクロウって一体。



 ハクオロ・エルルゥ・トウカに兵士数人vsバーサーカー
 バーサーカーというよりゾンビ?不死身の相手に苦戦する一同・・・てゆうか、明らかにエルルゥがジャマです(笑)。しかも、壁や門を破壊できるカルラが足止め喰らっているので逃げることも出来ないし・・・という絶体絶命の状況でカルラが追いつきました。すげー燃えたけど、こういうのって1人1殺が原則であって、後から追いかけてる仲間が追いついちゃうのはルール違反なんじゃ?おかげで、カルラしか活躍していない印象が・・・・・・カルラを何とかしないと、今後のバトル描写も「どうせカルラが何とかしてくれる」と思われかねません。



 ハクオロvsニウェ
 またしてもエルルゥがジャマっぽいんですが、ここでエルルゥに“だけ”ハクオロの変貌を見せておきたかったという意味でここまで連れてきたんでしょうし、多少不自然でもきっちりと描写する辺りは評価していいんじゃないかと思います。
 バトル描写自体は普通だったんですが、それに伴って目覚め始めるハクオロの狂気や、置いていかれるエルルゥの心情なんかを印象的なカットで描いていて緊迫感が出ていました。
 これまでずっと鉄扇で戦い続けてきたハクオロが鉄扇を落としたままニウェとの決着をつけにいくシーンなんかは、崩れ落ちるエルルゥの絵を含めて熱いものが。普通に考えれば、ここで二人に溝が生まれるというものでしょうが・・・作品外まで広がって波紋を広げてる絶賛バカップル中の二人がどうやって離れるのか想像できませんし・・・今後の展開が凄く楽しみ。

 ハクオロの化け物化はそれこそ第2話の頃からずっと伏線が張られていたものですが、単純にハクオロがぶち切れてジャバウォック発動させたとかいうことではなくて、幻術使いが絡んでいるという可能性もありますし・・・どっちにしろ、この翼人とウルトリィ&カミュなんかが今後の話の鍵となるんじゃないかと思われます。
 うーん・・・しかし、この血なまぐささは凄いですね。「エロゲ原作アニメが始まるんだってーエルルゥ萌えー」とかで観ていたら痛い目見ていたかも。まぁ、女性陣で殺し合いをさせる某アニメよりかはトラウマにはならんかも知れませんけど(笑)




 というワケで、次から新展開かな?
 ようやっと泥沼化しそうなハクオロ・エルルゥを他所に、虎に乗って大暴れしてるアルルゥが微笑ましかった・・・というか、別に虎さえいれば戦力としては十分なんだし、誰か止めろよと言いたい・・・・・・


 








■ 『うたわれるもの』 第16話 「戦いの果て」
脚本:鈴木雅詞 絵コンテ:サトウシンジ 演出:宮原秀二 作画監督:徳田夢之介

 ニウェ戦後、大きな流れが終わって次への流れへと続く繋ぎの回でした。
 “繋ぎの回”とは言え、各キャラのおさらいと変化をキッチリ抑えた上で、カミュやユズハにいよいよもって伏線を張り、エルルゥ→ハクオロの関係を昇華させるという見事な脚本で感服。個人的にはもっと萌え要素をあざといくらい見せてくれても良かったかなとも思ったんですが、流石にシリアスだった先週と来週の間にそこまでの遊びは出来なかったか・・・・・・

 しかし、ネットラジオが話題沸騰中の今だからこそ、エルルゥ→ハクオロの描写が熱いです。ひょっとして計算してやってるんでしょうか・・・ネットラジオの小山さんのタジタジっぷりからすると、偶然にもタイミングが重なったという気もするんですが。柚木さんのラブラブ光線が、絶妙にエルルゥの本妻っぷりにスパイスを加えているなあという印象です。




 ○ 各キャラのおさらい
 流石にこの作品、繋ぎの回にメインキャラを全員出してきました。この辺の抜かりなさはホント凄いと思います。キッチリ伏線も張っていますし・・・・・・ムントは出てなかったけど(笑)

 オボロはベナウィと一騎打ち。いつも思うんだけど、この人達は特訓にも真剣を使うんですよね・・・危なくないんでしょうか。
 尺からすると、このバトル→酒盛りシーンを入れるのは無意味なようにも思えるんですが―――この脚本の計算高さから考えると、“オボロの現在の成長度”、“それを認めるベナウィ&クロウ”、“戦いは二手三手先を読む”などの描写は伏線な気もします。
 オボロはハクオロ、エルルゥに次ぐ主人公格のキャラなので、オボロ物語はオボロ物語として決着をつけてくるんじゃないかと読み中。オボロ物語のラストを予想するに、ベナウィに敗れハクオロに助けられたところから始まった彼の物語は、きっと“ベナウィを超え”“ハクオロを窮地から救う”になるんじゃないかと考えられ・・・・・・そう考えてみると、今週の一騎打ちのシーンは今後の展開に向けて重要な描写になるのかもと思ったり。


 アルルゥ、ムックル、カルラは倉庫漁り。
 この辺りは、戦禍の後も変わらない“戻るべき日常”として描いているのかと。アルルゥの出番はコレだけだったので、エルアル姉妹のイチャイチャをもっと見たい僕としては物足りない気もします・・・・・・味方キャラで一番“どう使われるのか分からない”のが、ひょっとしたらアルルゥかもですね。ハクオロともエルルゥとも、最近は絡みがないですし。


 トウカは堅苦しさがちょっとずつ解れてきた印象。
 ネットラジオで小山さんが「トウカはうっかり侍っぽいところが」と仰ってたんで、単に強いだけじゃなくて堅物らしい天然っぷりも発揮してくれるんじゃないかと期待しています。


 カミュは体に変化の兆し・・・ウルトリィの言動から想像すると、二次性徴的なニュアンスを暗示しているようにも思えて「エロイなぁ」と一人でドキドキしてたんですが。その後の湖のシーンで、魂(?)と戯れるなどの描写があったことから超能力的な成長だったのかも。翼人という設定に加え、ハクオロの「この世のものとは・・・」というセリフからも、カミュとあの幻術使いの関係性を示唆しているとも思えますし。
 カミュとウルトリィは本当に姉妹なのかという疑問から始まり(姉妹なのに全然似てない)、各種の謎な設定は作品クライマックスに一気に掘り下げられそうな予感があったので・・・カミュにスポットあててくるということは、今後一気にギアが上がるということでもあると思うので。否応なく期待が高まります。最近ずっとオッサンの話ばっかりでしたしね・・・・・



 そして、もう一人。ユズハにもようやく出番が・・・初登場は3話くらいで、それから数ヶ月間ピンピンしていたもんですから病弱という設定すら霞んでいたんですが。今週のユズハ本人のセリフとオボロの表情から、状況はあまり良くないということが分かりました。ここもラストに向けて掘り下げてくるのは確実。これまでにもチラホラと伏線が張られていましたし、それらをどう活かしてくるのかを楽しみにしております。




 ○ 戦禍の後を受け止めるエルルゥの懐
 ひょっとしたら、作品内で最も成長したキャラって彼女かも知れませんね・・・
 ニウェがハクオロに捨て吐いた「貴様は災いの元だ!貴様がいる限り戦争はなくならん!!」のセリフに、暗に反発するように「アナタ達が大人になった頃には戦争はなくなっているわ」と子どもへと諭すエルルゥ。苦しみ続けるハクオロを救えるただ一人のキャラとして、“イイ女”っぷりを全開。ええこや・・・ホント、理想のお嫁さんやで・・・

 皇都に戻りたがる国民に、(恐らく初めて)私情で「帰ってはならない」と命令するハクオロも・・・最後の最後、焼け跡から芽吹く草を見て、時間をかけてでも復興させることの意味を―――それはまた、喩え自分の中に化け物が潜んでいたとしても、手が血に染まっていたとしても、一つずつ時間をかけて平穏になれるということを意味をエルルゥから教えられたんだと思います。
 この辺りのハクオロの心境描写と、それを救うエルルゥの描写は凄まじかったです。先週のエルルゥは泣き崩れていて僕は「離れていくハクオロに涙した」と書いたんですが、多分彼女の心の中はもっとフクザツで、(ニウェとの戦いで)傷ついてボロボロになっていくハクオロの心を思って泣いていたのかもなぁと今週は思いました。



 こうしてハクオロの苦しみをエルルゥが(多少としても)癒せたことにより、9話から続いていたニウェとの戦いは真の意味で一区切りがつきました。ここから話がどう広がるのか・・・というところで、謎の勢力が登場。おなごか!新キャラのおなごなのか!と騒ぐのもアレなので、来週をじっくりと待ちたいと思います。
 しかし、このオッサンの方の新キャラ。遠めのシルエットがヌワンギに似ていて、「ヌワンギもう戻ってきたのかよ!」と焦ってしまいました。ヌワンギ・・・使うんだとしたら、もう5〜6話後かなぁ。ひょっとしたら二度と出てこないかも知れんけど・・・・・・


 








■ 『うたわれるもの』 第17話 「幼き皇」
脚本:上江洲誠 絵コンテ:奥田誠治 演出:中村和久 作画監督:中田正彦

 前回同様、日常の平穏としたキャラの生活を眺める回でした。
 なんだか最近はアニメ本編よりもラジオの方が話題過ぎて、アニメ本編の影が薄いような気がしていましたが・・・コメディパートのノリ・テンポ・作画の上手さに、「どうだ!萌えるがいい!」と言わんばかりのあざとさに加え、シリアスパートではキッチリと今後に伏線を張ってくるソツのなさが今週はありました。1クール目はこれが毎週のように出来てて、どんな作品になってしまうのかと震えまくったんですよねぇ・・・

 というワケで、今週はラジオにも負けないくらい面白かったんですが・・・
 先週のネットラジオ(ゲストが沢城みゆきさん)は凄まじかったんで、まだ聴いていない方は音泉へどうぞ。金曜日更新なので、木曜日までだから急いで!



