【『シムーン』感想】
 スタッフ&キャスト
 第1話 「堕ちた翼」
 第2話 「青い泉」
 第3話 「遠い戦争」
 欠番
 第5話 「白い孤独」
 第6話 「傷と痛み」
 第7話 「公海上空にて」
 第8話 「祈り」
 第9話 「審問」

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■ 『シムーン』 スタッフ&キャスト
<スタッフ>
 監督:西村 純二
 シリーズ構成:大和屋 暁
 キャラクターデザイン:西田 亜沙子
 メカデザイン:Jin Seob Song
 美術監督:小林 七郎
 コンセプトデザイン:長濱 博史
 アニメーション制作:スタジオディーン
 3DCG制作:CreativeField
 音楽制作:ビクターエンタテインメント
 音楽プロデュース:野崎 圭一
 音楽:佐橋 俊彦
 オープニングテーマ:石川智晶「美しければそれでいい」(作詞・作曲:石川智晶 編曲:西田マサラ)
 エンディングテーマ:savage genius「祈りの詩」(作詞:ああ 作曲:Takumi 編曲:鈴木Daichi秀行)
 漫画連載:『季刊コミック百合姫』(一迅社)
 原作:美原 轟・篠吉 祥
 製作:シムーン製作委員会

<キャスト>
 アーエル:新野美知
 ネヴィリル:高橋理恵子
 パライエッタ:小清水亜美
 カイム:細越みちこ
 アルティ:豊口めぐみ
 リモネ:能登麻美子
 ロードレアモン:高橋美佳子
 フロエ:相澤みちる
 モリナス:水樹奈々
 ドミヌーラ:ゆかな
 マミーナ:森永理科
 オナシア:玉川紗己子
 アムリア:喜多村英梨








■ 『シムーン』 第1話 「堕ちた翼」
脚本:小山田風狂子 絵コンテ:西村純二 演出:加藤敏幸 作画監督:西岡 忍

 SFアニメの序盤は(続編でもない限り)、設定やキャラといった“この作品のセールスポイント”を如何に視聴者に印象付けられるのか―――といったことが重要で、ここで効果的に印象付けられないとさっさと見限られてしまうこともあるんで・・・・・・本当なら公式サイトの情報なんかは見ずに、純粋に本編の内容だけで感想を書くべきだと思うんですが。

 流石にこれだけキャラが沢山いると把握しきれないんで、チラホラと公式サイトの情報なんかを見ながら感想を書くことにします。その辺り、御了承頂ければ光栄です。



 しかし、本当キャラ多いなぁ。
 アニヲタ歴の短い僕でも聴いたことのある声優さんがチラホラいたんで、何とか識別できるかなと思っていたんですが・・・・・・実際に第1話には出てきていないキャラも多かったらしく、ほとんど分かんなかった。小清水亜美はパラ様だったんですね。この人、キャラによって全然声が違うんで気付かなかったです。




 ○ 冒頭から一気に美しい背景絵
 ファンタジー作品の生命線ともなる風景の美しさに、まず目を奪われました。メカ自体はCGなんでしょうけど違和感なく背景の絵とマッチしていて、浮遊感もバッチシ。このままずっと飛んでいるだけでもキモチいいんじゃないかってほどでしたが、それだとアニメにならないので(笑)、ちゃんとキャラが出てきました。
 この手のキラキラした女のコキャラって序盤はなかなか識別出来ないんですが、暫く観続けていると分かってくるもんなんで―――とりあえずは辛抱しながら観るしかないかなぁ。とか考えながら観ていたら、いきなしキスシーンでビビった。

 えっ!?なんでこんなトコで!!?と思ったんですが、次々と他の女のコ達もキスし始めて・・・・・・後で公式サイト観て知ったんですが、どうやらシムーンの起動には女のコ同士のチューが必要みたい。何だ、その設定は・・・毎回毎回出撃が楽しみで仕方ないではないか!!(笑)


 でもまぁ、こうやって二人一組で1機のシムーンに配置していけば、すんなりとキャラを憶えられるもんなはず。『舞-乙HiME』のマスターとオトメなんかもセットで憶えていましたし。誰が誰と組むかで人間ドラマにもなりそうですし、なかなか今後が楽しみな設定ですね。



 ○ いきなり語ってる人が死んだ・・・の?
 冒頭から語っている人は、どうやら敵国だったらしく・・・敵国から見たシムーンの解説や、シムーンを奪わなければならない理由なんかが丁寧に語られたので、初っ端から味方サイドの正義みたいのが揺らいだところからスタートです。詳しくは後述しますが、味方サイドはシムーンを神聖化していて、敵サイドはそんなん単なる機械じゃないかと反論して戦っているので。視聴者としてはどっちが正しいかも分からず、誰にも感情移入できない状態で「ポカーン」と口開けて見てるしか出来ないんですが・・・・

 この戦いが一先ず終わった後に、ようやく主人公を登場させることで主人公に感情移入させようって手法だったみたいですね。第1話時点では何もしてないし、禄に台詞もないのでまだ感情移入できるレベルじゃないんですけどね―――2話目に期待かな。
 主人公をひとまず置いといて世界観を説明するという意図は、世界観説明は置いといてとりあえずキャラ押しでいくキャラ萌えアニメとは違った印象。いや、キャラ萌えアニメ全盛期の今、それが成功するかは微妙だと思いますが・・・その心意気は立派だなあと思いました(その割には声優のキャスティングは人気声優メインなんだけど)



 そうそう。僕は冒頭から語っている人が主人公だと思っていたんですが・・・何かアッサリ死んで、ネヴィリルのトラウマになっちゃいました。『ガンダムSEED』における西川くんの役回りか。でも、この人の声、能登麻美子っぽいなぁと思っていたら・・・・・・後にちゃんと能登麻美子が出てきてて驚きました。
 流石に体型は違かったので同一人物でもなさそうですけど、髪の色は似ていたので親戚か何か?

 ※ 追記:公式サイトの情報によると、この作品はチョイ役をメインキャストが複数人演じるらしく。最初の語り部だった能登さんと、後に出てきた能登さん(リモネ)に関係はないんですって・・・ややこしいことをする。



 というワケで、キャラも多いので公式サイトを観ながら振り返ってみます。
 ・アーエル・・・主人公。戦闘によってパイロット(シヴュラ?巫女?)が欠けたため、補充要員として最後に出てきた。
 ・ネヴィリル・・・ピンク髪ヒラヒラしたコ。「シヴュラ・アウレア」と呼ばれてるのもこの人。紛らわしい・・・多分、「赤い彗星」みたいな称号なんだと思います。どっかで聴いたことある声だと思ったら『ターンエー』のディアナ様だったみたい。

