| 『熱血硬派くにおくんすぺしゃる』(3DS/ACT) |
〜2011.12.27
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ニンテンドー3DS用
アークシステムワークス/開発:エイビット新潟
2011.12.15発売
定価:4410円(税込)
セーブデータ数:2
公式サイト
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※ このソフトはニンテンドー3DSの立体視機能に対応していますが、自分は視力の問題で立体視が出来ません。なので、この紹介記事内では立体視機能については言及しないことを御了承ください。
まず最初に分かりやすく説明しますと……
このゲームはアーケード版&ファミコン版『熱血硬派くにおくん』を、『ダウンタウン熱血物語』風にリメイクしたゲームです。
『熱血硬派くにおくん』とは86年にアーケードゲーム版が販売開始され、87年にはファミコンへの移植がされた、リアルな頭身の不良が立ち回るステージクリア型のアクションゲームです(ファミコン版のVC公式サイト)。
87年にはそうしたキャラが登場する『熱血高校ドッジボール部』アーケード版が販売開始(翌88年にファミコン版も発売)され、くにおやりき等が初めてデフォルメキャラクターとして登場しました(ファミコン版のVC公式サイト)。
続いて89年に発売された『ダウンタウン熱血物語』は当時のRPGブームの要素を取り入れ、敵を倒して手に入れたお金で買い物をしてパワーアップする要素や、敵のセリフを読んで「○○に行く」といった要素があり。そして何といっても「二人同時協力プレイ」が出来たことで、くにおくんシリーズの一つの完成形が出来上がりました(VC公式サイト)。
ここで登場した人気キャラクターや必殺技は後々のシリーズにも引き継がれ、90年の『ダウンタウン熱血行進曲』(VC公式サイト)、91年『くにおくんの時代劇だよ全員集合』(VC公式サイト)といった人気作が生まれていく――――のですが、
例えば、『ファイナルファンタジー』シリーズのファンも「ファミコン時代が好きだった人」「スーファミ時代が最高だったよ派の人」「プレステ以降しか知らないよ派」などに分かれるみたいな話で。くにおくんシリーズのファンにも「ダウンタウン熱血物語以降しか知らないよ」という人が多く、自分もその一人でした。
なので今作は、くにおくんシリーズのエピソード1となる『熱血硬派くにおくん』を、後のシリーズの原点となった『ダウンタウン熱血物語』風にリメイクした―――ということなんですね。
また、「くにおくんと言えば2人協力プレイだろう!」という人のために、2人協力プレイが出来るミッションモードがあったり。「くにおくんと言えば4人対戦だろう!」という人のために、4人対戦が出来るバトルロイヤルモードもあります。
くにおくんシリーズ25周年に相応しい「シリーズの良いところを全部集めた」スペシャルなソフトになっているのです!
………と、期待していたんですけどねぇ。 |
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○ 現代に蘇る「ファミコン風ゲーム」
グラフィック・操作感はファミコン版『ダウンタウン熱血物語』風ではあるんですが、当然ファミコンよりもスペックが高い3DSでの新作ですから「ファミコンには出来なかったこと」が出来るようになっています。
例えば「1人vs多数」という立ち回りです。
アーケード版『熱血硬派くにおくん』はこれこそが最大の特徴だったそうなんですが、ファミコンのスペックではそのまま移植することは出来なかったのでファミコンのくにおくんシリーズは(自キャラ含めて)画面に同時に出るのは4人までとなっていました。
今回の3DS版は「ストーリーモード」「アーケードモード」「ミッションモード」の全てでこの「1人vs多数」という立ち回りを実現していて、まさに「現代の技術で蘇った熱血硬派くにおくん」という印象でした。25年越しの悲願達成!いや、私は当時のアーケード版は知らないんで憶測なんですけど。
主なモードは「ストーリーモード」「アーケードモード」「ミッションモード」「バトルロイヤルモード」の4つ。
「アーケードモード」は、その名の通りアーケード版『熱血硬派くにおくん』を『ダウンタウン熱血物語』グラフィックで再現したものです。自分は原作は未プレイなんですが、動画共有サイトでプレイ動画を観たところグラフィック以外はかなり再現されているんじゃないかと思いました。ハイスコアはすれちがい通信で自慢出来る上に、累計スコアによって「イラストギャラリー」が増えていくというボーナスがあります。
「ストーリーモード」はこのゲームのメインのモードです。
くにおくんが熱血高校に転校してくるところから始まって、『熱血硬派くにおくん』のストーリーにエピソードを大幅に肉付けして、『ダウンタウン熱血物語』+『時代劇』風の成長システムを取り入れて仕上げられています。
先ほど書いたように「1人vs多数」というアーケード版『熱血硬派くにおくん』を再現しつつ、ファミコン版のようなバイクステージなども再現されております。どちらの長所も再現したまさに『熱血硬派くにおくんすぺしゃる』!
