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【『貧乏姉妹物語』感想】
 第1話:「浴衣と花火とりんご飴の日」
 第2話:「大家さんとスイカとお見舞いの日
 第3話:「にんじんと嘘と越後屋姉妹の日」
 第4話:「香水とあすと授業参観の日」
 第5話:「アパートと桜と引っ越しの日」
 第6話:「さびしさと銀子とお姉さまの日」

 公式サイト



■ 『貧乏姉妹物語』 スタッフ&キャスト
<スタッフ>
 原作:かずといずみ(小学館「月刊サンデーGX」連載中)

 シリーズディレクター:貝澤幸男
 シリーズ構成・脚本:和泉鶴
 キャラクターデザイン:高村和宏
 総作画監督:上野ケン
 美術デザイン:佐南友理
 色彩設計:小日置知子・辻田邦夫
 編集:麻生芳弘
 録音:川崎公敬
 音楽:小坂明子

 OPテーマ:「深呼吸」Splash Candy(東芝EMI)
 EDテーマ:「そよかぜらいふ」酒井香奈子(フロンティアワークス)

 アニメーション制作:東映アニメーション
 製作:貧乏姉妹物語プロジェクト


<キャスト>
 山田きょう:坂本真綾
 山田あす:金田朋子
 越後屋金子:進藤尚美
 越後屋銀子:小桜エツ子
 林源三(大家さん):麦人
 三枝蘭子:平松晶子








■ 『貧乏姉妹物語』 第1話 「浴衣と花火とりんご飴の日」
脚本:和泉鶴 絵コンテ・演出:貝澤幸男 作画監督:中野彰子

 原作既読。コミックス持ってます。大好きな作品です。
 ただ、この作品は“自分は大好きだけど他人に薦められるかは微妙”と思っていた作品なので、アニメ化が決まった時にはフクザツな心境でした。漫画以上に一般受けが必要な深夜アニメで、しかも放送局少ないからパイも少ないし。全10話とは言え、アニメ化するだけの尺があるワケじゃないですしね。

 ただ、第1話は想像以上に面白かった。
 原作名エピソードの浴衣の話と相合傘の話(アニメだと相合傘じゃなかったけど)を上手く組み合わせたというのもありましたし、原作では端折られた心理描写をキチッと入れているというのもあり。原作ファンとしては、かなり好感度の高い第1話でした。また・・・アニメにされるとアパートがボロいんですよね(笑)。原作好きな人は満足な1話だったんじゃないでしょうか。




 ○ 坂本真綾はイメージ通り、金田朋子は想像以上にロリ声ですね・・・
 好きな漫画がアニメ化されても観ないことがほとんどの僕としては、珍しく原作→アニメと流れたこの作品の場合は声がイメージに合わないんじゃないかと不安だったんですが。漫画を読んでる際に声のイメージを持ったりはしてなかったのか、それほど違和感がありませんでした。

 坂本真綾は恐ろしいほどイメージ通り。というか、きょうはこの声以外にありえないだろってほどに。
 金田朋子は想像よりは高かったかなぁと思いましたが・・・あすは顔立ちが結構大人っぽいので、これくらいロリロリな声でないと年齢相応には見えないでしょうしね。ドラマCDが釘宮理恵だったことも考えると、この路線で間違いないとは思います。


 ビックリしたのは、突然お母さんが喋り出したこと。なんか、この終わり方だと超能力漫画みたいだ・・・!
 原作は“家族”というよりも、姉妹がガチで百合に走っているようなイメージでしたが。お母さんが入ることで“家族”としての意味合いが強くなったかなーと思います。ガチ百合はガチ百合で大好きですが、色んな話を作るに当たっては百合一本だと厳しい面もありますし、これはこれでアリだとは思います。あとは、今後にどれだけ“家族”であることを話に絡められるか・・・




 ちょっと「今時それはないんじゃないの?」というようなこっ恥ずかしい演出も幾つかあったんですが(笑顔で花びら舞ったり、顔がイメージで浮かび上がってきたり)・・・デフォルメ表現は可愛くて、こうやってアニメ独特の面白さを出していけば化ける可能性はあるんじゃないかなーとも思います。ブタさん貯金箱が汗かいてるのに萌えた・・・