 ・アムリア・・・ネヴィリルの相方。強くなりたいと願っている。
 ・パライエッタ・・・通称パラ様。声は小清水亜美。ネヴィリルのことが好きみたい・・・?
 ・カイム・・・メガネっこ。パラ様の相方(だと思う)。パラ様がネヴィリルLOVEなのを気にかけてるみたい・・・?
 ・ロードレアラモン・・・名前長っ。三つ編みお下げで大人しそうなコで、声は高橋美佳子。高橋美佳子は最近元気な役ばっかり観てたので、気弱系は新鮮なキモチで観られそう。楽しみ。

 ・フロエ・・・すっごく特徴的な声をした小さいコ。小さいだけで胸はちゃんとあんのな。リモネに説教していた。
 ・リモネ・・・もっと小さなコ。アーエルと同じように補充要員で、声は能登麻美子。




 ○ で、理解した限りの世界観
 まだ本編には出てきませんが、公式サイトによると―――この世界に生まれてくるのは全員女のコで、17歳になると泉に行って男性になるのか/女性になるのかを選び、初めて大人になるみたいです。なので、出てくる大人の男性キャラも、声は女性声優さんがやっているとのこと。

 シムーンは元々は儀式用の機械であって、これを操るのは“シヴュラ”と呼ばれる特殊能力を持った少女のみ。つまり、シムーンは戦闘機である前に神に祈るための機械であり、“シヴュラ”はパイロットである前に神に仕える“巫女”であるということ。隣国との戦争に入り、このシムーンを戦闘用に改造して戦っているため、神に仕えるべき“巫女”を戦場へと駆り立てねばならないのですね。
 また、シムーンを操れるのは性別を決めていない少女だけなので、“シヴュラ”である限りは17歳を越えても性別を選ばずに少女のままでいられるとのこと―――裏を返せば、シムーンに乗り続ける限り大人になることを先送りにして“巫女”でいなければならない。


 途中でパラ様に「泉に行って男になろうと思います」と言っていた女のコは、戦争の中で“シヴュラ”であることを辞めて、大人になろうとしたってことですね。「パラ様のように凛々しい・・・」と言っていたので紛らわしかったですが、パラ様は“シヴュラ”なのでまだ性別を選んでいなく、あんなに男っぽくても少女であって“巫女”なままなんですよね。



 この設定、理解するまでは困難ですが―――戦争というテーマでもあり、宗教というテーマでもあり、大人になるというテーマでもあり、同性愛/異性愛というテーマでもあると思います。非常に深く、非常に選択肢の広い、面白そうな設定ですね。あとはこれをちゃんと消化できるのか、難しいテーマを正面切って描くことが出来るのか――というところでしょう。




 ちょっと不安なのは戦闘シーンかな。
 シムーンは普通の飛行機と違って軌道上に光を残し、その光を組み合わせることで必殺技みたいなことが引き起こせる・・・と。これ、戦争アニメにするんだとしたら面倒な設定ですよね。ボタン一つでミサイルを出すんじゃなくて、グルグル回って飛ばなきゃいけない。戦闘シーンなのにストレス溜まるようだと、辛いことになりそうなんで―――上手くストーリーの中に組み込んでもらいたいです。








■ 『シムーン』 第2話 「青い泉」
脚本:小山田風狂子 絵コンテ:西村純二 演出:下司泰弘 作画監督:中山岳洋

 第2話は、この世界観の中枢にある泉の性別選択と―――それを通過することで繋がったネヴィリルとアーエルの一歩目を描いてきました。まぁ、第2話としては無難な選択ではあると思うんですが、最初に泉と性別選択の説明をセリフだけでやっていたのはどうしようかと思った。もちろん、その後にエリーが泉に入るシーンを描いて補完しているので設定説明のやり方としては間違ってないんでしょうけど・・・・

 どうにも色んなところが分かりづらいような気がします・・・僕は公式サイト読んで設定は頭に入れておいたから理解できていますが、全く情報ない人が観て把握できるのか不安。というか、それよりも何よりも僕が気になったのはこの一点。


 えっ? 第1話でアムリアって死んでたの!?

 第1話の僕の感想を読んでもらえば分かると思いますが、僕は第2話の後半くらいまでそのことに気付きませんでした。言われてみれば、あの戦闘シーン以降に出番がなかったし、なんでネヴィリルは落ち込んでいるんだろうと疑問に思っていたんですが・・・泉に向かうネヴィリルがアムリアとの出会いを思い出してたりして、「あれ?」と思い、もう一度第1話を見返してみたんですが―――

 第1話を見返しても死んだかどうかよく分かんねええ!!

 BIGLOBEのサイトのキャラ紹介を読んでようやく理解しました。最初の戦闘でネヴィリルが失敗したリ・マージョンの中に巻き込まれたってことですね。死体が描かれていないので、ブラックホールみたいな中で生きているのかも知れませんが。



 それにしても分かりづらい・・・・・・
 そもそも主人公の名前がアーエルで、ネヴィリルの通り名がシヴィラ・アウレアで、ネヴィリルの元相棒がアムリアって・・・どうしてこんな似た名前で揃えたんでしょう。今現在は公式サイト読んだりしてなんとか補完しているけど、物語後半とかになるとトンでもないことになるんじゃないでしょうか。大丈夫かなー、色々な意味で不安です。




 ○ 巫女=パイロット=神聖視
 んで、分かりづらい描写が続くので、ネヴィリルが泉に入らずに戻ってきた理由もイマイチ伝わりづらくて・・・
 「自分のせいでアムリアが死んだ」とネヴィリルが考えていると踏まえて観ると、逆にアムリアとの絆のためにも巫女のまま戦場に戻ろうとする彼女のキモチなんかも分かってくるんですが・・・上にも書いたように、アムリアが死んだこと自体が分かりにくかったワケで――正直、損している作品ですよね。描こうとしてるものは面白いはずなのに、それが伝わりづらいという。


 僕的に面白いなと思ったのは、列車の中でネヴィリルが神であるかのように拝まれていたこと。
 神に仕える身であった巫女が、結果的に国を守る兵士として戦場に駆りだされ、国民からは崇められるという皮肉。この辺、先週エリーが「こんなこと(=戦争に出ること)、神が許されるかどうか」と言って泉に向かったことを考えると、なかなか深いものがあります。

 また、主人公アーエルは異分子として「戦争に出ること」「少女(巫女)のままでいること」を目的としてやってきたため、他のキャラとの宗教観や倫理観の違いを浮き彫りにしてくれそうで楽しみ。戦争というか殺し合いを肯定する主人公は最近観ていなかったので、新鮮ではあります。好感が持てるかといったら微妙ですが・・・・・・




 ○ 後半裏っ返るための描写なのかも知れんけど・・・・・
 主人公アーエルに全くもって感情移入が出来ません。もちろん意図してそう描いているんだと思いますが―――
 既に出来上がっている人間関係の中に主人公が入り込んで、最初はみんなに「何だコイツ」と思われているけど、徐々に相互理解を深めていく・・・という作品はいっぱいあって、やはり最初の頃は「うわー、仲良くしてやってよ!」と思わされるもんなんですが・・・(『舞-乙HiME』なんかでも、初期は仲間が誰一人いなくてきついものがあったワケで)

