イズっち

【遊んでみた商業ゲーム紹介】
 『罪と罰 地球の継承者』(N64/STG)

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『罪と罰 地球の継承者』(N64/STG) 〜2007.10.18
NINTENDO64用/3Dシューティング
任天堂/開発:トレジャー
2000.11.21発売/5800円(税別)
公式サイト

Wiiバーチャルコンソール用
2007.9.20配信開始/1000ポイント
公式サイト
 ※ このレビューはWiiバーチャルコンソールにてリメイクされたものをプレイして書かれたものなので、オリジナルのNINTENDO64版とは内容が異なっている可能性があります。

 「『マリオ64』は3Dになったことでゲームに付いてこれない人を多く作ってしまった」と、よく言われるソフトでした。そして、同じNINTENDO64の末期に発売されたこのゲームを遊んでみると、ほとほと64というハードは修羅の道を突き進んでしまったハードなんだなぁと思うのです。

 このゲームが元祖がどうかは知りませんが(多分違うと思う)、このゲームは左手の十字キーでキャラを操作し、右手のアナログスティックで攻撃の照準を合わせるという2D世代にとっては難解な操作方法です(左右の手が逆でも可能)。今ではこうしたソフトは家庭用ゲーム機にも少なくなく、“右手と左手を別々に動かす”ことは僕ら世代にとっての波動拳くらいフツーに出来ることらしいのですが……これに付いてこれない人ももちろん大勢出てきて、そうした理由でゲーム離れしていった人々をフォローするためにWiiリモコンというものが作られたという経緯があります。
 つまり―――“操作体系の簡略化”を目指したWiiに、“操作体系の複雑化”の一要因となった『罪と罰』が復活したということです。ですから、ハッキリ言ってWiiの「5歳から95歳まで楽しませる」という思想とは正反対のソフトだと覚悟して下さい。

 ただ、前への移動はオートなのでプレイヤーに求められるキャラ操作は左右への避けとジャンプくらいですし、照準合わせもオート照準という救済策が取られています。ノーマルモード以降は半端ないですが、イージーモードならば(3〜4回コンティニューを使い切れば)そこそこ終盤まで辿り着ける難易度じゃないかと思っています。

 見た目や操作方法は思いっきり高難易度のトレジャー臭全開ですが、難易度調整や初心者への配慮は流石に任天堂作品らしいですね。



 ○ 遊べば遊ぶほど上手くなった気になれる難易度調整
 まず最初に操作方法なのですが……僕は64版未プレイなので、何の違和感もなく「左手の十字キーでキャラ移動、右手のアナログスティックで照準合わせ」とクラコンで操作していました。
 ただ、64版からのユーザーは「左手のアナログスティックで照準合わせ、右手のCユニット(クラコンの場合はX・Yボタンで対応)でキャラ移動」という操作をしている人が多いみたいですね。僕はそちらは試していないのですが、クラコンのX・Yボタンは水平位置にないので64ユーザーだった人にはやりにくいんじゃないか……と心配してしまいます。

 攻撃に使うLボタンのアナログ仕様も、このゲームにはネックになりますね。クラコンはまだ許せる範囲だと思いましたが、GCコンに関しては相当深く押し込まないとならないため指がムチャクチャ疲れます。僕は「64のソフトはGCコンが向いているだろう」と思っていたのですが、GCコンでの操作に断念して素直にクラコン使っていました。


 更にマズいことに……作中のチュートリアルは全て64コントローラで説明されるので、手持ちのコントローラがどのアクションに対応しているのかは自分で探さなきゃならなかったりします。キーコンフィグが3種類の中から選ぶタイプというのも惜しいポイントだったりしますよね。操作に慣れれば面白いゲームなんですが、慣れるまでのハードルがまず凄く高いです。




 とは言え―――
 トレーニングモードが用意されている上に、最初のステージは“ほぼやられることがない”練習ステージだったりして。初心者がゲームに慣れるための心配りは任天堂ならではという気がしますね。この辺りの話は、当時書かれた『ほぼ日』でのインタビューページがありましたので、どうぞ。ラストシーンまで含めたゲーム内容のネタバレがありますけど(笑)

 1周目をプレイした時は、「これはどうしたものかな……」というのが率直な感想でした。
 1-1でまず1機失い、1-2で死にまくり、1-3で敵の攻撃の避け方に気付かずコンティニューを消費し……最終的に2-1で力尽きました。コンティニューが有限で、使い切ってしまうと最初に戻るというのもプレッシャーでした。「このゲームはクリアできねえだろうな」と思いましたよ。

 ただ、コンティニュー使い切って最初から始めた2周目のプレイでサクサク進めて印象は大きく変わりましたね。
 というのも、このゲーム。「敵の攻撃の避け方」と「敵に攻撃を当てるコツ」を学習していくゲームなので、1周目に苦労しても、そこにさえ気付けば2周目ですんなりクリアできるのですよ。結局、コレを繰り返して3周目のプレイでイージーモードのエンディングまで到達出来ました。


 ちょっとジジイの思い出話になりますが……
 『スーパーマリオブラザーズ』が名作と呼ばれた要因の一つに、「昨日より上手くなっている自分」を体感できたというのがあると思うんですよね。最初は1-1のクリボーで死んでしまったかも知れない、次の日は1-2で穴に落ちてしまったかも知れない、でも明日は明後日は……と続けていく内に先の面まで進めるようになって、1-1なんかは楽勝でクリアできるぜ!と思えるようになったのです。
 当時はバッテリーバックアップがなかったので止むを得ずのことだったのでしょうが、「必ず1-1から始まった」というのが『スーパーマリオ』が誰にでも親しまれた理由の一つでした。(『マリオ3』なんかはボリュームがありすぎて、必ず1-1から始まるのがウザったかったのですが/笑)