 ○ (凄く狭い範囲で)波紋を呼んだ日常パート
 
オボロがドリィ&グラァと酒池肉林!!

 ・・・えーっと。何かどうやら原作プレイ済の人にとっては、ドリィ&グラァの性別は分かっていることのようなんですが。アニメ派にとっては謎だった双子の性別。今週を受けて、「二人は男のコだったのか、ガックシ」と言った声が多くてビックリしたんですけど―――えっ、僕は「女のコだったのか!?」と驚いていたんですけど!何、どっちが真実!?

 というワケで、何度かビデオを巻き戻してチェックしてみたんですが・・・イマイチよく分かりません。

<男のコと思える要素>
 ・裸で添い寝されてもオボロは気にしていない
 ・体型は女のコっぽいけど、漫画・アニメの美少年キャラなら標準的
 ・添い寝の話を聞かされても、後日ハクオロは二人にオボロの介抱を頼んだ
<女のコと思える要素>
 ・都合よくおぱーいが隠れている
 ・股間を押し付けられてるはずなのに、オボロは気にしていない
 ・行動が乙女

 うーん・・・どっちだった場合でも「?」マークは出てくるかなぁ。
 一番しっくりくる説明は「オボロは双子両方とも(同時に)肉体関係にあり、日常化されているので添い寝されても気にせず、周りもそれを知っているのでイチイチリアクションをとったりしない」というものだと思うんですが(笑)。この説明だと男女どっちでも説明がつくような気が・・・(汗)

 まぁ、ゲーム版の設定がどうであれ。公式サイトの説明文やラジオの紹介が「双子のキャラクター」となってることから、アニメ版では性別を明示しない方向で進んでいるんじゃないかと思います。だから、「ゲームじゃ○○でしたよ」とか言っちゃダメだ!もうちょっと大人のプロレス的な楽しみ方を覚えるんだ!


 どっちにしろ、双子の服がキレイに畳まれていたことから考えると・・・・・・双子→オボロはシラフな上でのガチっぽい。これに萌えるかキモチワルクなるのか、それは自分の性癖にあったように双子の性別を解釈して萌えろよってことなんではなかろうか。まぁ、僕としてはオボロはハクオロとガチだと思うから双子との組み合わせにはあんまし萌えられないんですけど(笑)



 その他のキャラで言うと・・・ハクオロに誉められて照れまくっていたエルルゥが、尻尾振り振りで可愛かったのと。トウカがツンデレってきたことと。カミュが飛び上がって座る時のチラリズムが素晴らしかったです(笑) ユズハとアルルゥのやり取りにも和みました。ラジオでの沢城さんの話を聞いた直後なんで、アルルゥのセリフの一つ一つに職人技を感じてしまう・・・
 新マスコットキャラはOPにも出てたコですよね?このタイミングで入ってくるということは、ラストに向けての重要な要素になるのか・・・



 ○ そして、恐らくは最後のピースか?
 幼王の正体は、なんと幼女だった!!
 ・・・というのは、ほとんどの人が予想していたでしょうが。見た目がまんまセイ・・・ゲフンゲフン!あれ?でも、原作だとこっちの方が先なんですっけ? まぁ、高貴な女性の髪型というのは似てしまうのは仕方のないことですからね、と自分自身に跳ね返ってくる前にフォローしておかないと。

 という戯言は置いといて、彼女の口から「農地改革」「神」という“ハクオロの正体”伏線についての用語が登場しました。特に「神」についてはムティカパ戦にて「そんなものは神ではない・・・!」と彼が初めて感情を表に出したシーンでもあったので、何らかの意味はあるんだろうなと思っていたところに、ようやく伏線をなぞるセリフが。
 えーっと・・・カタカナ連発されるとどれが誰なんだかよく分からんくなってしまいましたが・・・ハクオロのセリフに頼って解釈させてもらうと。
 1.元々の世界を作った大きな神様がいた(クーヤ達はこの神を信じている)
 2.その大きな神様に反逆して、新しく大神になった神がいた(トゥスクルの国の人々はこの神を信じている)
 3.最初の大神が倒されたことで平等な世界が弱肉強食へと変わり、強者となった人々は“解放者”と新しい大神を信仰するようになり、弱者となって虐げられたクーヤ達は忌むべき存在として呪った

ということらしい。ハクオロと同じくウルトリィの儀式は完全スルーしてしまっていたので、各国の詳しい事情は分かりませんが・・・この辺のフォローもあとでキッチリ入るものだと思っております。
 手塚漫画だったら「実はハクオロの正体は裏切られて殺された大神だったんだよ!!」的なエキセントリックなオチで全部の伏線を回収できそうですが、今のご時世でそれは難しいですよね。なら、クーヤ達と同じ種族だとかそんなのでお茶を濁すしかないかなぁ。それだと微妙に「オマエは戦乱を呼ぶ・・・」の辺りが繋がらなくなってしまうけど・・・



 平等な社会か、競争な社会か・・・もちろん突っ込んだ社会システム論になんかはならないと思うし、するべきではないと思うんですが。反逆した神と同じように、村を率いて国を作り上げたハクオロの立場というのには意味があるんじゃないかと。作中では描かれていませんが、ハクオロの行動の結果として苦しい目にあった人もいるかも知れませんし。そうして苦しい思いをした人にとって、ハクオロの行動はどう思われているのかがキッチリ描かれてくるのかも知れません・・・・・その路線でいくと、いよいよもってヌワンギに再登場の予感がするんですけどねー。


 というワケで、小休止はここまでかな。森がざわめいて次回へ。
 話数的にも、そろそろ最後の話に向けてギアが上がってきそうな予感がします。


 








■ 『うたわれるもの』 第18話 「解放軍」
脚本:名田ユタカ 絵コンテ:小林智樹
演出:渡辺正彦 作画監督:吉野真一、吉本拓二

 
なんかフツーに魔法みたいの使った―――!!

 えぇっ!?
 一体何があったのか、ウルトリィがフツーのトーンで妙な術を使ったのに、周りも「何?いつものことじゃん?」みたいな顔でノーリアクションですよ。ひょっとして僕が何話か見逃していて、その間にウルトリィが妙な術を使って敵を一網打尽にした話があったんじゃないかと本気で考え込んだほどに。これまでずっと剣とか槍とか弓矢で戦ってきた作品なのに・・・ビックリしちゃって、今週のストーリー全部吹っ飛んじゃった。

 いや、もちろん・・・カミュが何か魂みたいのと戯れてたり、ニウェの腹心が幻術使ってきたり。ウルトリィも何らかの術は使うんだろうという伏線はありましたが・・・それはあくまで視聴者だから予想できたのであって、作中の人物はこれまで起こらなかった事態に少しは驚くべきではなかろうか。
 「何っ!ウルトリィ、君はそんな術を使えたのか・・・?」「今まで黙っててごめんなさい。実は・・・」的な場面がハイライトになると思っていた僕とすると、フツーのトーンで術を使われたのには多少ガッカリしてたりします。




 ○ とは言え、今週も面白かったんですけどね
 先週の“引き”はどうしたんだよとか、あのセイバーみたいなコ(もう名前忘れた・・・)は一体?とか疑問はあるんですが。
 ナトゥンクで起きた反乱軍の動きを受けて、カルラが色仕掛けというより逆レイプでハクオロに協力を頼み、それを目撃したエルルゥがハクオロを避け、カルラを心配してウルトリィが気を使い、何か知らんけど女性陣全員付いて来たり・・・・一つの事象によって、玉突きのように各キャラがワラワラと動き出すのが面白かったです。

 特に、“カルラの正体”と“カルラとウルトリィの関係”は初期から張られていた伏線だったので、キッチリ回収してくれそうなのは嬉しい限り。今週を見る限り、カルラは元々なんちゃら族の偉い身分とかで、同じように姫様なウルトリィと国を越えて交流があったけど、一族が支配されたことによって奴隷(?)扱いされることになった・・・とかかな。弟がカルラの顔を知らないのは、弟が物心つく前に一族が支配されて散り散りになったのだと考えると。弟くんは体制を打倒するため担ぎ出されたキャスバル坊っちゃんみたいなカンジ?
 まぁ・・・僕の解釈が当たってるかどうかはどうでもよくて、重要なのはここまで僕が想像(妄想)できるだけの情報を負荷なく見せる構成技術が凄いなぁという話なのです。凄いなぁ。


 また、カルラがメインの話ではありましたが、カルラとハクオロによってエルルゥをやきもちさせるという王道パターンが見事にハマっていたのも印象的。王道がここまで新鮮なのは、これまであまり嫉妬シーンを入れなかったというのもあるんですが(ラジオは別ね)、キャラが立ちまくっているということの証明なのかも。こういう嫉妬描写って下手すると「ウゼェ女だなあ」と思われがちなんですけど、ここ何週か彼女がハクオロをしっかりと支えている描写がちゃんと描かれているので・・・エルルゥを応援したくなるし、ムスッとしてるのが可愛く思えるのでしょう。深呼吸が良かった!
 まぁ、それすらも凌駕するほどにアルルゥの足バタバタに萌えたんですけどね!沢城さんはやっぱり凄いなぁ・・・