 でも、この作品の場合、フロエ(子どもっぽい金髪ツインテールのコ)とかロードレアラモン(三つ編みで高橋美佳子)が必死に歩み寄ろうとしてるのに、アーエル本人は「アンタらには興味ねー」ばりの反応なの。八方美人の主人公が必ずしも良いワケじゃないけど、そりゃねえだろと思っちゃいました。逆にフロエやロードレアラモンに感情移入できましたけど(笑)



 感情移入と言えば、ルックス的に注目していたエリーが第2話で早速脱落してしまったのが残念。
 声、ゆかなだったんですね。「えっ!ゆかな、もう脱落なの!?」と叫んでしまいましたが、メインの役はまだ出ていないだけみたいで一安心。森永理科、水樹奈々なんかもまだ出てないんですから・・・やっぱ声優陣は豪華です。
 しかし、エリーは男になっちゃって泣き出したんですけど、そもそもこの設定自体がよく分からん状態なので、イマイチ感情移入できず。「男にもなってみたい」と言ってたけど、実際に女であることを捨てるとショックだとかそういうこと? 性を超えることなんかは、これからのジェンダーを考えるとなかなか意味深い描写なんでしょうけど――――――困ったことに僕らは『かしまし』のはずむ君が、何ら不自由なく女のコに変わったところを3ヶ月前に観てしまっているので、「性別が変わるのってそんなに大変なことなん?」と思ってしまいます。恐るべし、『かしまし』。恐るべし、あかほりさとる。



 そうそう、メガネのコ(細越みちこ)と真ん中分けのコ(豊口めぐみ)は姉妹なんですね。
 豊口さん、敢えて大人びた声にしているから・・・なかなか気付かなかった。普通に女のコ同士がチューしてる世界だから、姉妹チューなんかもあるんでしょうか。でもまぁ、どんなに性の意識が僕らの意識とは違う世界観であっても、インセスト・タブーのない世界なんてないと僕は思いますけど・・・・・・




 というワケで、第2話の内容うんぬんよりも、第1話で死んだキャラに気付かなかったことで頭がいっぱいになってしまいました。
 描こうとしているものは面白そうなのになー。ちゃんとそれがこちらの頭の中に入ってくるかが不安です。








■ 『シムーン』 第3話 「遠い戦争」
脚本:西村ジュンジ 絵コンテ:藤原良二 演出:吉田俊司 作画監督:波風立流

 あれ・・・・・・何だか、だんだんこの作品が楽しみになってきました。
 世間でも散々叩かれていたり、僕の第2話の感想でも文句言ってたりしていたのは“分かりにくさ”にあったと思うんですが・・・そう言えば、僕は富野アニメからヲタク街道に入ったクチなんで、専門用語の羅列や噛みあわない会話でストーリーが進むことにはそれほど抵抗なかったり。あとはキャラの魅力さえ出てくれば・・・というところで、今週とうとう水樹奈々が登場。やり方次第でどうとでも化けるような気がしてきましたよ。



 ○ エロかっこいいのか、これ?
 ようやく感情移入できそうなキャラが出てきた・・・・・これで安心して見れそうですよ。

 空気読まないで「戦いたい」「戦いたい」と騒ぐアーエル。
 何考えてるか分からんのにウジウジしているネヴィリル。
 そんなネヴィリルを何故だか愛しているパライエッタ。

 ・・・・・・と、ビックリするくらい今までのキャラを好きになれていなかったんですが、純粋にシムーンが好きでシムーンに乗りたくてやってきたモリナスはかなり好印象。そのモリナスに絡んで、パライエッタとメカニックみたいな人(ワポーリフ?)との3人の会話なんかは3人の性格がようやく掴めて楽しかったです。
 モリナスは、普通のロボアニメで言えば機械好きのポジションなのかな。アムロとかカミーユとかジュドーとかゲイナーとか、富野アニメでは主人公ポジションなんで・・・そうか、だから僕はモリナスが好きなのか。メカニックみたいな人(後述します)とメカ絡みな話も、なかなか楽しみです。



 とまぁ、新キャラ投入で改めてシムーンの解説をしてくれるんですが・・・これ、本来ならアーエル相手にやるべき解説だと思うんですけどねえ。徹底して、視聴者がアーエルに感情移入するのを妨げているとしか思えません。計算だったら凄いんだけど・・・
 しかし、その解説が専門用語ばかりでよう分からないのは「やはり」と言ったところか(笑)

 ・シムーンは遺跡から掘り出した謎の物質(貝殻の形をしたヘリカル・モートリス)によってできている
 ・それが何なのか現代の科学ではよく分かっていない
 ・整備は謎の物質そのものではなく、それを制御する機械を整備して行う
 ・シムーンは2人で乗り込まないと動かない
 ・練習用のシムーンは1人でも動かせる(第1話ラストでアーエルが乗り込んだヤツね)

 何となく重要そうなのはこんな感じ?
 ますますもって富野アニメみたい・・・・・・『イデオン』と『ブレンパワード』と『ターンエーガンダム』を足して、3.5で割って、よく分からなくなっちゃったみたいな設定(笑)
 第1話の冒頭で敵国が「シムーンは神なんかではなく、戦争の道具。だから、奪い取って解析しよう」と言っていたのに対して・・・あくまで主人公サイドはシムーン=祈りの道具と考えているので、解析することを躊躇っている―――というのが、なかなか興味深いです。巫女がどんどん脱落していく過程で、巫女ではない、シムーンを機械と割り切っているキャラが次々とシムーンに乗り込まなきゃいけなくなる―――というのも、実はよく練りこんでいる設定なのかもと思います。

 それでも、これらの面白くなりそうな設定を、視聴者にはイマイチ伝えられていないというのも事実。
 主人公達が乗り込むロボットを敵国が分析して新兵器製造に役立てようとする・・・という構図は、すごく分かりやすい構図なはずなのに。喩えば『ブレンパワード』では「オレのブレンに触るな!」的な、記号的にはロボットでしかないものに、それ以上の意味をこめる描写を入れていたりして―――視聴者は機械にも感情移入していくもんなんです。ガンダムをジオン兵が奪って乗ってっちゃったりしたら、ヒロインが強姦されたくらいの嫌悪感と絶望感を味わうことになるんです。
 でも、シムーンはロボットどころか戦闘機みたいなカッコ良さも全くなくて(デザインは美しいとは思うけど)、感情移入する余地が全くなくて、パライエッタに「シムーンを崇めるのは当然だろ?」と言われて初めて「あーそうなんだ」と思えるくらいのもの。仏教もキリスト教も、偶像を通じての崇拝を認めているのだから、イマイチ僕ら日本人には“シムーンを崇めること”をイメージしにくいところがあります。


 なので、シムーンを機械として愛しているっぽいモリナスに共感できるのですよ。
 スタッフブログによると彼女は倖田來未のイメージらしくて、それはどうなんだろうと思うんですが(笑)