厄介者として転校してくるくにおくんを理解しようとする教師や、熱血高校の生徒でありながら敵と通じているキャラなど、深みのあるストーリーが展開していきます。ただしそれは序盤だけで……という話は、後で書きます。
また、「シリーズのエピソード1」ものとして定番の、“後々のシリーズに繋がる伏線”みたいなものが描かれているのも面白いところです。くにおくんがドッジボール部に勧誘されるところや、豪田が妹らしき人物と背景に出てくるところなど。シリーズを知っている人ほどニヤリと出来る描写がありますね。
「ミッションモード」は、ソフトと本体が2セットあれば協力プレイが可能。
「ストーリーモード」に出てきたキャラやシリーズ歴代キャラなどとの対戦ミッションだけでなく、「○秒防衛しろ」とか「制限時間以内に○円稼げ」みたいなミッションもあるのがイイですね。ここで稼いだポイントを使って、「バトルロイヤルモード」のキャラを増やすことが出来ます。
「バトルロイヤルモード」は『熱血行進曲』の「勝ち抜き格闘」のようなモードです。
ソフトと本体が人数分あれば楽しめるマルチプレイだけでなく、ソフト1本で楽しめるダウンロードプレイも可能です(ただしキャラやステージは選択不可)。
ということで……このゲームは「コンセプトは」素晴らしかったと思うんですよ。
自分もプレイ開始2時間くらいは「すげー!おもしれー!!」とテンションマックスで楽しんでいました。
でも、ストーリーモードクリア&ミッションモードコンプをした今では……
○ 欲張りすぎて全てが中途半端
まず、ストーリーモードは物凄く短いです。
4〜5時間もあれば終わってしまいます。ミッションモードを合わせても8時間くらい。
元がステージクリア型のアーケードゲームだということを考えれば仕方がないのかも知れないのですが、序盤はそれでも結構オリジナル要素が肉付けされていて面白いんですよ。くにおくんを庇おうとする教師、その教師のために「ケンカはしない!」と約束するくにおくん、それでも守りたい人のために……と展開していく序盤は、古き良き王道不良漫画を読んでいるようでした。
でも、それも2話まで。
3話・4話は話に深みはまるでなく、ただ敵が出てきてやっつけるだけ。先生は何だか知らんけどケンカを許容しちゃうし、校長はどっか行っちゃうし、ゆうやはフェードアウト。
街中を歩いているオッサンとゆうや達というのは伏線のつもりだったのかも知れないけど、あんなのは伏線とも呼べない意味不明な描写ですよ。ところどころで「この学校には科学部があるらしいぞ」というヒントを聞くのに、実際にはない、みたいな「未完成品」感も非常に強いです。何これ、1年後にPS3で完全版が出るフラグなんですか?