 アルルゥのおかげでユズハとカミュもついてきたので、ユズハの「海を見たい」伏線とカミュの成長がきっちりと描かれるんじゃないかと・・・あ、でもユズハがメインの回だったら、オボロ抜きということはないか?いや、でも。オボロにはどんどん試練与えて最終決戦時までに“タメ”ておいた方がイイとは思うし・・・



 ○ バトル描写はこのくらいが丁度いいかなぁ
 合戦シーンが圧巻だった分、個々の戦闘描写・・・1vs1とかについては不満が多かったこの作品ですが。
 今週のウルトリィの変な魔法→飛び込むトウカ→背後には既にカルラが―――という一連の流れはムチャクチャに美しかったです。ウルトリィの描写には疑問が残りますが、マジで考えるなら原作ゲームとの兼ね合いなだけでしょうし。原作では普通に回復役らしいエルルゥを、しっかりと“支えてくれる女性”として描いているアニメの丁寧さから考えると、ウルトリィに気が回らなかったのも仕方ないかなぁとは思いますんで・・・


 しかし・・・もしスタッフが“原作をプレイ済の人”のみを対象に作ってるからこそ起きた出来事だとしたら、ちょっと問題かも。現時点ではギリギリOKなラインだと思いますけど、カタカナ語が必要以上に多いのはアニメとしてはキッツイとこあります。「あの世で再会するがイイ!」という常套句を、宗教概念の違いでカタカナ語で変換とかされても、パッとは分からないじゃないですか。こういうことがストーリーのいっちゃん重要なとこで起きたらどうしようという不安はあります。
 まぁ・・・でも。これは原作付きアニメの宿命でもあって、そこでアニメ向きにセリフを分かりやすく変えたりすると原作ファンから叩かれたりもするもんですから。結局、何をとるのかという選択になって。カタカナ語を識別できなくても楽しめている現状は、まぁイイ方なのかもとか思ったりもします。




 個人的には、ニウェ戦が終わってから俄然テンションが戻ってきました。
 やはり、この作品は魅力溢れるキャラを有機的に動かす話なんだなーと思いました。


 








■ 『うたわれるもの』 第19話 「決別」
脚本:名田ユタカ 絵コンテ:奥田誠治 演出:青柳宏宣 作画監督:小山知洋

 
オカマボス、瞬殺!!

 えぇええ!?
 あれだけ含みのある台詞回しと残り話数から考えて、少なくともこのキャラが最終章への展開に関係してくるのかと思っていたのに・・・完全に大きな話(ニウェ戦)と大きな話(最終章?)の間に挿入したサブキャラメインなだけの回でした。この話を省略してもほとんど支障はないけど、それだとカルラの過去が謎だからという伏線消化のためだけに2話使った印象・・・ユズハとか付いて行った意味がほとんどなかったし(オボロに対する伏線という解釈も出来ますけど)


 いや、サブキャラ回としては物凄くよく出来ていましたし、面白かったのは確かなんです。でも、この話の前にも緩い平和な日常話を入れていた分、急→緩→緩と物語に締まりがなくなってしまったような。バトル描写は更に深刻で、今週は絵的な面白さもさほどなかった上、カルラの無敵ぶりだけが印象に残ってしまい。結局、カルラがいる限りはバトルに緊張感など期待できないなーとすら思いました。

 裏を返せば、カルラとトウカが封じられた時は一転して大ピンチですから、そこからがオボロやらの初期メンバーの見せ場なのかも知れませんが―――オリカカン以来、期待を裏切られることも少なくなくなってしまったのも確かなので。バトル描写には過度な期待をしないで最後まで見守ろうと思います。初期が化け物のような構成だった分、どうしても詰めの甘さが気になってしまう・・・



 ○ 姉を嫁にもらおうとする弟
 そりゃハクオロもカルラに報告できないわ・・・
 と思いつつ、こういう時代では王族の近親相姦もわりかし行われているんじゃないかという気もしたり。そもそも「姉上にフンイキが似てる」から嫁にもらうというほどのシスコンなのに、本人だと気付かないんだからなぁ・・・物言いや態度が変わったとは言っても、少数になった民族の、同じくらいの年頃の女性で顔が同じで名前も似てるんだから、少しは怪しもうよとツッコミまくり。


 とまぁ・・・ツッコミばっかのようですが、姉弟モノとしてはなかなかに熱くて楽しめました。
 この辺は行間を読むしかないんですけど、弟を守るためにオカマ王に捕えられた姉と、そんな姉を「生き別れ」と称していつか再会することを夢見て自由のために立ち上がった弟―――それを知った姉は身を挺して彼を救いに駆けつけ、また弟のためを想って再び去っていく。それらを全て理解した弟は何も言わず、皇として国に戻っていく・・・

 サブタイは「決別」という物騒なものでしたが、非常に暖かい話でキレイにまとめられていたと思います。だからこそ、姉弟を引き裂いていた元凶のオカマ王は、もっとグロくもっと憎らしい敵として描くべきで、苦労して何とかして倒したというカタルシスを感じさせて欲しかったです。本人ではムリなら、ザコ連発じゃなくて、強い用心棒がいるとか・・・戸愚呂のいない垂金をただ殴って倒しただけじゃ、ちっとも「やったー!倒したー!」という気がしないじゃないですか。


 あとはやはりサブキャラの使い方ですかね・・・エルルゥとウルトリィ以外はバトルでしか出番なかった上に、ユズハに至っては単に付いてきただけでした。病弱キャラに旅をさせるなんて、一大イベントとして掘り下げられそうな気がするんですが・・・尺がないから描写もほとんどなく、描写がなかったから来週以降に繋がりそうな伏線にもならないし。
 エルルゥとカルラ、またそんなエルルゥを諭すウルトリィなんかは三者三様のキャラが出ていて面白かったんですが。エルルゥとカルラがマトモに喋ったのはカルラ初登場の回くらいで、先週のハクオロのシーンがあるからエルルゥの叫びにイマイチ説得力が見えなくなっちゃいましたし。ウルトリィもどこまでカルラの真意を分かっているのかが視聴者には分かりにくく、エルルゥを止める重みもよく分からなくなっちゃいました。せめて「王女・・・?」のシーンでウルトリィの表情でも映してくれれば「あー、やはりウルトリィはカルラの過去を知っているんだ/知らなかったんだ」と推測できたというのに。


 どうにも、脚本もコンテも“繋ぎの回”レベルでしかなかったような。
 もちろん現場は必死でしょうし、週刊アニメなんだからスケジュール的に仕方ないとは思うんですが・・・キャラの動かし方が非常に上手いアニメだった分、今週は雑なイメージが感じられてしょうがなかったです。先週が初期のような楽しさがあった分なぁ・・・・



 ○ 残りは何話?
 全26話だとすれば残り7話・・・最終章としてはまずまずの長さかなぁとは思います。
 「ハクオロの正体」
 「オボロの成長」
 「ユズハの病気」
 「ニウェの横にいた幻術使いの正体」
 「カミュの体の異変」
 「あの金髪の女のコ」
 「あの商人の裏の顔は?」(ベナウィと繋がっていた伏線は何だったの)
 「ヌワンギの再登場(?)」
 「ドリィとグラァの性別(笑)」

 パッと思いつく大きな伏線&謎はこんなもんでしょうか。商人とかは既に諦めてはいますが・・・
 思ったよりも各キャラごとのドラマはまだ残っているんですよね。キッチリまとめ終わったのは今週のカルラと・・・トウカくらい?見ようによっちゃエルルゥも決着付いているのかも知れませんが。

 個人的には、初期からのメンバーであるオボロとユズハの使い方次第で評価がガラッと変わるかなぁと思っています。次にカミュ。やっぱり“いるだけのキャラ”が出てくると、キャラ配置に失敗したんだなー、原作付きアニメだからなーという気がしちゃいますもの。残り7話、コレだけのキャラを動かすのは大変でしょうが・・・是非、妥協することなく最後まで走りきってもらいたいです。



 そういや、今週はカミュとウルトリィの合体魔法がありましたが・・・この二人が本当に姉妹なのか微妙に疑っている僕とすれば、素直に萌えていいのか悩みどころでした(笑)。カミュはカルラの過去も知らなかったみたいですしね。


 








■ 『うたわれるもの』 第20話 「初陣」
脚本:福嶋幸典 絵コンテ:サトウシンジ 演出:宮原秀二 作画監督:金有千

 
ホントにうたわれロボ出てきたー!!