 ○ モリナスとアーエルによって、見えてきた人間関係
 ワポーリフとフロエは昔、恋人関係にあった!!
 よりによってフロエ!!そりゃモリナスでなくてもビビるよ・・・・・・普段はあんなでも、恋愛モードに入ったりするものなのか。あと、ワポーリフの台詞がよく分からず。調べてみると、彼女(彼?)は泉に入って男になって、徐々に体が男になっていく途中の状態みたいです。だから、まだ胸が微妙にある、と。モリナスのケツに頬赤らめていたのも、そういう理由だと。


 ワポーリフはシムーン乗りじゃないので17歳になったら性別選択をしなくてはならず、フロエのためにも男を選んだ・・・ということなのかな。それならフロエと気まずい理由はまた別にあるような気がするんだけど・・・・・・女のコ×女のコと恋人同士であっても、大人になって子どもを作るためにはどっちかが男にならなきゃなりません。そうやって性別選択をして男になったら、今まで好きだった彼女がまた微妙に変わってっちゃうんじゃないかなぁ。この辺り、トランスジェンダーを考える上では結構深い。
 女のコ×女のコは世間的に認められていても、大人の女性×大人の女性だと子どもを作れない分、世間的にアウトってことなのか。これ、生半可な百合アニメなんかではなく、社会的なテーマに恐れ多くも抵触するような作品かも知れません。意識してやっているかが重要なんだけど・・・・

 しかし、数年前まで女だったコが、男の体になり始めているからといって、女のコのお尻が恥ずかしかったりするもんなんでしょうか。無防備にふりふりしているモリナスの方が、この世界では納得できるんですけどねー。



 それと、とうとうカイムとアルティの姉妹が言及されました。
 姉妹だけどシムーンに一緒に乗ったことはなく、微妙な気マズさがあるようなね。妹はお姉ちゃんと一緒にいようとしてるのに、お姉ちゃんは妹を拒絶してるみたいで・・・・・・何だか、とっても萌える姉妹だなぁとネットを放浪してたら。結構ヘビーなネタバレを読んでしまい、うげっ状態。これホント、生半可なキモチで描くとマズいような社会的なテーマなような・・・・・・



 ○ コール・テンペストの復活物語
 ようやっと本筋が見えてきました。
 第1話でネヴィリルのミスによって大損害を喰らってしまったコール・テンペスト(隊の名前ね)。ネヴィリルの心には深い傷が残り、また相棒だったアムリアの死によってネヴィリルはシムーンに乗ることを拒絶。リーダーでエースだったネヴィリルが不在となることで、コール・テンペストのキモチはバラバラになってしまいます。アーエルは空気読まないし、誰と誰が組むかも決まらないし、パライエッタとアーエルとモリアスの3人がネヴィリルと組みたがっているのにネヴィリル本人は来ないし。

 かつて憧れられたコール・テンペストはもはや崩壊一歩手前。
 そこでパライエッタは全体練習を提案し、全員の気持ちを一つにしようとするのと同時に、ネヴィリルおまえ元気出せよ、アムリアが死んでも私がいるじゃないかと「あわよくば」を狙います(笑)。でも、そんなんだから、みんなのマージュ(プールでの練習)はグチャグチャ。あぁ、やっぱりコール・テンペストはダメなのか―――と思ったその時!ネヴィリルがやってきて皆の心が一つになる!!


 ・・・・・

 ・・・・・・・・・これ、やっていることはまんま女子版『ウォーターボーイズ』じゃねえか。
 何だか設定が小難しくてとっつきにくくはあるんですが、本筋となる部分だけ王道のスポ根アニメのように押さえていけば、いつか化ける可能性は出てくるような。今週、チームの心がネヴィリルを中心にまとまっていく流れは、とっても美しく構成されていたように思えます。相変わらずネヴィリルが何故やってきたのかがサッパリ分からなくて困るんですが、外枠はだんだん面白さが出てきました。



 まだまだ、切るのは勿体ないような可能性があるのだけど・・・
 新作アニメ60本という今期においては、早期に見限っちゃう人が続出しそう・・・大丈夫なのだろうか。


 



ビデオ録画に失敗したため、
『シムーン』第4話の感想はありません。








■ 『シムーン』 第5話 「白い孤独」
脚本:大和屋暁 絵コンテ:小滝礼 演出:吉田俊司 作画監督:志賀道憲・浜津武広

 先週は感想書かなくてゴメンなさい。いやね、ウチのテレビデオ(97年製)は予約設定が5つまでしか出来ないので、7本アニメ感想を書いている現状だと毎週録画が使えなくて・・・・・早く2つ脱落してくれると、録画忘れも起こらないと思うんですが。果たして。



 期待はしていませんでしたが、先週のあらすじっぽいものはないんですよね、この作品。
 アニメーション製作の労力を考えれば、先週のあらすじで絵を使い回した方が楽なはずなんですが・・・その分、尺も短くなりますし。映像美を押し出しているこの作品としては、なるべく使いまわさないように組み立てているというのは好印象ではあります。それが作品のクオリティに繋がっているかというと微妙ですが・・・
 思えば、OP・EDのカッコ良さだったり。アイキャッチを毎回新規に描き下ろしたり。モブをメインキャストに別役としてやらせていたり。凄く、大変なことをやっているにも関わらず、それはあくまで外枠を飾っているだけで。内容が良くなっているワケではない―――この辺がイマイチ数字と評判が良くない理由なんじゃないかなぁ。まぁ、第1話の頃に比べると格段に面白くなっているとは思うんですけどね。



 ○ ゆかな登場!!
 EDクレジットが出てくるまで誰だか分からなかった・・・大好きな声優さんなのに。
 役によって感じる声が全然違うっていうのは、声優さんとしての演技の幅の広さだと思うんで・・・流石にゆかなさんだなーというところです。『舞-HiME』『舞-乙HiME』の三役だって全然別人みたいでしたし。

 かと言って、じゃあ能登麻美子みたいにどのキャラやっても同じ声にしか聴こえない人が役者として劣っているのかというと、全然そんなことはないワケで。特徴的な声質は、アニメ内では絶対的な武器になるのですから。『かみちゅ』のゆりえだったり、『舞-乙HiME』のアリカだったり、演技力を凌駕する声質というものはキャラすら喰ってしまえる存在感があるワケで―――問題は、それを活かせるキャスティングが出来るかってことですよね。人気声優だから抜擢するってんじゃなくて、このキャラだからこのキャストという配置が出来ているかなんだと思います。


 んで、『シムーン』で感じる違和感はいつもそこ。
 アーエルなんかは特にそうなんですが、キャラデザと台詞と声がいまいち合っていないような気がするんですよねー。その内慣れるだろうと思っていても一向に慣れません。基本デザインはロリ顔なのに少年声で、台詞は最小限の台詞しかなくて。公式サイトなんかで見られる満面の笑顔のイメージが、作中だと全然違うんですもの。




