イズっち

【遊んでみた商業ゲーム紹介】
 『ポケモンスナップ』(N64/ACT)

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『ポケモンスナップ』(N64/ACT) 〜2008.4.9
NINTENDO64用/カメラアクション
任天堂/HAL研究所(ジャックアンドビーンズ)
1999.3.21発売
64版公式サイト

Wiiバーチャルコンソール用
2007.12.4配信開始/1000ポイント
公式サイト
 ※ このレビューはWiiバーチャルコンソールにてリメイクされたものをプレイして書かれたものなので、オリジナルの64版とは内容が異なっている可能性があります。


 このゲームが生まれた経緯については、当時の『ほぼ日』のインタビュー記事に詳しく書かれています。
 岩田聡、糸井重里、宮本茂、中村光一と言った超豪華メンバーが中心となって、「組織に縛られない自由なゲーム作りをしたい人」を公募して立ち上げたプロジェクト(ジャックアンドビーンズ)が始まりだったそうです。

 逆算していくと、当時は95年か96年?
 NINTENDO64が発売される以前で、任天堂としては『マリオ64』を始めとした大作ゲームをガシガシ作っていた時期です。その時期に「大作ゲームだけじゃダメだよね」「違った土俵のソフトを作ってくれる人達にいて欲しいよね」と、新しい芽を生やしていたことに今更ながらに驚きました。だって、その95〜96年頃なんて(少なくとも任天堂内部では)任天堂がソニーに敗北する未来なんて予想していなかったでしょうよ。


 もちろんソフトが出るまでに3年半もかかっているのだから、プロジェクトは大成功というワケではないでしょう。
 途中からキャラをポケモンに置き換えてキャラクター商品にしたというのは苦肉の策のように思えますし、それでも当時は相当な投売りを喰らったそうですからビジネスとしては失敗だったのかも知れません。上述のインタビューでも、岩田さんや宮本さんの「あの時ああしておけば良かった」が垣間見えましたしね。


 ただ……それから10年。
 もちろんジャックアンドビーンズがそのまま繋がっているワケではないのですが、『ポケモンスナップ』のような「全く新しいソフト」というのは任天堂の主戦場になりました。公募によるスタッフでのゲーム作りという意味では、(このソフトに直接関わったワケではないのでしょうが)『スマブラX』で桜井さんが選んだ手段に通じているのかも知れません。
 そういう意味で、90年代後半ジャックアンドビーンズと『ポケモンスナップ』が切り拓いた道というのは、今に繋がっているように思うんですよね。

 『ポケモンスナップ』をプレイしていると、非常に「Wiiっぽいゲームだな」と感じます。
 もちろん99年に発売された64のソフトですし、クラコン・GCコンでしか操作出来ませんし、今のゲームに比べるとグラフィック・インターフェースは劣っているのは間違いないのですが。ゲーム性の割り切り方・ユーザーに遊び方を任せる自由度・写真を共有することの楽しみ……などなど。最近の任天堂ソフトに通じるものを強く感じます。
 このゲームがWiiのバーチャルコンソールで復活したというのは、凄く意味深いことなのかも知れませんね。




 ○ 写真を撮るだけ!だからこそ分かりやすい
 一言で表すと「ポケモンを写真に撮る」ゲームなんですが、自由にフィールドを散策して写真を撮るのではなく、スタートからゴールまで(トロッコのようなもので)レールの上をゆっくりと進みながら写真を撮っていくゲームです。
 ポケモンの行動パターンはステージによって決まっていますから、1回目で撮り逃したポケモンも、2回目では「ここを通過するタイミングで茂みからニャースが出てきたよな」と構えておけば楽々カメラに収めることが出来ます。言ってしまえば、覚えゲー?


 感覚的には、移動がオートなガンシューティングゲームに近いかも。
 ガンシューティングと違うのは、ポケモンがこちらを攻撃してくることがないので好きなだけ写真を撮っていて構わないこと。あとは、どっちの方向をむくのかがプレイヤー自身に委ねられていることです。当たり前ですが、後ろを向いている間にシャッターチャンスを逃していることも多いです。

 また、ゲームを進めていくことでアイテムを入手し、“こちらからポケモンに働きかける”ことも出来るようになります。むしろ、これが出来るようになってからが本番かも知れませんね。
 リンゴを投げて、それに群がっているポケモンをカメラに収める―――という単純なものから。複数のポケモンとアイテムを組み合わせることで、ステージ上のギミックを動かすこともあります。この辺は発想の勝負で、『ゼルダ』のソレを思い浮かべるとイイんじゃないかと思います。
 欲を言えば、ステージ全体が動いてしまうようなもっと大掛かりなギミックが欲しかったかな。



 撮った写真は博士の研究レポートに使われるため、各ポケモンごとに「ポケモンが大きく写っているか」「ポケモンのポーズはどうか」「写真の中央にポケモンが写っているか」が採点され、各ポケモンごとのハイスコアの写真がポケモンレポートに残るようになります。
 また、スコアはイマイチだろうけど写真としては面白いんだよなーという写真は、自分で選んでポケモンアルバムに貼り付けておくことが出来ます。この「スコアで写真の善し悪しを決められる」「でも、スコアに関係なく自分の好きな写真を保存しておける」という二枚看板は面白い発想ですよね。

 ちなみにWiiのバーチャルコンソール版だけの仕様として、ポケモンレポート・ポケモンアルバムに保存してある写真をギャラリーモードからWii伝言板に貼り付けることが出来ます。すなわち、ゲーム内で撮ったポケモンの写真を『写真チャンネル』で眺めたり、友達に送ったりすることが出来るということです。