 ○ インパクトを取るか、堅実さを取るか
 原作既読なので、ある程度の内容は予想がついてしまうのは確かなんですが・・・浴衣の話と相合傘の話を組み合わせたことによって、二人の絆となっていた傘を広げて妹を呼ぶシーンは予想してなくて、うるっと来てしまいました。相合傘のエピソードもそれだけならそれほどの破壊力にはならないと思うんですが、きょう視点・あす視点を切り替えることで、それぞれの存在がどれだけ互いの支えになっているのかを描写していて―――原作を上手く調理しているなーという印象でした。

 というワケで、個人的には凄く楽しい第1話だったんですが・・・・・・
 こういうのは、事前に“二人がどれだけ一緒にいるのか”を描いておいてこそ、二人が別々に走っている意味が重くなるのですし。姉妹がどれだけ普段節約してやりくりしているのかを描いておいてこそ、出店を楽しみにする妹や、妹に浴衣を着せてあげたい姉が活きるというものですし。第1話としてハデさとインパクトを十分に備えていた分、原作未読者に対しては不親切だという気もしました。

 まぁ・・・今の深夜アニメの量からすると、第1話でタラタラと節約する様を描いているだけなら見限られてしまう可能性も高いですし。こういう構成にしたキモチは理解出来るんですが・・・Aパートは日常で、祭りの話はBパートで行うという方法もあったワケで。うーん、でもそれだと相合傘のエピソードが入りきらないから“ないものねだり”になってしまうんですよね。構成って難しい・・・



 第1話は実質二人しか出ていなかったんで、今後にキャラが増えてくるのを期待しています。
 個人的には越後屋姉妹に早く登場して欲しいかなー。銀子のキャラはアニメの方が可愛く描けそうですし。


 








■ 『貧乏姉妹物語』 第2話 「大家さんとスイカとお見舞いの日」
脚本:和泉鶴 絵コンテ・演出:渡辺純央 作画監督:竹内昭

 
幾らなんでも、姉妹抱き合い過ぎなんでは・・・
 抱き合うだけじゃなく、頬紅潮させたり、「大好き!」とか言ったりしてますし。家族モノとして観ている人も多いでしょうし、引く人は引いてるだろうな・・・と思いつつ。だが、そこがイイ!!どんどんイチャつくのを希望。


 というワケで、今週は大家さんメインの話なんですが・・・実際には姉妹の仲良しっぷりを堪能するだけの回とも言えます。これ・・・昼間の時間帯ならコレで良いと思うんですが、深夜アニメとして観ると一味足りないような気もします。原作の上手い再現&再構築だけでなく、もっとアニメスタッフ独自の締めを見せてもらっても良いんじゃないかと一原作ファンとしては思います。



 ○ もちろん脚本としては上手いんですけどね
 第1話であんまり“貧乏”の方を描けなかった分、この作品の根底である“貧乏に関係なく幸せ”をどう描いていくんだろうと不安になっていたのですが。夕食の献立で貧乏っぷりを説明完了!皮肉じゃなくて、この潔さは素直に上手いと思います。食卓のメニュー一つで暮らしって分かるもんですし、「あ〜お金ない、お金ない」とセリフで言われるよりはよっぽど説得力があるんじゃないでしょうか。

 姉妹が大家さんの見舞いに行く理由も、冒頭からのきょうの「あすがいるから幸せ」というセリフに繋げていているので納得できますし。1話の尺としてはそのままアニメにするのは非常に難しい原作を、よく噛み砕いて1話のアニメにしてるなーという印象を受けます。