 ○ アウリーガとサジッタ
 前に乗るのがアウリーガ(操縦者)、後ろに乗るのがサジッタ(ナビゲーター)。
 カタカナで置き換えられるのに敢えて専門用語・・・・・という疑問は置いといて、このポジションはそれぞれの適正があるらしく、容易に変更できないらしいです。

 で、今週の冒頭シーンで組まれていたアウリーガとサジッタの組み合わせはというと―――
 パライエッタ(パラ様)−カイム(姉・メガネ)
 アルティ(妹)−フロエ(ロリ声)
 モリナス(エロかっこいい人)−ロードレアラモン(三つ編み)
 アーエル(主役)−リモネ(幼女)

 ちなみに、第1話のネヴィリルは―――
 ネヴィリル−アムリア
でした。なので、アーエルがネヴィリルと組みたがっていた時に、他のみんなが「一流の操縦者にナビゲーターをやらせるの?」と怒ったということですね。パラ様があれほどネヴィリルLOVEなのに、彼女がアムリアと組んでいたのもこういう理由なのかな。第1話のビデオはもう残ってないので確認できないんですが、第1話で各キャラが誰と組んでいたのか調べてみると面白いかも。



 で、ゆかな演じるドミヌーラの参戦で状況は一変。不調のリモネを操縦者にポジションコンバートします。
 最後のシーンの組み合わせはこんな感じ。
 リモネ−ドミヌーラ
 アルティ−フロエ
 アーエル−ロードレアラモン

 ロードレアラモン、巻き込まれて可哀想に!!(笑)
 しかも、その後のリ・マージョンのシーンでも「えぇ?ホントにやるの?」みたいな顔しているのに、アーエルに圧倒されて言い出せないのな(笑)。やばい!可愛いよロードレアラモン。僕が高橋美佳子好きだというのを差し引いても、このキャラは美味しいなぁ。水樹奈々とのキスシーンが観たかった・・・
 このシムーンというシステム、チーム編成とカップリング成立を両立したなかなかナイスなアイディアなのかも。



 しかし、残念なことを挙げるなら、視聴者的にはアウリーガもサジッタも何をしている人かよく分からないので、いまいちコンバートの大変さが分かっていないということ。ポジションコンバートはスポーツ漫画なんかでは結構おいしいイベントであって―――キャッチャーにピッチャーやらせたり、FWにゲームメーカーやらせたり。キャラの新たな一面を描ける面白さがあるというのに!





 まぁ、それは置いといても。
 ドミヌーラとリモネのキスシーンは、体格差から何だかイケナイものを観ているかのようなエロさがありましたし。
 戦争であることを実感して萎縮してしまったリモネが、アーエルやフロエの台詞から、「私はリ・マージョンが出来れば良いんだ」という結論に達し。結果として味方は全員助かったが、変わり果てた敵の姿がソコに残っているというのをちゃんと描いていたのも良かったと思います。

 短所は確かに挙げればキリがないけど、長所もどんどん見えてきたと思います。
 ひょっとしたら化けるという可能性も出てきたかな?


 








■ 『シムーン』 第6話 「傷と痛み」
脚本:大和屋暁 絵コンテ:加藤敏幸 演出:加藤敏幸 作画監督:山田 勝

 先週がリモネメインの話だったので、今週はネヴィリルを中心にパラ様―――及び、パラ様に想いを寄せるカイムの二人がメインの回でした。んでもって、そんなカイムを見ているアルティについても伏線が張られていて。どうやらアーエルとの出会いでそれぞれが変わりつつあるのを、各キャラごとに描いていくのかな?ロードレアラモンを早く!僕は水樹奈々と高橋美佳子のチューが観たいんだ!(笑)

 また、冒頭で羽根を休める鳥に喩えることによって、ネヴィリルの今の状況や、これからきっと飛び立つであろうことを暗示しつつ。姉の行為を見ていたアルティが、「休んでいるんじゃなくて、傷ついて飛べなくなってしまったら・・・」と(恐らくは)自分の行く末を諦観しているようなフシがあったり。今週は面白かったー。脚本レベルでは相当面白くなっていると思いますよ。



 ただ、まぁ・・・相変わらず視聴者には分かりにくい作り方をしているのも確か。




 ○ 何度回想されてもアムリアが死んだことがよく分からない
 カイムが「死んだ」ではなくて「いなくなった」と表現していることから考えるに、終盤に再登場してくる可能性が高いからなんでしょうが―――未だに1話でアムリアがいなくなったシーンがよく分かりません。
 いや、多分ネヴィリルがリ・マージョン失敗したせいで巻き込まれて消滅したってことなんでしょうけど。それならアムリアがいなくなった後の無人のシートをバン!と映せば視聴者にも伝わるのに、何度も何度もネヴィリルが「あぁーあぁー」と呻いている絵だけを映す・・・・うーん、正直、第1話の初動が悪かった理由って間違いなくココにあると思うんですよ。やっていることは面白いのに、視聴者に伝えようという意思を感じられないというか・・・・


 同じようなことは今週も何箇所かあって。
 アーエルが描いたラクガキをパラ様が消したせいで指が汚れて、カイムをそれを綺麗に整えてあげた―――というシーンだと思うんですが。「どうしたんですか、それ?」の台詞の後も、“それ”は映さず、ちょっと遠い距離で二人のやり取りを描いているだけなんですよ。結局、視聴者的には「それって何よ?」のまま、綺麗になった後の指を映して終了。
 うーん・・・どういう意図なんでしょう。なんか、素人目にはただ不親切なだけにしか見えないんですが・・・コレも(アップを1枚挟むだけで)ちゃんとスムーズに視聴者に伝えられていれば、アーエルの空気読まない行動がパラ様とカイムを接近させて、その結果としてパラ様はカイムの中にかつての自分を見て、アーエルにネヴィリルを託す決断をする―――という、それなりにキレイな構成だってことが分かるんですが。

 ホント、勿体ないよなぁ・・・・・・




 で、まぁ。これを“不親切”としちゃうのは可哀想な気がしますが―――
 夜のデッキでパラ様とカイムがやってたシムーンごっこ、普段とポジションが逆なんですよね。川口能活がFWをやったり、小野伸二にゴールキーパーをやらせたりという遊びだったワケです。が、先週も書いたように視聴者的には操縦者もナビゲーター(銃撃も担当すると公式サイトに書いてあるけど銃なんか撃ってないですよね)も違いが分からないですし、そもそもパラ様がどっちだったかも普通の視聴者は覚えていないでしょうから。
 これらも、前後のポジションを入れ替えたらマトモに運転できなくなった、みたいなエピソードを序盤に入れておけば解決したと思うんですけど―――視聴者への配慮が少しでもあれば・・・



