| 『アルバートオデッセイ』(SFC/SRPG) |
〜2010.12.4 |
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スーパーファミコン用/シミュレーションRPG
サンソフト/東海エンジニアリング
1993.3.5発売
Wiiバーチャルコンソール用
2010.10.19配信開始/800ポイント
公式サイト
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※ この紹介記事はWiiバーチャルコンソールにてリメイクされたものをプレイして書いているので、オリジナルのスーパーファミコン版とは内容が異なっている可能性があります。
90年代前半は、日本のRPGにとって最も幸せな時期だったのかも知れません。
『ドラゴンクエスト』『ドラゴンクエストII』『ドラゴンクエストIII』の大ヒットにより、後追いのRPGが大量に発売されたのが80年代後半でした。その中から「ドラクエとの差別化」を何とか出そうとする作品が生まれ、90年代に入ってからは(当時の)次世代ゲーム機の力で「新しいシステム」をRPGに導入していく流れが出てきます。
フリーシナリオの『ロマンシング サ・ガ』(92年)、1000回遊べる『不思議のダンジョン』(93年)、正義とは何かを描いた『オウガバトル』(93年)。『ファイナルファンタジー』『ゼルダの伝説』『ファイアーエムブレム』等の前世代機から引き続いたシリーズも、90年代前半にシステムが確立することが多く、RPGというジャンルに最も進化と多様性が見られた時期だったのかも知れないと思うのです。
『アルバートオデッセイ』も、当時のゲーム雑誌にそうした「新しいシステムのRPG」の一つとして紹介されていたのを覚えています。
このゲーム、当時のゲームと比較しても見劣りする部分は多いです。
まず操作性が良くないですし、コマンドが使いづらい。キャラが動く時にいちいちフィールドが回転する謎仕様と、移動をキャンセルするたびに同じ道をテクテク歩いて戻るのが非常にイライラします。町の中の移動速度も遅く、町の中を探索する楽しみもそれほどないし、宿屋に泊まるために一人一人を町に戻すのに非常に面倒な手順を踏まなくてはなりません。
ストーリーは、自分は嫌いじゃないですけど、万人受けはしないと思います。全体的なボリュームも、当時のRPGとしても短めかなというところ。
でも、“ゲームのルール”が凄く面白いんです。
この一点だけで、他の全ての欠点に目を瞑ったくらいに面白かったです。「あ、ゲームはコレでイイんだ」と思いました。
万人にオススメ出来るゲームではありません。少なくとも2010年の現在では。
でも、このゲームにはこのゲームにしかない魅力があるんです。
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○ SRPGとRPGの融合
「RPGにSRPGの要素を足した」というよりは、「SRPGにRPGの要素を足した」と表現するのが分かりやすいでしょうか。
『ファイアーエムブレム』や『スーパーロボット大戦』などの王道SRPGは、「第1章」「第2章」のように一つのステージをクリアすると次のステージに切り替わるというスタイルですが。『アルバートオデッセイ』は、町の外に出たら「さあ!好きなところに行け!」と広大な世界を自由に移動出来るスタイルなのです。移動方式は『ファイアーエムブレム』のようにキャラを一人一人移動させる方式なのに。
ストーリーの進行はありますし、目的地はその都度教えてくれるのですが――――
SRPGのシステムで世界を自由に歩き回れるということは、『ファイアーエムブレム』や『スーパーロボット大戦』では実現が難しい「詰まった時に“レベル上げ”に逃げる」ことが出来るということです。奇をてらったシステムのようで、実は非常に合理的なシステムなんです。
このゲームがどういう層に向けて作られたのかというと……
「RPGは好きだけど、SRPGって難しそうだなー」と思う人に向けて作られたゲームなんだと思います。
難易度も高くないですし、ボリュームが短めなのもその配慮なのかも知れませんね。その割には当時の定価は9600円ですけど(笑)。
味方側のメンバーは最大4人。
『ファイアーエムブレム』や『スーパーロボット大戦』などでは15人とかを操作するので、そっちに慣れていた自分は「4人って!」「少ないなぁ」「戦略性とかないんじゃないの?」と思いながら始めたのですが―――ところがどっこい、4人で十分な“ゲームのルール”なんですよ。