 ただ、一つのアニメとして観た場合。イマイチ作品の世界観が伝わりづらいんじゃないかなーとも思います。
 これは・・・まぁ、原作もそうなんですが。設定としては“労働基準法が改正され、中学生も労働できるようになった”日本ということだったはず。アニメとして突き詰めていくと、「何故少子高齢化の今そんなことに」とか「家庭のありかたが変わったということなのか」とか「言われてみれば、普通に親と子の家族って出てこねーな」とか「そんな世の中で、きょう・あす姉妹って周囲からどう思われているんだろう」とかとかとか・・・疑問=面白そうな題材は湧き出てくるもんなんですが。
 そうした要素を全スルーで、ひたすらイチャイチャしてるだけですからね(笑)。中学生が働く社会なのに、中学校自体は現実世界とほとんど変わらんですし。原作が元々少ないページ数の連載だった(1ヶ月8ページ)ということもあって、原作はそれでもイイとは思うんですが―――アニメとしては、開き直ってオリジナルな設定説明をぶつけてきても良かったんじゃないかなーと思うのです。

 でも、そうか・・・それは東映の狙うところとは違うという気もしますね。社会派アニメじゃなくて、ほんわかアニメを目指してるんだから、これで良いのか。



 ○ オープニングの桜、毎回やるんだ!
 1話目は夏の話なのに何故桜?と思ってましたが、あれはOPの一環だったのか・・・
 作画は美麗なんですが、10回繰り返されると飽きてしまいそうで・・・・・・アニメ本編の方も同じく、飽きさせずに10話観させるというのは大変なことですからね。コミックスが今月3巻まで出ますから、1冊3話ちょっとずつでピッタシ―――来週が越後屋姉妹の話なので、ペース的には話が余るくらいなんですが。僕としてはアニメオリジナルの話をカンフル剤として入れて欲しいかなぁと思います。


 しかし、唐突にお隣さんが出てきたのには笑った。
 状況説明とキャラ紹介を兼ねた脚本意図だとは分かるんですが、いきなりあんな怪しい人が出てきたら、視聴者としては大家さんの容態どころじゃなくなっちゃうんじゃないかと。自分の部屋でもサングラスですしね、いい大人がどうして姉妹と同じアパートに住んでるのとか・・・色々と考えてしまわないか心配です。

 まぁ・・・でも、お隣さんが一番応用が効くキャラというのも確かなんで。早いトコ掘り下げておきたい、その為には事前に伏線を張っておきたかったということなのかな?



 爆発する要素はそれほどではなさそうですが、手堅くお話を作って安心して観れるアニメになってるかと。
 それにしても、EDの酒井香奈子の歌が耳に残りますね・・・アニメソングは巧拙ではないと改めて確認しました(誉め言葉)


 








■ 『貧乏姉妹物語』 第3話 「にんじんと嘘と越後屋姉妹の日」
脚本:和泉鶴 絵コンテ・作画監督:桜井木の実 演出:みくりや恭輔

 ゲスト(?)として酒井香奈子が出ていたみたいなんですが、どの役だったんですかねー。
 あすのクラスメイトかな?と思ったんですが、“学校の子ども”は“学校の子ども”としてクレジットされていたし・・・フルネームが出てるようなキャラなら再登場する可能性もあるのだと期待しています。



 ○ というワケで、今週は越後屋姉妹の話
 きょう・あすと対比される意味もあるし、キャラ単体としても魅力的な彼女らですから楽しみにしてたんですが・・・
 うーん。思ったより、原作の彼女らの魅力は出ていなかったかなという印象。アニメはアニメとして上手くまとめているというのは間違いないですし、それについては後述するんですが―――金子も銀子もちょっと個性が出ていないカンジでした。

 銀子はほとんどツンデレな部分が見えてこなかったのが残念。これは脚本というよりも演出の問題なのか、それともキャスティングの問題なのか。真っ当に健気で可愛い小学生になっちゃっいましたね。名作劇場っぽくはあるし、越後屋姉妹に焦点をあてるならコレでも良いとは思うんですが・・・むしろ僕は妹同士のやり取りが好きだったので、そこをもうちょっと掘り下げてツン・デレ〜に描いて欲しかったです。
 この辺を考えると、『ストパニ』のさくにゃんとかは凄いんだなーとつくづく。セリフ1コで「あ、ツンデレだ」と思わせるパワーがあるのですから。この作品のキャスティングも手堅いんですが、その分インパクトが薄れちゃったような気もします。