 全体的に、このゲームは割り切り方がハッキリしているなと思いました。
 インタビューを読むと、どうやら企画の最初は「自由に歩き回って写真を撮るゲーム」だったそうなんですが……そうなると「歩く」と「写真を撮る」の二つのアクションを同時にしなければならず、ゲームの本来の魅力がブレてしまったと思うんですよ。
 もちろん技術的に出来なかったということもあるんでしょうが、『Wii Sports』のテニスが「移動はオート、操作はスイングのみ」にしたのとか、『Wii Fit』のジョギングが「Wiiリモコンを万歩計のようにして、レール上のコースを走る」仕様にしたのに近いような気がします。
 「もっと色んなことがしたい!」と思う人もいるでしょうが、僕としてはこれくらい割り切ってくれた方が遊びやすいです。何でも出来るゲームというのは、時として「何をしてイイか分からないゲーム」になってしまいますからね。


 また、ポケモンのキャラを眺め、こちらから働きかけてアクションを起こさせるというだけでも楽しいんですよね。
 僕は『ポケモン』のゲームを全く遊んだことがないのでほとんどのキャラは「初めまして…」だったんですが、それでも色んなステージに色んなポケモンが出てくる様子は豪華で楽しかったです。洞窟には洞窟っぽいポケモンが出てくるとか、基本的なことなんですけど大事ですよね。




 ちょっとネタバレになりますが……
 エンディングまでたどり着くと、各ステージごとのスコアアタックに挑戦できるようになります。これは、1周ごとの写真の合計得点を競う遊び方で、無駄のない計算されたアクションが求められます。
 逆に、公式サイトに掲載されているような風変わりな写真を撮ることを目指す遊び方もあって……楽しみ方は人それぞれ。

 「写真を撮る」に限定したゲームにしたからこそ、そこから派生して色んな遊び方が編み出されていく循環だったのだと思うのです。これってホントにWiiやDSのゲームっぽい発想ですよね。
 『どうぶつの森』の初代が出てきたのが01年で、DS本体が出てきたのが04年末で、「ゲーム人口拡大プロジェクト」が見えてきたのが05年。このゲームが発売されたのが99年だということを考えると「早すぎたんだろうなぁ」と思うとともに、こうしたゲームがあったからこそ今に繋がっているんだろうなーとも思えるのです。





 ○ では、2008年に遊ぶのはどう?
 とは言っても、9年前のゲームということでそれなりの「古臭さ」があるのは確かです。

 僕はあまり気にしないんですけど、64のゲームなんでグラフィックはカクカクしているのは否定できませんね。そういうグラフィックが苦手という人にはオススメできません。
 僕は『ポケモン』本編を全くプレイしたことがないので気にしませんでしたが、当然ながら99年の作品ですからそれ以後に初登場となったポケモンは出てきません。最近の『ポケモン』本編が好きだという人は注意が必要かも知れませんね。

 また……僕はGCコンを使用していたんですが、オリジナルの64コントローラと違うせいか、メニュー画面などで「LRボタンで切り替えられると便利なのになー」と何度か思いました。文字入力なんかの画面も今と比べると字が小さくて見辛いですよね。ゲームソフトは言ってしまえば「後出しジャンケン」なんだから、後に出たものの方が洗練されているのは当然とも言えるんですが……この辺がバーチャルコンソールの限界なのかなぁとも思いました。



 この発想を活かしてWiiソフトとして新作を出すというのも面白そうなんですが……根本的にプリンターがないというのもネックですよね。
 Wii伝言板からメールで写真を送るよりも、写真にして持ち歩いて見せられた方が手軽さなのは確かです。テレビ画面をプリントアウトできるプリンターなんかもありますが持っている人は限られますし、このためにプリンターを買うほどの価値があるとは思えません。そう考えると、短期間で終了してしまったという当時のローソンのプリントサービスというのは良い落としどころだったんでしょうけどねぇ。


 あー、でもそうか。「写真データをSDカードに移せるようにする」というのが現実的な案ですかね。
 『スマブラX』などで行われているようにSDカードに書き込む機能を付けて、それをPCに移してプリントアウトする……少なくともテレビ画面をプリントアウトするというよりは多くの人が出来そうですが、今度は相当面倒臭くなってしまいますね(笑)。




 ○ 総評
 これはバーチャルコンソールのソフト全般に言えることなんですけど、Wiiウェアの『もじぴったんWii』『Dr.マリオ&細菌撲滅』なんかとがっぷり四つで争わなきゃならないのはキツイですよね。同じ1000円のソフトとして捉えるのならば、どうしたって99年のソフトですからコチラの方が荒くて古臭いのは仕方がないです。
 その辺をマイナスとして捉えず、「ポケモンを写真に撮る」行為に魅力を感じられる人ならば1000円は妥当な値段だと思うのですが……ところどころで「続編が出るんじゃね?」という噂が絶えないソフトなので、タイミングがムズかしいですよね。


 個人的にはこれくらいのグラフィックでも満足できますし、僕は『ポケモン』の新旧を知らなかったので、値段分くらいは余裕で楽しめました。ただ、次回作が出たとしても「前の遊んだから次は良いかなー」と思ってしまうというのも本音です。

 


自作漫画を描いています
▲ 『ちのしあわせ家族』連載中。よろしければどうぞ。


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