 そもそも、肝の部分であるはずの“パラ様がアーエルならネヴィリルを変えられると思った”理由がイマイチ分からんのですよ。「アムリア以上のコイツなら・・・」と言ってるけど、アーエルがこれまでにやってきたことって空気読まないで自分の我侭を押し通してきただけじゃないですか(操縦技術は凄いらしいですが)。アムリアも空気読まないコだったの?
 これも「アムリアにはない何かがコイツにはある・・・コイツならネヴィリルを立ち上がらせてくれるかも知れない!」みたいな台詞だったら、素直に理解できたと思うんですよ。なんか・・・ストライクとボールのギリギリのとこばかりを狙ってフォアボール連発されているような気分。





 ○ とは言え、キャラは少しずつ立ってきました
 公式サイトのキャラクター紹介のところに、ようやくグラギエフとアヌビトゥフが入りました。これまでどっちがどっちだか分からなかったんですが、ようやく個体認識できますね。これもなぁ・・・直接アニメスタッフとは関係ないとは言え、キャラいっぱい動かす群像劇には公式サイトは欠かせない存在ですからさぁ。『舞-乙HiME』なんか、初期の頃からネタバレ覚悟でキャラ紹介はズラッと並べていましたもの。この辺の微妙な違いが、ヲタクの心を掴むかどうかにかかってくるんじゃないかなぁ。



 で、グラギエフがデュクスと呼ばれるコール・○○の指揮官(というより管理役?)で、アヌビトゥフが艦の艦長で、この二人も若い頃は同世代だった模様。二人の力関係はよく分からないけど、クワトロ・バジーナとヘンケン艦長みたいなもの?(喩えが古いな・・・) グラギエフはクワトロと違ってシムーンには乗れないんでしょうが、よくよく考えてみれば指揮官が最前線に赴くガンダムの方が異質ですもんね(あれは無線が使えないという世界観ですから)

 しかし、人の名前を覚えるだけでも苦労なのに、デュクスとか専門用語があるんだもん・・・
 二人の性別は、胸を見る限りは男性みたいですが・・・・・アヌビトゥフなんて女子高生でも通用しそうな顔のような。人間の性別識別能力なんて、しょせんはおっぱいに頼るしかないんだなぁと思いました。





 その他のキャラでは、皆に気を使っているロードレアラモンが相変わらずイイですね。
 姉妹の話は伏線通りドロドロしたものだったみたいで、アルティメインの話は鬱になりそう・・・


 








■ 『シムーン』 第7話 「公海上空にて」
脚本:小山田風狂子 絵コンテ: 藤原良二 演出:下司泰弘 作画監督: 津熊健徳

 前回までの数週間がキャラ掘り下げ回だったので、今週は新キャラ投入で新しい風を吹き込もうとする回。
 僕が見逃した回がどうやらアーエル掘り下げ回だったらしいので、アーエル、リモネ、パライエッタ、カイム、アルティ・・・と、順番に掘り下げてきたんですが。フロエ、ロードレアラモン、モリナスなんかは放置のまま。ロードレアラモンは新キャラと繋がりがありそうなんですが、これだけキャラが多い中にキャラを増やしてどうするんだという印象を受けます。かと言って、キャラ掘り下げ回ばかりで話が動かないのもキツいだろうし・・・

 ちょっと厳しい意見になってしまうかも知れませんが、このアニメ、キャラ配置で大きくビハインド背負ってしまったんだと思うのです。今週まででネヴィリルを含めてコール・テンペストは10人、更に二人加えて12人・・・これ、初期のメンバーがあと二人少なかったら全部解決してたと思うんですよ。掘り下げられないキャラも生まれなかったろうし、ぬるい関係に新キャラ加えて刺激を作ることも出来たと思います。
 少なくともメインキャラ12人全員に、それぞれのバックボーンと見せ場が描かれなきゃアニメとしては失敗の烙印を押されても仕方がないと思うんですが、どんどんどんどんハードルが高くなっていってしまってます。走り高跳びを失敗する度に、バーの高さを上げているようなもんです。0点か100点かのどっちかにしかならなそうですが・・・最終回の頃に100点を出したところで、そこまでに視聴者はついていけてなさそう・・・



 ○ いつの間にか仲良しグループになってたテンペストに新しい風
 パライエッタがアーエルを認める描写は先週丁寧に描いてくれましたが、それ以外の皆はダラダラと流れの中で仲良くなっちゃってましたね。戦争の意識が皆無で部活動の延長で戦っていることに違和感覚えていましたが、ひょっとしてそれもスタッフの狙い通りで、こっから一気に落っことす準備をしているのでしょうか。

 というワケで、ネヴィリル抜きの全員で飛行しながら談笑しているのは違和感覚えつつも、微笑ましくて良かった。実は姉が好きなのにソレを隠して泉の話をするアルティと、それを苦々しく思うカイム、「実は気付いてるよ私」と後で言ってくるフロエ、知らずにからかうモリナス、赤くなるロードレアラモン、耳を塞ぐリモネ・・・と、それぞれのキャラが活きてきた印象。年長者だからか一人蚊帳の外のドミヌーラなんかも含めて、女のコだけのコミュニティをちゃんと描いているんですよね。
 Bパートのマミーナを皆で笑っているトコなんかも、パラ様でさえ笑いをこらえきれなかったりしてて。あぁ・・・この9人はようやっと一つのチームになれるんだなぁ、後はネヴィリルが戻ってきてくれたらまとまるんだなぁ・・・と思ったら。



 空気読まない新キャラが出てきた。

 まぁ、このままテンペストを一つにするのもドラマとしてどうかと思うから新キャラ投入は間違った展開ではないと思うんですが、モリナスとロードレアラモンの二人が好きな僕としては「ますます出番がなくなる!!」と危機感。
 モリナスなんか登場当初、「ネヴィリルのパートナーはアンタじゃなくて私よ!」とかアーエルに突っ掛かっていたキャラだったのに、いつの間にか大人しなってて、とうとう今週脱落表明・・・いやね、結果としてロードレアラモンとイチャイチャしてくれれば良いんですけど、「ネヴィリル競争倍率高いからアンタで我慢しとくわ」みたいな扱いでロードレアラモンを選ばれるのはイヤだ!二人の相互理解話もちゃんと描いてくれないと、正直キッツイとこあるんだけどなぁ・・・・メインキャラに対して「このキャラ、いらなくない?」と思われたら最後ですもん。



 ○ 森永理科と名塚佳織
 森永さんは前情報から知っていましたが、まさか名塚さんまで出てくるとは・・・ホント、キャストは無駄に豪華です。これだけ豪華だということは、早々にリタイアするキャラが出てきてもおかしくないんですが。タンポポのリ・マージョンは12人いないと出せないみたいで・・・少なくとも和平交渉の間は全員生き残るのかな。

 森永さん=マミーナは偉ぶっていたくせに急速にヘタレていって、「君には失望した」とか言われるキャラでした。正直、脳がこのキャラを理解する前にヘタレていたのでワケが分かりません。あと、下着姿がエロスさの欠片もないのは逆に凄いと思いました。
 どうやら、このコの空回りがアーエルとネヴィリルの間を取り持ってくれるみたいです。レギュラーとしてはキッツイかなぁ・・・アウリーガということだから、ロードレアラモンとのコンビになるとか? うーん・・・水樹奈々×高橋美佳子が観たい僕としては、あんまし歓迎しないかなぁ。いや、凄く個人的なコトではありますが(笑)