 でも、個人的には金子の方が不満。
 原作ではワニに肉をあげるシーンで終わって、その後に銀子が金子からお仕置きを受けることが暗に匂わされて終わるんですが―――アニメではお仕置きシーンも銀子が泣き叫ぶ様子もカットされているので、単に“妹想いの優しいお姉さん”と思えてしまうのが勿体なかったかなーと。もちろん倫理的に「折檻」と取れる表現はマズかったんでしょうが、厳しい姉としての側面を見せておいてこそ、きょうに語った妹想いの側面(ここはアニメオリジナル要素)が活きてくるのになーと思っちゃいました。



 元々、この『貧乏姉妹物語』の原作は“みんないいひと”というのがベースな世界観でいて、その中で唯一エキセントリックなのが越後屋姉妹だったと思うんですが。アニメ化に際しては“みんないいひと”の世界観を守るために、越後屋姉妹をマイルドにしてきたということなのかなと。
 それはそれで一つの答えだと思うんですが、結果として越後屋姉妹の魅力が伝わらなければ・・・・・・うーん。
 進藤さんの金子は思ったよりもシズルシズルしていなかった印象ですが、黒モードになった瞬間だけ片鱗が(笑)。この辺は芸だなーと感心しましたよ。



 ○ でも、脚本としてのまとめ方は非常に上手い
 
「私・・・銀子ちゃんの気持ち、分かるよ。
 妹はね・・・妹はね、お姉ちゃんが大好きなんです。
 だから嫌われないように、ウソをついてでも期待に応えようとしてしまうんです。
 どんな姉妹でも、まだ気持ちが通じ合っていなくても・・・これからもずっと一緒に、安心して暮らせるように願っているから」


 悶えた。
 このシーン、デフォルメにするようなとこでもないでしょうが顔がやけに丸っこくて。それが何か非常に可愛かったです。

 この辺、原作では曖昧なまま終わってしまった部分をオリジナルでキレイにまとめてきたと感服いたしました。
 上述した通り、原作ではワニのシーンで終わっていて。銀子のついたウソに対して金子がお仕置きに引っ張ってって終わるというものでした。好きなエピソードではあったんですが、きょう・あす姉妹が苦労してあげたお肉がワニの餌だったり、ウソをついた報いが折檻だったり、そもそもそのウソをついた銀子のキモチはどこから出ているんだとか、きょう・あすにも責任あるんじゃないかとか―――多少、消化不良のトコがある話だったのも確かです。

 アニメではそれを踏まえ、銀子に挽回のチャンスを与え。挽回は出来なかったんだけど、その様子を金子はそっと見守り、銀子は銀子で本当のことを姉に伝えようと勇気を絞ります。また、その背中を押してあげたきょう・あす姉妹の方も、越後屋姉妹の描写を通じてより一層絆を深めるなど―――金子のキャラが見えにくくなっちゃったのは残念ではありましたが、雨が上がって夕陽が輝くシーンなどなど、脚本・作画共に美しく、“原作の一歩向こう”を丁寧に描いていたと思います。

 それを見事に言語化したのが、最後のあすのセリフですしね。うーん、見事。
 惜しむべくは、金子もきょうも、お姉ちゃんサイドから見た妹像が消化不良に終わってしまったことかな? 妹に厳しくして自立させようとする金子と、ただイチャイチャしてるきょうも、対比させれば面白いものが描けそうな気がするんですけどね。




 とは言え、全体的なレベルでは満足です。あとはキャラの魅力がなー、イマイチ出ていないのが勿体ない。
 もう一押し、細やかな配慮をしてくれるだけで違うのにともどかしいキモチです。


 