 「これ(=DVDボックスの値段)をなんとかしようと思うと、うたわれロボとか、声の出る武器とか、学習机とか、出さなければならなくなる大人の事情 」
 ―――ウエズドットコム

 ということで、DVDの値段を抑えるためにうたわれロボを登場させて、おもちゃ化して一山あてようとの上江洲さんの策略・・・なワケではなく(笑)。どうやら、この巨大な力がラストへ向けての大きな展開になる模様。ニウェの横にいた人も出てきたし、アズラエルみたいな狂った坊っちゃんキャラも出てきたし・・・いよいよ持って最後が近づいてきたカンジですね。


 しかし・・・何なんだ、いきなりロボって。一応伏線張ってありましたし、巨大な力という意味では象徴的で面白いと思うのですが。失敗したエヴァンゲリオンみたいなデザインと、強さのよく分からんバトル描写がなぁ・・・正直、カルラなら瞬殺出来るんじゃないかとすら思ってしまいます。
 プラモにしても売れないだろうなぁ。やはりここは声の出る武器か・・・ホントに鉄で出来てる鉄扇とか。重くてしゃあない。
 プチムックルのぬいぐるみなら欲しいですね。



 ○ この期に及んで女性キャラ増えたー!
 しかも、CVが水橋かおり。
 お尻がプリプリしてたり、クーヤに振り回されたり、本音を言わない彼女を心配したり。僕としてはクーヤよりもこのコの方が好きです。このコをどう使うのかに注目しております。
 普通のファンタジーならお姫様とメイドさんだろうに・・・和服なら和服らしく、あまり肌を出さない重ね着パターンが良かったなぁとか言ってみる。


 それはさておき。エルルゥもクーヤと接触したことで、人間関係に深みが出てきました。エルルゥとサクヤが(流れの中で)意気投合していたのが可愛かった。この作品はホント女性陣同士のやり取りが萌えますね。男同士も萌えるのに、男女だとイマイチ好きになれないのは・・・単に僕の僻み根性か(笑)
 エルルゥがクーヤ&サクヤと知り合い、クーヤの部下であるはずのアズラエルみたいな人(髪長いヤツね)はウルトリィの説得を無視。ニウェの横にいた人を使って人体実験で戦力増強を考えてるっぽい・・・どうしてか『うたわれ』の敵キャラはイヤ〜なヤツばかりなので、アズラエルみたいな人がラスボスだったらどうしよう。フツーに考えれば、ニウェの横にいた人が黒幕でアズラエルみたいな人は利用されてるだけなんでしょうけど・・・・

 敵の名前が分からない(覚えられない)ので、読みにくい文章でゴメンなさい。



 ○ キャラ数多いのだから仕方ないんでしょうけどさ・・・
 カミュの伏線消化。
 特別な力と黒い翼を持つ彼女は、ここに来てアルルゥと出会うまで友達を作ることも出来なかった。なのに、自分の中の特別な力ゆえに、アルルゥに危害を加えてしまい・・・というカンジでしょうか。何気に、自分の中の化け物と戦うハクオロと対比されているのかも。


 しかし・・・どうにもここでも、あと一歩の詰めの甘さが見えてしまっているのも確か。
 クーヤに絡んでの「三大強国」という台詞もそうだったんですが、台詞だけで説明するにしてももうちょっと何とかならんかなと思います。喩えば、単に「三大強国の一つか!」と言うのではなく、「○○や××と並ぶ強国じゃないか!」と言わせた方が視聴者としては分かりやすいじゃないですか・・・まぁ、視聴者が国の名前を覚えているかは置いといて。

 カミュの孤独と変化についても、水がどうのこうのとか、カミュの特殊性なんかは丁寧に伏線を張っていた割に。カミュが感じていた孤独や心理描写についてはほとんど説明がなく・・・初登場時の明るさから考えるに、「友達が一人もいなかった」という言葉に説得力を感じることができず。いい話ではあるのだけど、心にまでは届いてきません。
 そもそも作中に翼人が数人しか出ていないのだからムリはないんですけど、黒い翼を持つことで陰口を言われるシーンとか、アルルゥやユズハと話すことでカミュが変わっていくシーンとか、それを見守るウルトリィかムントの台詞で説明するとか・・・・色々とやり様はあったんじゃないかと思います。突然本人が「私はこれこれこういうことで悩んでおりまして、今こういう風に思ってます」と言うのは、一番楽だけど一番芸のない説明描写だと思う・・・・



 とは言え、そうした「ちょっと説明不足じゃね?」といった部分を、若い役者が演技によって埋めているのが頼もしくもあります。釘宮理恵、沢城みゆき、中原麻衣・・・男性陣もそうですが、芸達者を配置させたことで(地味だけど)地に脚ついた安定感のある作品になったのは確か。沢城さんのアルルゥはやっぱすげーや。一行の台詞にアレだけのものがこもっているんだから・・・



 ということで、こっからラストスパートっぽい。
 伏線の使い方からするに不安も大きいのだけど、キャラの魅力は(新キャラも含めて)キッチリ立っているので最後まで期待をしたいです。だからこそ、無駄キャラが出そうな心配もあるんですけどね(笑) こればっかしは原作付きアニメは仕方ないと考えるべきなのか。


 








■ 『うたわれるもの』 第21話 「大封印」
脚本:福嶋幸典 絵コンテ:サトウシンジ 演出:井硲清高 作画監督:徳田夢之介

 
レバノンがあんなことなってる今、敢えてここまで宗教戦争(民族戦争)を描くとは!

 
翼の人は池田秀一だった!!

 
てゆうか・・・今の瞬間まで、この翼の人は喋っていなかったのか!!!


 というワケで、ますます『ガンダムSEED』っぽくなってきているのですが・・・ここ数週間ずっとテンション落ちっぱなしだった僕も、今週の展開で燃えてきたかもです。
 どんどん国が落ちていく展開には「駆け足だなぁ」と思う人もいるでしょうけど、僕としてはこれくらいが丁度良かったです。どうせ視聴者は味方サイド(=トゥスクル)と敵サイド(クンネカムン)くらいしか知らないワケで、その他の国が負けるシーンなんか台詞一つで飛ばしたって構わないと思います(ウルトリィ達の国は伏線にもなるだろうから描く必要ありましたけど)。実際、トゥスクルの国の人からすると伝令くらいでしか状況が分からないワケですしね。




 ○ 戦争アニメに勧善懲悪は要らない
 個人的に先週までテンション下がりまくりだった理由がコレ。ニウェにしても、カルラの故郷のオカマにしても、この作品の戦争って個人が原因で起こることがほとんどなんですよね。そりゃ歴史を顧みても暴君を打倒するために戦争や反乱が起こるということは多々あることなんですけど、アニメーションでそれをやって何を伝えられるのかなーと思ってしまいます。悪いヤツがいました、悪いヤツのせいで戦争が起きました、悪いヤツを倒したので戦争はなくなりました、よかったよかった―――仮にも作中でバシバシ人を殺す作品なら、それじゃいかんでしょうよ。

 この作品がソレが出来ていないというワケじゃなくて、初期のベナウィなんかは“戦い合わなくてはならない”悲壮感をキッチリ描けていましたし、戦争が起こる哀しさ・好きな人を戦争に見送らなければならない無力感を描いていました。だからこそ、この作品を戦争モノとして期待できていたのですし、ニウェ戦以降の展開に「どうなんだろうなー」と思ってしまっていたのです。単に萌えキャラだけ出して、戦争描写は蔑ろにしてるのと一緒じゃんって。



 で―――今週の話。
 髪が長くて視界が半分な人が、そんな髪型してるから視野狭くてアレな発言ばっかしていて。コイツを諸悪の根源として戦争が起こったとかいう展開で終わったら見限る覚悟があったんですけど、その辺はちゃんと上江洲さんは分かっていましたね。ここまでの描写も全てここに向けての布石でしかなかった模様。
 髪が長いアレな人とは対照的に、理性的なもう一人が言うようにクンネカムンは孤立無援。もちろん池田秀一の人の幻術もどっかで使われているんでしょうが、ソレ抜きでも民衆の抑圧された気持ちは限界だったし、実際に他国もクンネカムンを虐げてきた負い目もありますしね。

 この辺り。クンネカムンと他国の宗教がユダヤ教・キリスト教の状況に似ていることから考えると、現実の2006年現在の世界情勢があんなことも相俟って(このタイミングは偶然だと思いますけど)、観ていて辛いものはあります。初期の印象では土着の雰囲気やアイヌっぽさから『火の鳥・太陽編』のように民間信仰vs仏教みたいな話になるのかと思ってましたが、それを現代風味にアレンジし直した結果分かりやすくなって。『ガンダムSEED』っぽくもなっちゃったような(笑)
 まぁ・・・とにかく。単純に一人の責任で戦争が起こるということではなく、民衆がいて王がいて配下がいて、一人一人が必死に幸せを求めた結果、哀しいことに戦争へと突入していく様が丁寧に描かれていて良かったです。『SEED』でも『うたわれ』でも、視聴者的に「憎し」と思わせる選民思想バリバリとか破壊願望だけで生きてるヤツとか出て、“分かりやすく”されていることには疑問も多少あるのですが。戦争やら宗教やらの話だけで視聴者全員を納得させることも出来ないし、見たカンジ悪いヤツを作って人身御供にするのも仕方ないか・・・




 ○ ハクオロを救ったもの
 イマイチ使いどころが謎だった日常シーンですが、なるほどここ数週これでもかってほどに繰り返されていたのは理由があったんですね。オリカカン、ニウェと戦った時、ハクオロは追い詰められて正気ではありませんでした。憎しみに憎しみで返し、仕方ないとはいえ、侵略を防ぐために敵地に乗り込んで多くの人を殺すしかありませんでした。その結果、自分の中の化け物に囚われ怯えることに。

 その恐怖から救ってくれたのがエルルゥであり、その後に人々に訪れた平穏な日々でした。平穏な日々の描写が戦闘訓練というのはどうかとは思いますが、泥沼な戦いを乗り越えたからこそ人々は平和を手に入れ、ハクオロを救うことにもなったのでしょう。