 『罪と罰』を遊んでいて真っ先に思ったのは、この『スーパーマリオ』ののことでした。
 絶妙な難易度設定と、有限なコンティニュー(『罪と罰』はコンティニュークレジットがある限りセーブは出来ます)、長すぎないボリューム―――複雑な操作と、ワケわからんストーリーと、何故だか英語な台詞回しなどなどの取っつきにくさがまず最初に目に付いてしまうと思いますが、その奥にある心配りが非常に任天堂らしい“万人受けを目指す”姿勢っぽいなぁ……と。


 まぁ、それでもアクションが苦手な人が楽しめるとは思いませんし、僕はノーマルモードの難しさに挫折しちゃいましたけどね(笑)
 イージーモードで一度クリアしているものを、ノーマルモードで大苦戦しているというのは、「昨日より自分が下手になっている錯覚」に陥ってしまい楽しめなくなってしまったんですよ。この辺り、「何周も楽しんで欲しい」トレジャーの精神と、「1周で楽しさを分からせて欲しい」任天堂ファンのズレなのかなぁと思ったりするところでもあります。

 当たり前ですが、全員が全員100点を付けるゲームなんてありえません。
 これまでのトレジャー作品が「100点を付ける人と10点を付ける人に分かれるソフト」だったのだとしたら、このソフトは「80点を付ける人と50点を付ける人に分かれるソフト」なのかも知れませんね。



 ○ コロコロ変わる戦局とステージ構成
 上述の『ほぼ日』インタビューに載っていたことなのですが……
 このゲーム、企画段階では全部で5面にする予定だったそうなのです。しかし、ステージを作っていく上で「これじゃいつまで経っても完成しないな」ということになり、全部で1面にしようという流れに変わり、「いや、それじゃ短すぎるだろう」と(笑)最終的には全部で3面になったとか。

 3面と言っても1ステージは結構長いので……通してプレイすると1時間くらいかかるボリュームなんですけどね。

 開発が非常に困難だった理由の一つとして、“ステージを全く使いまわしていない”というものがあります。
 1-1はいわゆる“ガンシューティング”のような画面構成ですし、2-1はそれよりもカメラを上にあげた“見下ろし視点”に近いですし、2-2はもうどんなゲームにも似ていない“空中を飛び回る床に乗って空母や戦闘機を落としていく”構成になっていますし、終盤には『スーパーマリオ』のような横スクロールになるステージもあります。どのステージも特殊で「作るの大変そうだなー」と思いましたし、遊んでても全く単調になりませんでした。逆に、「前のステージで培ったノウハウが全く通用しない」ことに戸惑ったりもしました。


 ところどころにストーリー部分が挿入されますが、ボタンを押すことでスキップ出来ますし……ゲームのテンポはムチャクチャ良いです。ステージがコロコロ変わるのに比例してストーリーもドンドン進み、序盤から出し惜しみせずジェットコースターのように進むのも好印象。


 難点を言うならば……キャラ絵ですかね。
 公式サイトのイラストを見て「アチ、可愛いな」と思って購入しましたが、64の画像だと可愛げのカケラもありませんでした(笑)。その割に顔アップとか、チョコマカとぎこちなく動くのがちょっとね……アチがアイランをポコポコ叩くシーンは、ぎこちない動きが逆に可愛かったですけど。
 ストーリーも「何度も観ないと理解できないと思うので、何度もプレイして下さい」とのことでしたが……正直なところ、それだけ期待するほどのストーリーではないですね。上手くステージ構成に合っているとは思いますけど、純粋にストーリーだけを見るとイマイチだったというのが本音です。“深いストーリー”と“突き放したストーリー”は違いますし、導入部のワケ分からなさから「ストーリーが気になるからどんどんプレイしよう」という人がどれだけいただろうなと思っちゃいました。


 しかし……コレ、2000年秋のゲームなんですよね。
 発売が1年遅れて2001年秋に発売だったのなら、9.11の影響で発売できなかったような……全5面のまま作り続けなくて良かった!



 ○ 総評
 個人的には、イージーモードをクリアまで3時間遊んだだけで1000円の元は取ったと思っています。それくらい密度の高いゲームでした。
 反面、「密度」ではなく「プレイ時間」にお金を払うという認識の人にとっては1000円は高いかも知れませんね。コンティニューとゲームオーバーやり直しが前提のゲームですし、それがストレスになる人にも向いていないとは思います。幾ら任天堂が「初心者も入れるように」バランス調整させたとは言え、根っこはトレジャー作品のシューティングゲームですから万人受けはしないでしょう。


 ただ、だからこそハマった時のパワーというのは凄まじいものがありまして、「何かよく分からないけどスゲー好き」という人が多いのも頷けます。飛んできたミサイルを剣で跳ね返して敵のヘリコプターにボコボコ当てていく感覚は非常にキモチ良かったです。ノーマルモードは死んでばっかでストレス溜まるので、忘れた頃にまたイージーモードを遊んでみようかな。

 


自作漫画を描いています
▲ 『ちのしあわせ家族』連載中。よろしければどうぞ。


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