■ 『貧乏姉妹物語』 第4話 「香水とあすと授業参観の日」
脚本:和泉鶴 絵コンテ:藤原良二 演出:杉山慶一 作画監督:江上夏樹

 あすの担任役に國府田マリ子登場。
 え・・・・・?何で・・・?依然として、一言だけの役に酒井香奈子が出ていたり。チョイ役にムダに力を入れる仕様となっているのか!まぁ・・・普通のドラマで言う“友情出演”みたいなものなんでしょうけど、アニメにもこういうのあるんだなーと思ったり。だって、声だけだったら誰か分からないまま終わっちゃうもんじゃないですか(現にクレジット出るまで気付かなかった・・・)



 本編は、原作で言う授業参観の回に、お隣さん初登場の回を上手くミックスしてきました。
 個人的に、原作の授業参観の話はあんまり好きじゃなかったんですが・・・コレにお隣さん視点を1回入れて客観視することで、一歩引いたところに彼女らのイチャイチャや悩みが伝わってきて、原作よりも完成度が高かったんじゃないかと、アニメの構成技術に感心させられました。てゆうか・・・多分、原作での思い入れがない回ほどナチュラルに楽しめてるような(笑)



 ○ お隣さん登場!・・・いや、2回目だけど
 原作ではもちろん財布を拾うシーンが初登場なんで怪しさ満点でしたが、アニメでは2話に一度出て顔見知りになってるからどうなんだろうなーと思っていました。その辺は上手く「知ってる人だけど怪しい」とかでゴリ押ししてたのが面白かった(笑)
 ただ、お隣さんが山田姉妹の存在を知っていなければ今週のような会話は出来なかったので、結果的に2話目で登場させておいたのは大成功だったかと思われ。“大家さんの入院を説明”なんて役割は別に彼女でなくても良かったのだから、恐らくは今週から逆算して2話目に登場させておこうという考えだったんじゃないですかね。


 ケーキのシーンでは、あす→きょうへの「お姉ちゃんなら私と同じことをするよ」という信頼を後の授業参観に上手く繋げ。その後の帰り道のシーンは、お隣さんが山田姉妹の真意に触れることによって、その後にあすにスーツを貸す理由付けになっていたのも上手かったと思います。
 主人公が彼女ら二人だから気付かないんですけど、この作品の世界観の中でも山田姉妹のイチャイチャは異常なんですよね。イチャイチャもそうだし、頑張りも。だから、単純に姉と妹でイチャイチャされるだけじゃ二人の苦労や悩みはなかなか伝わってこなくて。ですけど、お隣さんだとか、越後屋姉妹だとか、第三者の視点から山田姉妹を描き直した時に面白さが出てくるものなのです。そういう意味で、原作ではイマイチ好きになれなかった授業参観を、お隣さんを絡めることで上手く二人の悩みを描いてきたなぁと好印象でした。


 一応、お隣さんの正体(職業)は謎なのね・・・
 こちらとしては職業よりも、どうして部屋の中ですらサングラスなのかが知りたい(笑)。アニメだとカットされてましたが、原作だとすっぴんにサングラスというありえない格好で家にいたし・・・あと、美少女好きという設定もよく分かんないし・・・



 ○ 理解と被理解に焦点をあて直し
 この作品・・・あすは世界で一番お姉ちゃんが好きだし、きょうは世界で一番妹が好きだし。基本的な作品構造としては、両思いの恋愛劇に近いものがあるのかも。二人とも本当に想い合ってることは視聴者には分かっていることなのに、当人達は気付いておらず、「身を引くことも相手のためなんじゃないか」と悩み葛藤することが話の大本になることが多いです。浴衣の回もそうですよね。

 そうした心理描写に絞って見てみると、非常に丁寧なことに気付きます。
 きょうは妹の授業参観に行きたいけど、自分が行くことで妹が恥ずかしい想いをするんじゃないかと悩むワケです。だから、せめて大人っぽく飾れば誤魔化せるんじゃないかと、香水に象徴されるように、自分じゃない“誰か”になることであすの母親代わりになろうとした・・・というのは本音じゃなく、“あすが恥ずかしがるような自分だったらイヤだな”というのが彼女の本心だったみたい。
 一方のあすの方はと言うと。本音では来て欲しいのだけど、姉に負担をかけたくないし、「お母さんがいないんだから私が!」と姉に負い目を感じてもらいたくないってことなんでしょう。あすにとって、お姉ちゃんはお姉ちゃんだからこそ好きなんで、ムリして“自分じゃない誰か”になろうとして欲しくなかった・・・と。