 この状況・・・実はハクオロもクーヤも一緒なんですよね。侵略を防ぐために戦うしかなくて、戦えば戦うほど力に飲み込まれて、憎しみに憎しみで返し返され、統一するまでは戦うことを辞められない・・・ハクオロが「ニウェを倒せば全部うまくいく!」と思ったように、クーヤも「統一すれば何とかなる!」と思っているのでしょう(実際には統一してからが大変なんですが・・・)
 そういう意味もあって、クーヤが力に飲み込まれているシーンと並行して、ハクオロが得たトゥスクルの平和な日常シーンが描かれているのも興味深いです。




 ちょっと、消えかけた火に油を注ぐ行為かも知れませんが・・・
 アニメ版でのクーヤの扱いについて、「原作よりも登場が遅い!」「エルルゥばかりが優遇されている」という原作ファンの意見が僕に届いてました。僕に言ってどうするというのは置いといて―――原作をやっていない&多分これからもやる気のない僕からすると、今週を見てアニメの構成は計算されているなと思いました。
 つまり・・・・・・クーヤの登場は、ハクオロがエルルゥ(達)に救われて葛藤消化した後でなければならなかったんですよ。もしクーヤの登場がもっと早くて、ハクオロの葛藤消化に一役買っていたとしたら、今週の「オマエにも支えてくれる仲間がいるじゃないか」というハクオロの台詞は出てきませんし。今後に敵味方に分かれて戦う説得力も、最終的に“力に飲まれそうになっている”クーヤを救うことの重みも薄れてしまうと思います。尊敬しているけど、相手は自分を必要としていなくて、だから自分も頼れなくて―――という微妙な距離感だからこそ、クーヤとハクオロの物語は始まっていると思うのです。


 まぁ、アニメの場合は脚本上ちゃんと動かせる人数も限られてますし、インフレがムチャクチャになるから出せなかったって理由の方が大きいような気もしますけど。




 つい最近出てきた重力魔法―――早くも最終形態みたいのが出てきました。そして早くも破られました(笑)
 ソーラーシステムとコロニーレーザーみたいなものでしょうか。わざわざサブタイになってるくらいだから、これを再利用して逆転の鍵にするのかも??老人が一丸となってやっていたことを、味方サイドがどうやって再利用するのかは・・・想像できなくはないですけど、無理して書いたりはしません。

 んでもって、来週はハクオロ抜きの味方チームvsうたわれロボ。カルラ最強説をどうやって打ち破るのか、オボロ活躍伏線はちゃんと活かされるのかに注目してます。オボロはここで負けて、次のチャンス(最終回くらい)でリベンジとかかなぁ。マジメな話、オボロ、ユズハ、カミュ、アルルゥ辺りをどう使えるかで上江洲さんの評価も決まると思うのです。ムダキャラを出さなかったら、この作品も傑作の仲間入りでしょうに。


 








■ 『うたわれるもの』 第22話 「忌まわしき契約」
脚本:鈴木雅詞 絵コンテ:奥田誠治 演出:木村寛 作画監督:吉本拓二・池島麻智

 TVKでは2話連続放送の1話目。
 23話はまだ観ていない状況での22話感想なんで悪しからず。



 ○ アズラエルみたいな人を何とかしてくれ
 ストーリーの都合上、こういうキャラを出さなければならないんでしょうが・・・こういう記号的な「悪」で「狂っている」敵キャラを出した途端、ストーリーが雑な印象を受けてしまうというデメリットも生まれちゃいます。だって、こういうヤツを一人作って、“理由もなく”虐殺とか子ども殺しとかの責任をコイツ一人になすりつければ、シナリオ書く側からすると楽なんですもの。

 いや、もちろん。コイツにもこういう選民思想に陥った経緯とか理由とか、設定としてはあるのかも知れませんが・・・作中で描けていない以上、設定があるかどうかなんてどうでもいいことで。今週の虐殺も「悲惨」とか「酷い」という印象よりも、記号的な悪役が記号的に悪役っぽいことをやっていたなーという印象しかありませんでした。だから、こういう記号みたいなキャラは、名前を覚える気も起きませんや。


 何故わざわざここまで酷評するんだと思う方もいるでしょうけど、僕としては『うたわれるもの』ってこういうところに気を配っていた作品という想いがあったため、どうにも雑な描写が気になってしまいます。
 初期のヌワンギなんかもどうしようもない悪役ではありましたが、エルルゥのことが好きでハクオロが憎くてトゥスクル様のことがあるからもう戻れなくて・・・と、悪い道に染まっていく様子が「仕方ないな。ヌワンギも可哀想に」と思わせるほど、説得力を伴って描かれていたものでした。それに比べて、このアズラエルみたいなヤツのキャラ描写の薄っぺらいこと、薄っぺらいこと・・・


 んで、こうして「こういうストーリー展開にはこういうキャラが必要なんだから仕方ないじゃん!」という作り手側からの御都合主義が一つ見えてしまうと、途端に他の部分も御都合主義に見えてしまうから不思議です。もう一人の青いうたわれロボに乗っていた人が来ちゃうとアルルゥ虐殺が出来ないから、ハクオロ覚醒しなくて困る→足止めのためにカルラとトウカを→あれ?でも、ハクオロの命令があったような→よし!命令違反で乗り切れ!
 ちょっとなぁ・・・キャラの動かし方があんまし上手くなかった気がします。ハクオロが敵を引きつけてるとこに、エルルゥが簡単にやってこれるというのも妙な話ですし。



 えぇっと・・・批判してばかりだとアレなので、ちょっと話ズラします。
 戦闘描写はまぁ悪くはなかったんじゃないでしょうか。『サムライ7』で敵を狙撃したデカいボウガンみたいのが、何の前フリもなく出てきたのにはビビったけど、ほとんどノーダメージだったからコレくらいが良かったのかも。デカい敵にデカい武器で対応というのはセオリーなので、最初に「効かなかった」と描いておけば、視聴者的にもピンチ感と「どうやって倒すんだろう」というワクワク感が出てきますからね。
 その割には、シンクロ率400%で倒しただけなんですけど(笑)
 今週のオボロ&クロウが瞬殺されたことや、まだ敵のロボが残っていることから考えると、ハクオロの化物化に頼らずに“今まで築き上げた仲間たちの力”だけで倒してくれるんじゃないかなーと期待はしているんですが・・・何度も言うように、カルラなら瞬殺出来そうという気がしちゃうのがなぁ。

 敵のロボが血まみれになっていく姿は、残酷さよりも「血ィ出るんだ!?」ということの方が驚きでした。
 そういや何か「神から授かりしもの」みたいな、抽象的な台詞で説明していましたものね。ハクオロの正体と何らかの関係があるということなのかな?




 ○ 博士の声、どっかで聴いたことあるなぁと思ったら
 クレジット観て、検索したらムントの人でした(笑)
 しかも何か、相当若い声優さんみたい?もっと年食ったベテランの方がやっているのかと思ってましたよ・・・


 ということで、ハクオロの正体だけでなく、エル&アルにも絡んだ設定だったみたい・・・この辺の見せ方は時間軸をグリグリ動かしている分、多少分かりにくいところはあるんですが。脳内で再構築しなければならないのは、個人的には好みだったりします。

 人為を越えた神様みたいな化け物が元々いて、ハクオロとエルルゥは時間軸を越えて別々に契約したとかそういうこと?
 ハクオロ→ 発掘したホワイトドールに血を奉げたことで、タイムスリップして神様の肉体で生き返ることに
 エルルゥ→ アルルゥの命を救ってもらったことで神への忠誠を契約。1話目からハクオロラブだったのも、これが理由?

 自分で自分の解説文がよく分からないのはご愛嬌・・・エルルゥの愛情が自分の身から出ている愛なのか、それとも神との契約に基づくものなのか。掘り下げていったら物凄く面白そうな題材ではあるんですが、残り話数から考えると掘り下げる余裕はなさそう。ふぎゃー。
 今回アルルゥは生き返ったけど、誰もが生き返るワケじゃなくて、エルルゥとの契約でアルルゥだけは生き返るってことだと推測されます。この論理で言えば、戦闘要員の数だけ妾を増やしていけるんじゃ・・・・(酷)



 ちょっとマジメな話をすると―――第1話でハクオロがエルルゥの尻尾を「何だコレ?」と触ってセクハラするシーンがあったじゃないですか。あそこに僕はずっと違和感覚えていて、「今は半獣人みたいなキャラばっかだけど、獣要素のない人達がその内に登場して、ハクオロはその部族の出身とかなんだろうな」とか勝手に考えていました。それなのにちっとも出てきやしなくて、疑問っちゃ疑問だったんですよ。
 こういう異世界を舞台にしたお話の場合、第1話になるべく視聴者と同じ目線のキャラを登場させて、作品内の世界観を見せるのがセオリーです。『舞乙』だと、田舎者のアリカが「あれは何?あれは何?」と視聴者目線でニナに質問して、ヴィントブルームの街並みを説明したようなカンジ。現代のスポーツ漫画でも、『スラムダンク』とかは晴子が桜木に「バスケってこういう競技だよ」と説明するトコから始まりますしね。
 なので・・・第1話のハクオロの行動は、「何だ、このコの尻尾は・・・?」という視聴者の疑問を作品内でカタチにしてくれたのかなぁと自分の中で結論付けてはいたんですが。もっと根源的にこの作品全体に関わっていて、ハクオロは元々僕ら視聴者と同じ文化に生きていたキャラだということの伏線だったんですね。んでもって、この時代に来たのは神の御力。一応コレで農地改革やら「そんなのは神じゃない」発言らの辻褄は合うかな・・・ひょっとして、アルルゥが獣の言葉が分かるってのも伏線だったりするんでしょうか。