 名塚さん=ユンは既に死臭が・・・(笑)
 死にすぎた味方を見続けてきたせいで、自らの死に急いでいるといった感じでしょうか。ただ、この人が死ぬとテンペストが11人ということで奇数になっちゃうんですよね。誰かもう一人死んじゃうのか、名塚さんも生き残るのか。キャラの回転を考えると10人が限界という気もするんですけどねー。どうでしょう。




 で、マミーナの空気読まないっぷりが原因で、和平交渉が終わればテンペストは解散とのことです。せっかくマミーナが来るまでは仲良くなってたのに・・・!と、Aパートの仲良しっぷりが活きてきます。和平交渉中にトラブルが起きて、テンペスト及びマミーナが活躍してチームの存続と結束が決まるってトコでしょうか? これまで船の中だけで進んでいた世界観が一気に広がってくれますね。

 しかしさぁ・・・・どう考えてもネヴィリルの親父は横暴でしょう。自分の連れてきた補充要員が不祥事起こしたからテンペスト解散って、まず処罰されるべきは自分なのに、自分のことを棚に挙げてテンペスト解散とは。正直なトコ、無理矢理テンペストを窮地に追い込むための脚本という気がして、イマイチ緊張感が出てきません。


 まぁ・・・どっちにしたって、化けるかどうかはこっからの数話で判断できるだろうってことは確かです。


 








■ 『シムーン』 第8話 「祈り」
脚本:小山田風狂子 絵コンテ:中山岳洋、西村純二 演出:吉田俊司 作画監督:中山岳洋

 
とうとう化けやがった!!

 良かった、素晴らしかった。ここまで我慢した甲斐があったというもんです。
 もちろん主人公コンビの初出撃なんだから気合入った脚本にしてくるのは当然だし、これが1クール目の山場だとしたら残り数話はどうなっちゃうんだろうとか、せっかくの出撃シーンなのにキャラの心情を深く理解していないとイマイチカタルシスが感じられなかったり、そもそも8話で覚醒って遅すぎたかもなぁ・・・・などなど、万人を満足させるカンペキな面白さというのには程遠いとは思うんですが。
 僕としては、純粋に今週のラストはゾクゾクしっ放しでした。『舞-HiME』『舞-乙HiME』以来、しばらく味わってなかった感覚を思い出しました。この瞬間の感覚が堪らないから、僕はアニメ視聴をやめれないんですわ。




 ○ 過去話すら踏み台にされるマミーナ
 巫女が戦闘要員として駆り出されるという設定の割に、イマイチ緊張感のなかったコール・テンペストなんですが。
 本来なら神を信じないアーエルと、神に仕える延長線上として戦いに巻き込まれたその他全員という構図になるべきだったのが、何故だかみんな無条件にアーエルを認めちゃったのがヌルさを感じていた理由だったのかなーと。そういう意味で、キャラ的にも視聴者的にも“嫌われ役”としてマミーナと対比させてくれたのは良いタイミングだったかな、と。


 神を信じているからこそ戦いへの躊躇を胸に秘めていた(そしていつしか慣れてた)はずのテンペストの面々と、神を信じているからこそ兵士として成果を上げ続けなくてはシムーンに乗って祈り続けることが出来なかったマミーナ。んでもって、神を信じなかったから戦いに迷わなくて済んだアーエル・・・


 なんか否定的に描かれていましたけど、最もしっかりとした“戦う理由”を持っているのはマミーナなんですよね。他のみんなは神への祈りがシムーンで戦うことを躊躇わせるんですが、マミーナにとっては神へ祈るためにはシムーンで勝ち続けることが必須だったワケで。それに加え、彼女は階層の劣等感を持ち続けてきたことと、神への信心すら家柄によって区別される→戦争によって、家柄が無化されていったという世界観まできっちり描いてくれていました。



 政教分離は、ドロ沼な宗教戦争を経験したヨーロッパ諸国では絶対に守らなければならない最低限のラインなんですが(日本のことはひとまず忘れよう)、この世界では政治も宗教も軍事も経済階層ですらイコールで繋がっているんですよね。まぁ、アニメでは描くのが難しい分野だと思うし、やりすぎると色んなトコから睨まれると危険性もありますが・・・個人的には、ここの部分まで踏み込んで描いてくれたら嬉しいかなぁと思います。下地は整っているのですよ。


 関係ないけど、ようやく僕は“ロードレアラモン”ではなく“ロードレアモン”だということに気付きました。何箇所か、この感想の中でも間違えてましたね・・・だって、作中で名前呼ばれることがほとんどなかったんだもん!!




 ○ 迷うアーエルに手を差し伸べるネヴィリル
 これは世代的なものかも知れませんが・・・バトルものでもロボットものでもスポーツものでも、普通のフィクションでは“迷わないこと=強い”という基本コンセプトがあります。「俺はもう迷わない!」というのは、キャラが信念に到達した状態であって、精神的な成長を示すことがほとんどでした。まぁ、ここでパッと思いつく例が無印『ガンダム』のカイ・シデンな辺り、僕の古さがバレてしまいますが(笑)

 ですが、最近というかココ1年くらい。ロボットものでもバトルものでも、「悩み続けることにだって意味があるじゃない」と描かれる作品が多くなってきたと思います。『ガンダムSEED DESTINY』では悩みを捨てて妄信することの危険性を描いていましたし(まぁ、それを打倒するキラがラクスを妄信していたのはどうかと思うんですが)、『舞-乙HiME』では悩み続けてもいいからみんなで一歩一歩進むことが大切なんだよという結論だったと思います。
 当たり前なことですが、僕らは基本的に悩み続ける生物です。だから、信念持って真っ直ぐに進むだけのキャラには感情移入が出来ず、悩んで悩んで悩んで遠回りして、正しいかは分からなくても一生懸命生きているキャラに頑張ってもらいたいと思うのです。



 なので、これまでアホみたいに真っ直ぐだったアーエルが、初めて地に突っ伏し迷った時に、これまで迷い続けていたネヴィリルが「私もよ」と手を差し伸べたのにはムチャクチャ感動しました。コマ絵で各キャラの表情を順番に描いていって、最後に一人だけ1ショットでパライエッタの顔だけが映って、アーエルの元に向かうネヴィリルを見つめるのがまた良いんだ!