 このキモチのすれ違いが、「私はあすが本当に望むことを分かってやれない」ときょうに思わせてしまうんですが―――きょうがこの葛藤を裏返す前に、あすの方がケーキのシーンでしっかりと「お姉ちゃんだったら私と同じことをすると思うから」と裏っ返しているんですよね。だから、あすの想いがきょうに伝わり、「ありのままの自分で良いんだ」と制服のまま授業参観に迎える・・・知っている話なのに、構成し直されると一つ一つのシーンの意味が強まって、最終的にはポロポロ泣いてしまいました。ケーキのシーンは原作では別の話だったので、完全に技術の勝利でした・・・よくぞ、この話をここまで感動的なものに・・・



 と思って原作を読み返してみたんですが、基本的には言ってることや、きょうの葛藤の部分は原作から一緒なんですよね。ページ数の問題で詰めて描かれているのを、うまく“間”とテンポを調節して30分に構成してるだけで・・・もちろん、それが一番難しい部分なので。何だかんだこの作品、アニメ化大成功の一例になるやも知れないと思ってみたり。


 








■ 『貧乏姉妹物語』 第5話 「アパートと桜と引っ越しの日」
脚本:和泉鶴 絵コンテ・演出:岡佳広 作画監督:村上直紀

 原作屈指の名エピソード、引越しの回ということで・・・これまで原作が好きな回はイマイチ楽しめなかった僕としては、ちょっと不安だったんですけど。いやぁ、良かった。話を全部知っているのに、思わず泣きそうになるというのは演出の力だろうなーとつくづく思います。もちろん、アニメはアニメで原作にない一本の筋を通しているからってのもあるんですが・・・

 原作はページ数の関係で、どうしたって詰め込みすぎなところがあるので。そこに“間”を加えて、行間を読みやすくしているのは好印象。ハデさはないし、何か特筆するほどの魅力があるワケではない作品ですが(イチャイチャ姉妹が好きなんだ!という人にとってはコレ以上ない作品ですけど)。こういう地に脚ついた作品も悪くない・・・
 惜しむべくは時間帯なんですよねー。ホント、親子が揃って観れる時間帯に放送してもらいたかった。資本の問題とかもあるんでしょうが。ホント勿体ない。



 ○ イチャイチャし過ぎる姉妹は“タメ”だったか
 この辺、原作からこの作品にどっぷり浸かっている僕には違和感なく受け止められていたんですが・・・他のアニメ感想サイトさんなんかをまわってみると、“姉妹の世界で完結しすぎ”という意見が多くて。確かに言われてみれば、前回も前々回も、色んな人が姉妹を見守っているのに姉妹は姉妹だけで手を繋いで歩き出すみたいなラストだったんですね。そうした着眼点というかツッコミは凄いなぁと思いつつ、スタッフとしてはそれも計算に入れた上での今週の内容だったみたいです。


 今週も冒頭から、やたら顔をくっ付けて手を“恋人繋ぎ”で繋いで「もうお前らチューしちゃえよ」と言いたいくらいイチャイチャしてた姉妹だったんですが。どんなに辛いことがあっても姉妹で寄り添って生きていこうという台詞、逆に言えば「世界中で自分たち以外には頼れない」という裏返しでもあるんですよね。
 これは単純にきょうの頑張り屋さん体質のせいなのかも知れませんけど、父親がギャンブルで借金作って逃げ出した経緯からすると、きょうが多少人間不信になって妹と共依存がちになるのも分からなくもないかなあぁと。原作に最初からそういう意図があったとは思えませんけど、この『貧乏姉妹物語』という作品、共依存というある意味でネガティブな姉妹の関係を、姉妹以外の人達と交流することで、ポジティブな意味での支えあう姉妹関係に昇華していこうという話なのかも。原作での叔母さんの話なんかは、まさにそんなカンジでしたし(これも是非アニメ化して欲しいエピソードです)