 ということで、個人的には一長一短な回でした。
 いつも騒いでいる“死んだキャラが生き返った”については、別に構わないんじゃないかなと思いました。アレはハクオロやエル・アル姉妹についての重要な設定を明らかにする意味でもありますし・・・それよか今回は敵役が酷すぎた。こういうキャラ出しちゃうだけで、途端に冷めてしまうからなぁ・・・


 








■ 『うたわれるもの』 第23話 「心の在り処」
脚本:名田ユタカ・上江洲誠 絵コンテ:奥田誠治
演出:渡辺正彦 作画監督:徳田夢之介

 サブタイにもあるように、1話まるまる使ってエルルゥ→ハクオロ描写の最終確認。
 半日前の感想で「残り話数から考えると掘り下げる余裕はなさそう」と書いたばかりだったので、こうやって正面きって描いてきたのには感服しました。素晴らしかったです(おかげで、他の描写が駆け足になっちゃったトコはありますが)。ただ・・・個人的には、このテーマを上手く最終決戦に絡めて欲しかったなぁという思いです。戦争描写は戦争描写、恋愛は恋愛、友情は友情、と完全に分離しちゃっているところが・・・この作品の手堅いところであり、爆発力が欠けていた理由だったんじゃないかと思います。



 ○ エルルゥ→ハクオロ話の一応の決着
 ハクオロの方は未来でも「ハクオロ」と呼ばれてたり、先週の博士と今週の人(ミズシマ?)が違う人っぽかったり、撃たれた前話と仮面の今話の時間軸が分かりにくかったり、ミコトって誰やねんだったり。謎は深まるばかりなんですが・・・エルルゥの方は、ちゃんと整理されて分かるようになってました。

 “地震→ 倒れているアルルゥを見て、神と契約→ 直後に傷ついたハクオロを助ける?→ 第1話へ”
ってトコですかね。この流れならば、第1話で既にエルルゥがラブモードだったことすら「神との契約だから?」と思えてしまえますよね。だからハクオロからどんなに優しい言葉をかけてもらえても、うつむいて涙を流すことしかできないエルルゥ・・・この想いすら、神との契約で縛られたものだとしたら・・・と。


 個人的にはコレくらいで丁度いいと思うのですが。説明台詞を一切入れず、、エルルゥの表情作画と柚木さんの演技だけで複雑な心境を描写するのは冒険だったろうなーと思いました。何故エルルゥが泣いているのか、勘違いしちゃう視聴者もいたでしょうしねぇ・・・ベタな話だとハクオロが化け物になったことに涙したと思われそうではあるんですが、この作品では「ハクオロさんが何者であったとしても・・・」と既に乗り越えた道であって。エルルゥはその“ハクオロを想う”自分の心すら真実ではなかったんじゃないかと葛藤して泣いていたのです。
 ただ、説明台詞一つ入れるだけで安っぽくなるのも事実なので、この判断には拍手を送りたいです。こうした針の穴に糸を通すような繊細な心理描写を出来るスタッフが、敵の描写となるとどうしてあんなに雑になるんでしょうね・・・


 なので、“誰にも言えない”エルルゥの気持ちを見越して、ウルトリィのかけた言葉が

 
「カムナギである前に、一人の女として貴女に伝えたいことがあります。
 心だけは・・・誰のものでもありません。貴女のものなのですよ。
 神の契約でも、繋ぎとめておくことが出来ない唯一のもの・・・貴女は心のままに生きて良いのです」


と、エルルゥの不安と作内テーマを絶妙なまでに具現化した台詞だったのに痺れました。ウルトリィ−エルルゥのラインは、ウルトリィ初登場時からキッチリと構築されていた関係だったというのも熱いです。



 不満点を挙げるならば、前述したとおりに戦争パートに活かして欲しかったことと、ウルトリィがハクオロの正体を監視していたという伏線が十分に張れていなかったということ―――いや、ウルトリィ伏線は僕が気付いていなかっただけかも知れませんけど、その辺、視聴者に十分負荷を与えて“タメ”ておけてこそ、今話で裏っ返す威力が増すというのに・・・まぁ、原作付きアニメでは、そこまで好き勝手にキャラを動かしたりは出来ないんでしょうね。




 にしても・・・エル・アル姉妹のイチャイチャには萌え死にそうになった・・・
 沢城さんはホント天才だよ・・・・・・「お腹いたいの?」の台詞一つで、ここまで身悶えさせるとは。



 ○ ゲンジマル強すぎじゃねえの?
 早くもうたわれロボにデフレ現象です。現時点の戦闘描写はこんなもんでしょうか?

 覚醒ハクオロ>ゲンジマル>うたわれロボ>カルラ>トウカ>ベナウィ>>ムックル>ノーマルハクオロ>>クロウ=オボロ>名もなき一般兵

 もちろん“術”が両陣営にあるので、単純にこの強さがそのままの話にはならないでしょうし、僕はオボロが最後に魅せてくれることを信じていますよ!あと・・・ヌワンギも・・・一応は期待していますよ。残り3話しかない状況で、どうやって登場できるのかという気もするけどさ。



 ハクオロ覚醒は自由に出せないでしょうから、現時点で作中最強キャラのゲンジマルが味方陣営に。その直前にシャアの中の人と会話していたので、単純に味方についてくれただけではないんでしょうが―――敵に回るという前提ならば、ここで「ロボすら瞬殺する!」とインパクトを出しておけたのは大きいかと。ゲンジマルの強さを印象づけるインフレというよりは、ロボと覚醒ハクオロの強さを弱めるデフレ描写という印象でしかありませんでしたが・・・

 ゲンジマルの裏切りで、クンネカムンに対しての光明が見えました。各部族の反乱を統制するために、ウルトパパを助ける必要があるということで救出に出かける一同。救出劇は全カットでした。んでもって、「もうその役はオマエがやりなさい」とウルトリィに任せることに―――わざわざ、こんなオッサン助けに行く必要なかったんじゃなかろうか・・・パパが不在の方が、ウルトリィの見せ場が際立ったと思うし。
 つまりは・・・シャアの中の人との絡みで、ウルトパパが舞台に上がる必要があっての救出劇だったんでしょう。でも、この辺りはもうちょっと上手くやろうと思えばやれたような。それこそヌワンギとか商人の人とか、メインキャラ以外にも動かせるはずのキャラがいるんだから、そうしたキャラに勝手に動いてもらって救出するとか。この作品、自国の思惑と敵国の思惑以外は描かれないから、世界がどうしたって狭く思えてしまう・・・「あのキャラはこんなとこでこんなことをしていた」的な描き方の大切さを知りましたよ。





 とは言え、残り3話か・・・
 アルルゥは一応掘り下げられたので、後はカミュとユズハ、ひょっとしたらオボロもってとこでしょうか。いっそのことユズハはこのまま寝たきりのまま見せ場なしでも良いんじゃないかという気がしてきました(笑) 残り話数で、どれだけ“いるだけキャラ”をなくすことが出来るか注目しています。


 








■ 『うたわれるもの』 第24話 「滅びゆくもの」
脚本:上江洲誠 絵コンテ・演出:志村錠児 作画監督:小山知洋

 打ち切りが決まった後のジャンプの漫画みたいな24話でした。ラス前・前?

 1.急激なデフレが始まる
 → 先週までハクオロとゲンジマルにしか倒せなかったロボが、(士気が上がっていたとは言え)一般兵にやられてた。
 2.途中の戦闘が端折られる
 → ゾンビ兵の扱いが悲惨なことに。ハクオロと同じような仮面ということにも、全員ノーリアクション。
 3.重要なキャラだけラスボスの元にワープ
 → どうやって“そのキャラだけ”その場に向かわせるかというのが脚本家の見せ場なのに・・・。
 4.なんか、精神論で敵が納得した
 → まぁ・・・これは頑張ったとは思います。詳しくは後述。
 5.仲間が全員追いつく
 → え?こんな近くまで来てたの?
 6.ラスボスが登場して、今までの謎を解説
 → 打ち切り漫画だったら、ここで説明台詞のオンパレードですが・・・この作品はむしろ謎が深まるような説明でした。
 7.ようやく敵を撃破したと思ったら、唐突にもっと強いヤツが!
 → 驚くというよりも、「ポカーン」としてしまった・・・伏線みたいのはあったけどさぁ。詳しくは後述。
 8.頼れる親父キャラ(兄貴キャラでも可)が敗れた!
 → うたわれロボを瞬殺できるほどの強さのゲンジマルが消滅したことで、味方サイドに危機感(?)
 9.どうしよう!世界はこのまま滅んでしまうのか!というところで、次週へ
 → 危機感を煽るだけ煽ったが勝ち。

 とまぁ・・・これらの要素をなるべく駆け足で1話以内に詰め込んで、残り話数でクライマックス・エピローグまで持って来れるのを逆算できるかどうかが「良い打ち切り漫画/悪い打ち切り漫画」の境目になると思うんで―――打ち切り漫画の場合は、「ゴメン。今週はダイジェストでも我慢してくれ!」という回も納得できるんですけど(作品の評価は、むしろ残り話数でのクライマックスでされることが多い)
 このアニメは4月から話数計算されて構成されていたんだから、余りに唐突で駆け足な展開で“最終決戦前”と盛り上げられてもって思ってしまいます。やっぱりカルラメインの2話が余計だったなぁ・・・