 「何故、みんなアーエルを認めるんだろう」と思い続けて、それがこの作品をイマイチ好きになれない理由だったんですが―――肝腎のネヴィリル-アーエルのラインでひっくり返すための“タメ”だったんですね。すっかり、してやられました。観続けてきて良かった・・・惜しむべくは、ここに達するまでにほとんどの視聴者が脱落してしまったということなんですが。




 そういや、アーエルの出自に関しては色んな考察が飛び交っていますよね。ちょうど僕が見逃した回にヒントがあったみたいで(笑) 今週の話を観る限り、元々は隣国との国境付近の生まれ(むしろ隣国側?)と考えるのが良さそうですが。彼女自身は名前の由来を知らなかったので、育ったのは宮国内、隣国の言語は喋られないということかな?どっちにしろ、この辺りの設定が、終盤にカテゴリー無化の要因として使われそうな予感。

 また―――宮国と隣国の信じる神は、元々は同じルーツを辿るというのも。カテゴリー無化とか相互理解に向けた布石のようにも思えますが、それ以上に、ドロドロの宗教戦争を続けている現代人に対してのメッセージのようにも思えます。自爆テロまでやっちゃいましたし。
 『ガンダムSEED DESTINY』ですら宗教の概念を無視して描いていたのに(ターゲットの年齢層から考えると当然)、こちらは真っ向から宗教対立を描くつもりなんですよね。相当難しいと思うし、着地点によっては相当批判もされるでしょうが、僕としてはその心意気だけでも評価したい。目を背けて、その部分だけ有耶無耶に描くのなんて簡単なんですよ。でも、このスタッフはちゃんと覚悟して描いている。作品の質に直接繋がるかは今後次第ですが、そこは認めてあげたいのです。


 そういや、今週メインのアングラスの声優は松来未祐さん。ホント、キャストが豪華・・・・すぐ死ぬ役なのに(笑)


 








■ 『シムーン』 第9話 「審問」
脚本:西村ジュンジ 絵コンテ:藤原良二 演出:神保昌登 作画監督:西岡 忍

 脚本が面白くなってくると、他の良い部分が目立って見えてくる上に、「どうなんだろうなぁ」という部分も寛大なキモチで見られるからフシギなもんです。今週も勿体ない描写がチラホラあったりもするんですが、それ以上に、立ってきたキャラの魅力で楽しまされているというのも確かですし。今になって序盤を観返せば、あの頃は感じなかった面白さに気づくんだろうなー。ビデオ取っておけば良かった・・・



 ○ 「出るのはコールテンペストです!」
 先週のラストで出撃するシムーンの絵を描くために端折った部分を、今週で補完。補完されても、目新しいイベントもなかったような気がしますが・・・・・・強いトコだけ見せていたモリナスが、徐々に弱い部分も出してきたトコくらいかな? すんごく地味ですけど、こうやって徐々にチームが一つになっていく過程をじっくり描いてくれるのは大好きです。というか、水樹奈々と能登麻美子の組み合わせにトキメいただけかも知れませんが(笑)


 戦闘シーンはあっさり終了。ネヴィリルが戻っただけで、こんなにも華麗に素早くリ・マージョンが出来るということが描かれましたが・・・・これまでの“タメ”が長かったんだから、もうちょっとカタルシスをくれても良いじゃんとは思います。「おおっ!アレはコール・テンペスト!」「危なかった・・・コール・テンペストのおかげで命が助かった」「コール・テンペストさまさまですね」くらいのワザとらしい台詞を一般人から聞きたかったかなぁと。

 でもまぁ、デュクスがひたすら擁護してくれたから良しとすべきか。艦長に「出れるシムーンはないんじゃ?」みたいなことを言われて、「出るのはテンペストです」と答えるシーン・・・先週もあったけど、やっぱり痺れます。また、艦長の方も何を言うもなく納得してくれるのが良かった。視聴者視点はテンペストの視点なんで、エラい人がテンペストのことをずっと見ててくれていたというのが分かると嬉しいもんです。




 んでもって、ネヴィリルが審問会へ。『ターンエー』のキエル演説の時も思いましたが、彼女の声って、なんだか凄く切実に魂こめて語っているようで心に響いてくるものがあります。言ってたことは「結局は私達に人殺しさせてんでしょ?」という実も蓋もないことでしたが・・・
 確認してみたワケじゃないですが、ひょっとしたらテンペストが仲間達のことを「死んだ」と表現したのはココが初めてなんじゃないですかね。今までは「いなくなった」とか曖昧な表現に留めていたから、僕は第1話でアムリアが死んだことすら気付かなかったし・・・でも、それも敢えて「死んだ」という台詞を言わせず、ここでネヴィリルが現実と向き合ったということを見せるための演出だったのなら。やりたい意図は納得できます。そのせいで逃がした魚は大きいとは思うけど・・・



 「神なんかどうでもいいや」とぶっちゃけたネヴィリルに怒るお偉方でしたが、現場にいる他のコールの人(アーエルと同室で2週前にテンペストと衝突していたコールの彼女かな?)の言葉で一変。
 さきほど僕は“ワザとらしい台詞を一般人から聞きたかった”と書きましたが、恐らくこのシーンまでそれを見せずに一気にひっくり返すための構成だったのかと思われます。もうちょっとあざとくても良いよとも思いますが、先週以降徐々に脚本が片鱗を見せてきたかなぁと。後は、ここからどこまで上へ向けるか・・・ですね。




 ○ 脚本が面白いと、他の良い部分も見えるもんです
 今更なんですが、このアニメのCGって軽さをあんまし感じないような。『ガンダムSEED』なんかは戦艦がプラモデルのような軽さに思えてしまうんですが(宇宙だから軽いってこと?)、CGのメカ描写技術が上がってきているのか、この作品が頑張っているのか。「あぁ、CGだなぁ」というようなチープさはほとんど目に付かないかなと思います。

 この辺も、9週目にしてようやく気付いた・・・・



 さて、今まで散々「キャラが多くてワケが分からん」と文句垂れていた僕ですが、ここまで来ると不要なキャラなんていないような気がしてきました。言ってることが2週間前と正反対(汗)。今週、ドミヌーラがお偉方と密談していたりなどで、なるほどこのキャラはこういう役割なのかと思えてくるように・・・そういや、影と後姿で隠されていると思ったら、あっさり映ったのは何故?>ドミヌーラが話していた相手。
 ユンはユンでマミーナのことを心配して最初に声をかけたりしてるし、ロードレアモンは感情を内に秘めるなりに“みんな”を大切にしているし、モリナスは軽口を叩きながら弱い部分を皆にも見せれるようになってきたし・・・一人一人のキャラが立ってきたかなぁと思います。


 キャラが立ってきたのは良いんだけど、コール・テンペストの存続が決まった時に驚いたのがパライエッタだけで、あとの全員は素直に喜んでいたのにビックリしました。普通、そこは一瞬間を置くと思うんだけど・・・単なる演出ミスというよりは、ネヴィリルの合流で皆ある程度予想していたってことなんでしょうか。まぁ、ネヴィリルのお尻が可愛かったから良しとするか!(何だ、この締め)


 






 アニメ感想マラソンの結果(参考)により、この作品の感想はここまでです。
 ご愛読ありがとうございました。





自作漫画を描いています
▲ 『ちのしあわせ家族』連載中。よろしければどうぞ。


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