 というワケで・・・少なくとも今週Aパートのイチャイチャは、スタッフとして否定的に描いているような印象。
 銭湯でオバチャン連中が心配してくれたり、お隣さんが声をかけに来てくれたりしてるのに、「姉妹一緒なら何とかなるよ!」と外界をシャットアウトしちゃっていましたし。ちょっときょうはカンジ悪くて、心配してくれている大人たちが不憫に思えました。


 なので、ちょっと唐突に姉妹が荷物持って出て行ったことも。大家さんを気遣ってというよりも、大家さんに頼っては生きられないというネガティブな気がしました。大家さんは姉妹を見守るのと同じように、桜の花を守っていたのに、それに気付く余裕さえこの時の姉妹にはなかったんですよね。

 そうして、出て行った姉妹ですが・・・大家さんの真意を知って、なおかつあのアパートが好きだということを思い出して戻ってきます。姉妹以外にも自分を見守ってくれる大家さんや、沢山の人の存在に気付いたこと。そして、そういう人に囲まれて、自分たちもそういう人達が大好きだということに気付けたからなんですよね。
 抱きつくのはちょっとあざとくね?とは思いましたが、姉妹が「大家さんが大好きです!」と叫んで、大家さんが赤くなるシーンは。ベタではあるんですけど、姉妹だけの世界で完結していたこの作品の世界観を広げる見事な演出だったと思います。こうして山田姉妹に一本筋を通すことで、来週以降は姉妹以外のキャラがメインでも成り立つようになりました。




 このイチャイチャ姉妹の依存とか、季節外れの桜の花とか、これらのエピソードは完全にアニメオリジナルな要素なんですけど。原作の名エピソードを、アニメスタッフが独自に解釈して、見事に30分のアニメとしてまとめてきていたと思います。ページ数の少ない漫画をアニメ化する際、ダラダラとどうでもいいシーンで尺を埋めたり、原作での違う話を引っ張ってきて1話に繋げたりするもんなんですけど。この作品のようにアニメスタッフ独自に味付けしてもらえた方が、“アニメとしての”魅力が出ているように思えます。

 面白かったー。この流れで来週は銀子メインの話みたいで、次も楽しみ♪
 山田姉妹は一先ず昇華し終わったので、ここから数週はサブキャラにスポット当てた方が盛り上がりそう。




 そうそう・・・何気に高層マンション建ててる建設会社の名前が出てて笑いました。
 一応、伏線のつもりなのか・・・? お隣さんの件といい、こういうところに気を配らないのはこの作品らしいですけど。だから深夜アニメという気がしないんですよね。NHK教育の7時半枠とかが向いていると思われ。


 








■ 『貧乏姉妹物語』 第6話 「さびしさと銀子とお姉さまの日」
脚本:和泉鶴 絵コンテ・演出:宇田鋼之介 作画監督:田島直

 女子小学生が、女子小学生&女子中学生の私生活を覗き!!
 音まで聴こえる望遠鏡って何やねんとか、カーテンくらい閉めようよとか、銀子の犯罪行為に対してメイドさんの「やめた方が・・・」という台詞だけで済ませて良いのかとか、色々とツッコミばかりが先行して。本来描くべきだった銀子→金子とあす→きょうという二組の姉妹の対比がイマイチ霞んでしまった印象です。せめて・・・覗きに対する罰だったり、謝罪があればなぁ。


 望遠鏡での覗き以外は原作通りで、上手くテーマを噛み砕いて構築し直していると思いましたし。やろうとしていることは間違っていないと思うんですけど。肝心なところで原作のまんまに依ってしまうから、オリジナルな部分(今週で言えば覗き)が宙ぶらりんで終わってしまうような・・・