 ○ クーヤ物語の決着
 ゲンジマルは普通に裏切ってました・・・
 ちょっと読み間違えました、ゴメンなさい。ディーが出てきたことで行動を起こしたんでディー側の人間だと思っていたんですが、ディーが出てきたことによってハクオロらに救いを求めたってことだったみたいです。その割には、今週特攻しかけて自爆してるんで、サクヤとクーヤを助けるためには自分の命は捨てる覚悟だったんでしょうね。その意味では彼は目的を達成したんで、死に様はむしろアッパレと言った印象・・・名前ある味方キャラで死んだのって、おやっさん以来か・・・


 ただまぁ・・・その助かったクーヤの方が・・・
 一般兵を殺すのに躊躇していたり、ハクオロを“同じ王の立場として”比較して尊敬していたり、しっかりと伏線張ってこのラストという構成ではあったんですが―――諸外国を巻き込む大戦争を起こしておきながら、そんなにあっさりと納得しちゃうのかよと。ハクオロの言うとおり、「そんな覚悟しかなかったのか」と言いたくなっちゃいます。

 クーヤの言っていた部族間の差別であったり迫害だったり、彼女が戦争を起こした理由は尤もなものでしたし、僕等が生きている現実の世界だって他人事ではないテーマだっただけに・・・作中でも何一つ解決していないのに、「民のことは任せろ!」の一言で済ませてしまうのは拍子抜けです。
 そもそもの部族間の対立は“神の対立”が根本にあるのだから、ハクオロとディーの戦いでちゃんと補完されれば良いんですが・・・どうにも、広げた風呂敷をたたまずに「どうだい?キレイにまとまっただろ?」と言われているような感覚すら覚えます。エルルゥとクーヤの関係だって、遭遇させた成果もほとんどないまま終わっちゃったし・・・


 でも、よくよく考えてみれば“現実を暗喩しているような”内容であればあるほど、現実的な解決方法を描くことは出来ませんし。精神論でキャラを救うというのは、キャラアニメとしては間違っていない選択だったのかもなぁと好意的な解釈も出来ます。忘れちゃいけないのは、このアニメは戦争アニメというよりもキャラアニメなんですよね。一時期、合戦シーンが神な出来だった頃があったので忘れていました・・・・



 ○ カミュの伏線はコレで消化・・・・・・?
 で、キャラアニメとして観てしまうと、逆にこっちに不満が出てきてしまいます。
 「異質な黒い翼」「魂と戯れるコ」「体に異常?」「エルルゥのように、ハクオロ以外にも契約した者がいた」とまぁ・・・比較的、丁寧に伏線張られていましたから。突然のボスキャラ化も、演出が迫力不足だった点を除けば、概ね納得は出来ます。ケツがやたらエロかったですし(笑)


 ただ・・・「私を選んでいれば、私は敵にならなかった」みたいな台詞には「?」を感じちゃいます。
 いや、とりあえず僕の拙い読解力で読み取った話で言いますけど・・・言うなればヒロインAとくっ付くとヒロインBとCが敵にまわるパターンってな感じで、アニメ版ではエルルゥを選んだからカミュが敵にまわったってことなのかなーと解釈したんですが、それだとちょっと腑に落ちないところが。
 だって、アニメ版でカミュが恋愛対象として描かれたシーンなんか一度もなかったじゃないですか。
 こういう“主人公の選択によって運命が変わってしまう”展開の場合、分岐点をそれとなく描いておく必要があります。『ひぐらし綿流し編』の人形エピソードなんかはそのお手本みたいなシーンでしたよね。でも、この作品の場合、エルルゥを選ぶかカミュを選ぶかなんてシーンは、暗喩も含めて一度もなかったんじゃないかなぁ。僕が記憶してないだけという可能性も大いにありえますが、カミュが出てきた時点で既にエルルゥは本妻の位置をがっつりキープしてましたし、カミュとくっ付くなんて展開は最初から考えもしてなかったですよ。


 いや、待て。そもそもエルルゥを選んだのが、ハクオロなのかあの化け物なのか―――カミュはどっちのことを言ってるんだろうという気も。もしエルルゥと契約したことによって、既にエルルゥEDが確定していたとするならば・・・視聴者にとって第1話よりも前の時点で、既にカミュの敵化が決まっていたということになっちゃって。なおさら「私を選んでいれば、私は敵にならなかった」とか言われてもなぁって気になっちゃうんじゃなかろうか・・・。




 うーん・・・前々回のアルルゥの使い方はそれなりに上手かったと思うんですが(エルルゥとの契約のきっかけになっていたってヤツ)、カミュの使い方は伏線張って引っ張った割にはイマイチだったかなー。釘宮さんの演技豹変とコスチュームは素敵ではありましたが。何度も書くけど、ケツがエロ過ぎです(笑)


 あとは・・・ユズハとオボロをどう使うのか、サブキャラ同士の関係をどう活かすのか次第ですかね。
 今週が駆け足だった分、残りの回でじっくりとクライマックスを描いてもらいたいものです。何だかんだ言ってきましたけど、終わり良ければ全て良しなのがアニメですからね。


 








■ 『うたわれるもの』 第25話 「太古の夢跡」
脚本:上江洲誠 絵コンテ:深沢幸司
演出:中村和久 作画監督:東海林康和

 ラス前。主人公とラスボスが浮かび上がって対峙して最終回へ―――
 本来ならもっと盛り上がってもイイはずなシチュエーションなのに、どうにもテンションが上がらないのが何とも。“仲間が足止めしてくれている間に、ハクオロ+アルファ(オボロとかエルルゥとか)が敵と対峙”というパターンが繰り返され続けて新鮮味が全く感じられないというのが一番の要因かと。4〜5回目くらいですからね・・・正直「またか」と思ってしまいました。

 比べるのは絶対に良くないとは分かっているんですが、『舞乙』なんかは最終決戦までこのパターンは使わず、それでもって最終回も各キャラごとの足止めに見せ場を用意していたりして凄い密度になっていたのを思い出すと―――「兄者!俺達はどこまでもついていくぞ!」と言いつつ、スライムの群れであっさり置いてかれる毎度のパターンには、こいつらってホント頼りない仲間達だったなぁとすら思ってしまいます。物語序盤に殺されてしまったおやっさんなんかは、むしろ優遇されてたような。



 ○ 大罪を犯したクーヤの処置
 トウカの時すら許容範囲ギリギリでしたから、それ以上の惨禍を巻き起こしたクーヤをあっさり許せるような展開ではなく、かと言ってこの作品で処刑とかは出来そうにもないので。人格崩壊させて、それでもサクヤがまだ傍にいてあげられるんだよという落とし方は、重いけど上手いと思いました。次週の展開次第ではあるんですが、それなりの罰を与えなければという制作者サイドの覚悟は感じました。

 というか・・・サクヤを裏切らせておいたおかげで、クーヤにちょっとだけ救いが残っていたのが良かったですね。サクヤの存在意義が完全消滅せずに済んで。



 ユズハは・・・・・・このまま「いなくてもよかった」ポジションで終わってしまいそうでショボーン。
 一応、「俺達はみんな兄弟だ!」的な、この作品の根本を言語化したというのが最後の役割なのかも知れませんが―――紫琥珀とか、「海に行きたい」とか、先は長くないとか、やたらめったら張りまくった伏線は放置されたまま。この辺はゲームをやってみてねってことなのかも知れませんが、アニメ単体で観ると未消化の伏線が残ったままというのは心象よくないですね。紫琥珀なんてサブタイにすらなっているんですから、「物語終盤でコレに纏わる話が出てくるんだろうなー、その時にユズハが重要な役に回るんだろうな」と期待していて、アルルゥやカミュとの横の繋がりが出来たところで更にワクワクしていたんですけど・・・・・・



 まぁ、それを言い出すとオボロやトウカも似たようなもんか(笑)
 どうやら、彼らの見せ場も「俺たちも一緒に行くぜ」で終わりなのかも知れませんね。オボロの成長伏線も、「後は任せた」というハクオロの台詞で済ませたつもりっぽいし・・・・そんなん伏線消化でも何でもないよ、人が人として苦悩して成長した姿を台詞一つで描いたつもりになられてもなぁ。来週に見せ場がまだ残っているのだと、最後の希望を託します。



 アルルゥ−カミュの件は、「流石!」と唸らされましたけどね。
 アルルゥの描写はホント丁寧で良かった・・・おかげで、カミュ(とその正体みたいな人)の方は薄っぺらくなってしまいましたが・・・



 ○ ハクオロとカミュとディーと・・・
 んで、キャラの根底にある設定がある程度明らかになった回だったぽいんですが―――外国語どころが母国語も満足にヒアリングできない僕にとって、この作品のカタカナ語の乱発は聞き取る気も覚える気も起きなかったんで、正直よく分かりませんでした。ゲーム→アニメ→ゲームとメディアミックス展開した作品なので、その辺の処置に気を配る必要はないと思っていたのかも知れませんが・・・公式サイトに用語解説くらい置いておけよと思いました。『シムーン』とか『ソルティレイ』とか『舞乙』とか、カタカナ語乱発のファンタジーアニメは最低限のカバーはあったもんなあ・・・・


 えっと・・・
 だからと言って考えないまま感想終えると怒られそうなので(笑)、映像だけで観たカンジ―――発掘した神様っぽいものの前で撃たれた男が冷凍か何かで延命させられていて、起こされたら「アイスマン」と呼ばれる仮面の男になっていた。この間に長い時間を経ていたのか、人間は施設の外では生きられない体になっていて、“新たな生命”を自分たちで作ろうとした。そうして出来たのがミコト達で、彼女らはアイスマンと一緒に外の世界に逃げ出し、この世界の祖先となり。その“新たな生命”の更なる基礎(?)となったのがムツミで、カミュの中に入ってた人ということかな。
 なので、この世界の人間は全て“新たな生命”として耳やら尻尾が付いているのに、元々人間だったハクオロにはソレがなかったということか―――そうなるとミコトとエルルゥの関係(あの輪っかは何?)と、ディーの存在が鍵となっているのかな。

 クーヤが言っていた「始祖」と「その始祖を裏切った新たな始祖」が、ハクオロとディーの中の人ということなのかと思うんですが。カタカナ語を個体認識できない僕にとっては、どっちがどっちだか分からない(笑) どっちにしろアイスマンとして外の世界に出た人は、銃殺されかけた時に神と契約したとかそんなで、天寿を全うして眠りについて、エルルゥと契約したことでまた人間の体で起きてきたってことか?