それでもアクションが楽しければそれでいいじゃん、と思えたのでしょうが……
ストーリーモードで手に入る必殺技は『ダウンタウン熱血物語』に出てくる6種+旋風脚と少ないだけではなく、どの必殺技も弱体化が激しいので「まっはきっく」以外はほとんど使い物にならないという。
特に酷いのは「すとんぴんぐ」と「まっはたたき」ですよ。
「すとんぴんぐ」は1回ずつしか踏めないのだけど、このゲームは普通に「倒れている敵を蹴っ飛ばせる」ので何のためにある必殺技なんだこれという。
「まっはたたき」は『熱血物語』では強い必殺技でしたが、今回の『熱血硬派くにおくんすぺしゃる』では画面を切り替えると持っている武器が消滅する仕様のため終盤は全く使い道がありません。というか、敵の出ないエリアだから使い道がないのに木刀が落ちているなど、これは普通にバグじゃねえのかと思うところも多々。
「にんげんぎょらい」も当たり判定が小さいので使い物にならないし、「せんぷうきゃく」も一撃で吹っ飛ばせないから敵の的になるだけ……『熱血物語』や『熱血行進曲』のように強力なままならゲームバランスが崩壊するから、と思ったのかも知れませんが、使い道のない必殺技を入れておく意味が分かりません。
町の人の頼みを聞いて装備品をもらう、みたいな要素もあるにはあるんですが……
装備品は1コしか装備できない上に、これが別に強力なワケでもないから達成感も皆無。こんなならまだ「実績リスト」みたいのを用意してペケ印が付くだけの方が達成感あるわ!
原作があるから「ストーリーモード」が短いのは仕方ない、と諦めるとしても……
「ミッションモード」は序盤の「ただ敵を倒せ!」みたいなミッションをクリアしないと後半のバリエーション豊かなミッションが登場しないとか、ミッションモードを全部クリアしてももらえるポイントが少ないので「バトルロイヤルモード」のキャラは3分の1くらいしか集まらず、延々と同じミッションをクリアしなければならないとか。全体的にこのゲーム、「遊び手の気持ち」を考えていなさ過ぎです。
「バトルロイヤルモード」も……うーん。
このモードを楽しみにしていた人は『熱血行進曲』が好きだった人が多いと思うんですが、『熱血行進曲』のキャラは全員弱体化しているのでガッカリするんじゃないかと思います。そりゃくにおくんシリーズの色んなキャラを集めて対戦させるのだから、『熱血行進曲』のキャラだけ強い、というワケにもいかなかったのかも知れませんが……
『熱血行進曲』の魅力って「強さが不平等」だったところにあったじゃないですか。
たいりょくの関係で強いキャラを休ませて、弱いキャラで強いキャラと戦わなくちゃならない―――とかが面白かったワケじゃないですか。オールスターキャラを集めて対戦させる、しかもそのために強かったキャラを弱体化させるんだったら、これはもう『熱血行進曲』とは別物ですよね。
4つもモード入れて全部が中途半端になるのなら、どれか1つに絞って仕上げてくれた方が好感が持てました。
「色んなモードがあります!って言った方が売れるから……」みたいな安易な気持ちでモードを増やすんじゃないよ!
○ 総括
ということで……全体的に「25周年に合わせてムリヤリ発売させた」感の強い作品でした。
パッケージ開けたら「こうやるとフリーズ起こるからやらないでね!」というペラ紙が入っていたくらいですし。
シリーズを知らない人には遊びづらいゲームだと思いますし、シリーズを知っている人ほど「これは俺の好きだったくにおくんじゃない……」感の強いゲームだと思いますし、ファンアイテムとしてしかあまりおすすめ出来ないかなぁ……と思います。
グラフィックはファミコン風なのにチラツキもなくて観やすくて素晴らしかったと思うんですけどね。そこだけかなぁ。そこ以外は、あらゆる面でファミコン時代の作品の方が上だったと思います。
あとまー、これはこの作品だけに言えることじゃないんですけど。
この手のマイナーソフトで「人数分ソフトを持っていると協力&対戦プレイが出来ますよ!」というマルチプレイを売りにされても、マイナーゲームを全員が持っていることなんて滅多にありませんから、そんな機能はないのと一緒、くらいだと思うんですけどね。頑張って(ソフトが1本あれば遊べる)ダウンロードプレイに対応してくれればファン拡大にも繋がるだろうに。
今作のダウンロードプレイは「キャラクターやステージを選択することは出来ません」とのことで、これでPVに「ソフトが1本あればダウンロードプレイで家族みんなで遊べるよ!」と書くのはどうなんだ。 |