 ○ 山田姉妹を第三者視点で描き直し
 先週の感想でも書きましたが、先週までで山田姉妹の(過度な)依存はネガティブからポジティブに裏返っていますし、周囲の大人たちとの関係もキッチリ描けたと思います。なので、今週は一歩引いて“銀子から見た山田姉妹”とともに“山田姉妹と越後屋姉妹の対比”というお話でした。この構成自体は良かったと思いますし、狙い自体は原作も同じようなものでした。

 ですが、原作のままだと尺が持たないからなのか、銀子が超高性能望遠鏡で山田姉妹を一日中監視というアレなオリジナル要素が追加されていて―――この作品のアニメオリジナル要素は、これまではイイ味付けになっていたのに、流石にこれはちょっと・・・立派に犯罪行為ですしね。
 超高性能望遠鏡なんて実在しない(多分)モノを使うなら、『Dr.スランプ』系発明漫画のように“追跡ロボ!”とか出して非現実的に描くとか、逆に自分の脚で尾行させるとか・・・色々と誤魔化す手はありましたが、どの場合であっても銀子の行為は作中の誰かが注意しなければならないでしょう。これじゃ、悪いことやったのび太が罰を受けない『ドラえもん』みたいでね・・・ちょっとなぁ。



 でもまぁ・・・この一点を除けば、“銀子から見た山田姉妹”と“山田姉妹と越後屋姉妹の対比”という二つの狙いはそこそこ成功していたと思います。原作では詰め込まれていて気付かなかった部分も分かりやすくなってましたし、銀子が単に横暴で自分勝手なだけのコではなく、コンプレックスと寂しさに塗れたコだというのもちゃんと伝わってきました。
 3話ではイマイチだと思っていた金子のキャラも妙なところで立ってきていて、それに対して銀子がツッコむというスタイルが確立してきたのも収穫。というか、この作品にツッコミって銀子しかいないんだから、もっと彼女の出番を増やしてあげればイイのね。洗濯物を畳むという金子のアニメオリジナルな行動と、進藤さんの演技も良かった。地力はあるんですよ・・・ホント。あと一歩の詰めが甘いだけで。



 ○ 今後の展開を考える
 多分・・・アニメ感想マラソンの成績を考えると、この作品の感想は今週がラストでしょうから。ちょっと先を考えてみます。
 既に発表されている次回予告から考えるに、来週(7話)がバレンタインの話、8話が一ノ瀬さんの話みたいです。全10話ということなので、残りは2話。恐らく、1話は病気の回でしょうから・・・叔母さんの話を始めとした3巻の話はほとんど入らないんじゃないかと思います。3巻ラストの桜の話や、越後屋姉妹の節約話、遊園地の話など、3巻のエピソードが好きな僕としては残念な結果に。アニメの制作スピードを考えると、ある程度は仕方ないとは思うんですが。


 この原作をアニメ化なんて一体どうやって話を繋げるのだろうと、原作ファンの僕ですら思っていましたが・・・総じて、上手くまとめていたと思います。第5話なんかは本当に原作ファンに見てもらいたい秀逸な出来でした。だけど・・・やっぱりちょっとアニメ化は時期尚早だったのかも。原作が軌道に乗り始めたのが最近だということを考えれば、もうちょっと巻数が増えてから2クールモノとか、朝の時間帯にやった方が良かったとも思います。
 深夜アニメということで、姉妹のイチャイチャも「仲良い姉妹萌え〜」という僕みたいなアレな視聴者ばかりだったでしょうが、実際にきょうやあすと同じ年頃の子どもに見せて「姉妹って大切だよね」と思わせられる家族向けアニメという方が面白くなったんじゃないかなぁ。確かに・・・子ども向けアニメにしては商品展開が難しい作品だとは思うんですけど。出来が良かっただけに、勿体なさばかりが目立っちゃった2ヶ月間でした。


 まぁ・・・感想は書かなくなるでしょうが視聴は続けるので、ここから大化けすることを期待していますよ。


  





 アニメ感想マラソンの結果(参考)により、この作品の感想はここまでです。
 ご愛読ありがとうございました。





自作漫画を描いています
▲ 『ちのしあわせ家族』連載中。よろしければどうぞ。


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