 まぁ・・・正直この辺は、真実がどうとか、明かされるかどうかとか、どうでもイイことな気がしますね。
 過去の世界なのかと思ったら、超未来っぽいぞってことだけ分かっていればイイかな。



 そうして“ハクオロ”として築き上げた全てを捨てて、彼は決着を付けようとしていて、エルルゥやオボロ達はそんな彼を救えるのか―――というところが、最終回の焦点なのかと思います。色々あったアニメで、興奮しまくったことも幻滅しまくったこともありましたが、残り1話は素直に楽しみたいと思います。

 ヌワンギは・・・・・・最終決戦後のエピソードにでもチラッと描かれれば良いかなぁ。


 








■ 『うたわれるもの』 第26話 「うたわれるもの」
脚本:上江洲誠 絵コンテ・演出:小林智樹 作画監督:中田正彦

 とうとう最終回。
 スタート当初は、とてつもなく地味だけど抑えるトコ抑えた脚本に良作の予感を感じ。そうした積み重ねが爆発したベナウィ編でテンションが頂点に達し。その後、メンバーが入れ替えられ、男臭さが消えて華やかにはなったのだけれど。その頃からキャラを持て余す予感はあり。コメディ回は素晴らしいのだけど、シリアス回ではイマイチキャラが回転していないマズさを感じて・・・それが最後の最後まで響いてしまった印象。素材は良かったのだけど―――と、『Fate』の時と同じ感想しか書けない自分が悲しいです。

 これはきっと、作品に何を期待していたのかということなんでしょう。
 主人公=ハクオロの物語として見れば非常に良く出来ていた作品ですし、サブキャラが庭で特訓を続けるだけの役割であっても問題はなかったとは思います。ユズハというキャラも、オボロという“妹想い”キャラを装飾するだけの存在と考えれば存在価値はあったのでしょう。
 でも、僕はハクオロというキャラの「みんなに慕われるハクオロさん」に感情移入できなかったので、群像劇として期待して観てしまいました。だから、頑なにヌワンギが成長して再登場するのを期待し続けたのですし、オボロやユズハが最後に活躍してくれることを信じていました。そうしたものをカバーしなかったという意味で、この作品は群像劇としては元々作られてはいなかったのでしょうし、それを期待していた人にとっては満足のいく作品にはならなかったのだと思います。自分の好みに合う作品に出会うのってホント難しいんですよね。




 ○ 最終回の感想
 仮面は人間が外の世界で生きていくための石仮面みたいなものだったみたい。
 ミコトは子どもを産んですぐに捕まって解体され、ブチギレたハクオロさんが人間を滅ぼして、ムツミに頼んで自分も消滅しようとしたが二つに分裂しちゃって、それが後のハクオロとディーになって“神”として君臨することになった・・・?

 なんか、細かい設定部分はよく分かんなかった・・・
 クーヤの言っていた“二人の神”は直接的に誰それと表していたのではなく、「神同士が戦う」というラストに向けた暗示だったと解釈すればイイのかな。ピッコロ大魔王と神様よろしく、ハクオロから狂気を取り出したのがディーなのかなと思ったんですが、それだとハクオロが怒ってニウェやうたわれロボを惨殺したのが意味分からなくなるので―――単純に二つに分かれたと考えるのがイイのかな。まぁ、正直こういう設定はどうでも良かったかな。

 神同士の戦いは大味のまま終了。公式サイトのあらすじ見るまで分からなかったんですが、ハクオロがディーを取り込んだがために、またいつか暴れださないようにウルトリィに封印を頼む・・・封印されまいと暴れだす(ハクオロ内の)ディーを抑えるため、オボロやベナウィ達が剣を突き立て封印させることに―――という話だった模様。
 すっかり存在意義を失っていた彼らに、最後の見せ場が与えられたのは良かったです。


 その後、一人一人に別れの言葉。
 ハクオロと出会い、変わり、成長していった彼らがこのシーンでハクオロと別れ、この後のシーンでEDクレジットとともに「その後」を描いているという・・・非常に美しく、熱い演出。だったのだけど、余りにみんな変わらずに「今まで通り」の生活をしているのが、コイツら結局ちっとも成長していなかったんじゃないかと思わせてしまうのが勿体なかったです。

 てゆうか、ユズハ死んだのかよ!!
 もう・・・なんつーか、オボロに「ユズハを置いてはいけないだろ?」と言わせるための存在でしかなかったなぁ。このキャスト表の順番、中原麻衣というキャスティングを考えると、ゲームのほうではルート次第で重要な役割なんですよーってことなのかも知れませんが。アニメ単体で見ると、ムックル以上に報われないキャラだったかと・・・

 オボロは「玉座にはまだ早い」と自ら修行の旅へ―――
 登場人物中唯一“成長”を描かれたキャラで、その割に庭でセイヤッと特訓してるシーンしかなかったんですが、ハクオロに認められるまでになった彼。だが、台詞以上の「成長した」感は全く描かれていなかったので、修行の旅へと出て仕切り直すラストはオボロ物語として(最高のカタチではないけど)悪くはない締めだったんじゃないかと思います。



 他のキャラは、別に今まで通り。
 エルルゥは最後までイイお嫁さんでした。



 ○ 総括
 僕は初期の頃、この作品のことを“あざとくない『舞-HiME』”と誉め言葉として評しました。
 キャラや世界観を順々に見せる上手さ、それでいて広大な話になるように随所に伏線を埋め込み、一人一人の心理描写をキッチリやって人間ドラマに仕立て上げる脚本は谷口悟朗系統の脚本家に通ずる手堅さがありました。それでいて、『舞-HiME』シリーズのような軽さやサービスは少なく、これは僕が望んでいる大人のアニメになるんじゃないかと期待したのです(軽さやサービスも別に悪くはないんですけどね)。

 で―――最後まで終わってみて、この作品を振り返ってみると。
 やっぱり“あざとくない『舞-HiME』”だったなあと思いました、今度は「勿体ない」という意味で。
 あざといというのは、単に「パンツが見えそうで見えない」という意味ではなく。サブキャラでもキッチリ見せ場を作ってキャラ立たせるために強引に話を進めたり、クライマックスを盛り上げるために事前に徹底してキャラを追い込んで鬱にさせたり、一つのシーンに色んなキャラを絡めることで色んな意味として描いたり、半ば強引にハッピーエンドで締めくくったり。
 『舞-HiME』だけじゃなく、最近のアニメ全般に言えることだと思うんですが、とにかくストーリーが計算高いんですよ。それはある角度から観れば「予定調和」と取られることもあるんですが、それも含めてキッチリ伏線張ってクライマックスは盛り上げてハッピーエンドで爽やかな気分にさせるぜーって作品はやっぱり強いんですよ。観てて安心できるだけじゃなく、ワクワクさせられるんですよ。


 そういう意味で、このアニメ版『うたわれるもの』は“あざとさ”が足りなかった。
 作画も演技も演出も申し分なかった。脚本も、ハクオロとエルルゥの物語として観れば素晴らしくキレイにまとまっていたと思います。だけど、あれだけ大勢のキャラがいて、それぞれにバックボーンがあるんだからプラスアルファが欲しかった。クライマックスを盛り上がるために、もっと深い谷場が欲しかった。本当に惜しかった・・・どこかで一工夫入れるために、喩えばキャラを削るとかエピソードを削るとかが出来ていれば違っていたんじゃないかと思います。が、そうしたら原作ファンとしては複雑な気分になっちゃったろうし・・・(まぁ、居るだけのキャラで満足したかは置いといて)



 結局、ゲーム原作のアニメとしてコレ以上ないほど頑張り、新境地を切り開きながら。ゲーム原作のアニメでは、どうしたって限界があることを証明してしまったような作品だったのかも。当たり前なことですけど、アニメ単体で見れば、原作通りに進めなきゃならないアニメがオリジナルアニメに勝てるワケないんですもの。



 まぁ・・・とは言え。
 未だ音泉のサーバーを壊滅に追い込んでいるネットラジオの話題や、度重なる延期の末に今度発売されるPS2版など、エロゲー原作〜アニメ経由のメディアミックスでここまで成功したのは凄いことですし。『ハルヒ』が全ての話題をさらっていった春アニメの勢いに乗り、ネット上におけるアニメファンの「祭り」を引き継いだパワーがあったことも確か。アニメ史における2006年のトピックに載っておかしくない作品になったと思います

 とにかく、スタッフ&キャストの皆さん、本当にお疲れ様でした。


 



自作漫画を描いています
▲ 『ちのしあわせ家族』連載中。よろしければどうぞ。


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