1.キャラは「移動力」が尽きるまで、ターンの間でも何回でも移動できる(『エムブレム』の騎馬ユニットみたいなカンジ)
2.キャラはそのターンの間に「攻撃」と「特殊コマンド」を1回ずつ使える
3.「攻撃」をしても、他のSRPGと違って「反撃」されない
これらが『ファイアーエムブレム』や『スーパーロボット大戦』と大きく違うシステムですね。
つまり、4人のキャラなんですが、実質8つのコマンドを1ターンに使えるんですよ。
途中「行動終了した味方を元に戻す」特殊コマンドを使える仲間が出てくるので(『ファイアーエムブレム』でいうところの“踊り子”)、+2で1ターンに10コのコマンドと考えられるかな。これらを組み合わせて如何に効率良く敵を殲滅させていくのか、を考えるのが楽しいのです。
「反撃」がない分、何も考えずに突撃すると敵のターンで蜂の巣にされて無残なことになるのですが……
逆に言うと、こっちのターンでは絶対に「反撃」されないのでじっくりと全てのコマンドを活用できるんですよ。より“将棋っぽい”ルールというか、「こっちのターンの間に敵を全滅させなきゃ」的な遊び方が求められるのです。
また、MPの概念がないので「魔法」は毎ターン1回ずつ使えますし、スタートから魔術師の女のコが複数の敵を攻撃出来る魔法(『スパロボ』でいうところの“MAP兵器”)を使えるので。ウンザリするような量の敵も、気付くとあっという間に掃除出来ていたりするのです。このテンポ、この爽快感こそがこのゲームの魅力ですし。他のどのRPGでも、他のどのSRPGでも得られない気持ちよさがあります。
ちなみに、まだバーチャルコンソールで配信されていないので僕自身は遊んでいませんが、このゲームの続編『アルバートオデッセイ2』ではこのテンポやこの爽快感はなくなってしまったという話です。非常に残念。このゲームの良さはどこかに引き継がれていないものか。
○ “ルール”は良かったのだけど……
と、絶賛傾向の紹介をしてきましたが。ここからは「惜しかったところ」のコーナーです。
このゲーム、基本部分の“ルール”は凄く面白かったと思うんですけど、そこで終わっちゃっているんですよ。“応用”させる場面がないのです。だから、最初の「何だこのゲームおもしれえ!」のままラストまで突っ走っていて、流石に途中でダレてしまいました。ずっと同じことの繰り返しなんですもの。
例えば、4人を「2人/2人」に分けて同時に進めなきゃならない場面があるとか―――
このボスを殺さずに「何ターン耐える」みたいな場面があるとか―――
A地点からB地点まで何ターン以内にコレを運ばなきゃならないとか――――みたいな局面があったらなあと思いました。
単純に「敵が沢山います」「急いで殲滅しましょう」という場面だけでなく、様々な使い方をすると面白かったのになぁと思うのです。
基本の“ルール”が面白ければ面白いほどこういうのが活きるんですよ。
『スーパーマリオブラザーズ』は走っているだけで楽しい一方で、「シビアな操作が求められる空中ステージ」があって“応用”されているワケですよ。「うわーん、思いっきりBダッシュしたいよー」とプレイヤーに思わせるためには、Bダッシュばかりでは突破出来ない場面が必要なんですよ。『アルバートオデッセイ』は楽しい楽しい「Bダッシュで駆け抜けられる地上面」だけで構成されたゲームだったなぁと思いました。
惜しいところというと、後半にドカッと「仲間」が入って好きな編成で戦うことが出来るようになるんですが……
仲間になるのがストーリーの終盤な上に、「使っても使わなくてもいいよ」的な扱いなために、使わないまま終わっちゃう人が多いと思います。
こうしたキャラ達を使いたくなる仕掛けがあっても良かったかも。特殊コマンドで「ぬすむ」を持っているキャラがいるから、「○○という敵からはすごいものが盗めるらしいぞ」みたいなセリフを町人が言ってくるとか。それだけでゲーム全体に深みが増したのになぁ、と思います。
○ 総評
ということで、「様々な欠点を吹き飛ばすくらいの魅力を持ったゲーム」なんですが、「流石にその一点突破ではダレる」というのも痛感したゲームでした。バーチャルコンソールなら800円なのでこれくらいで満足なんですが、当時は何千円もしたワケですし。
同じ年に『第3次スーパーロボット大戦』、翌年に『ファイアーエムブレム 紋章の謎』が出たことを考えると……あちらがスタンダードになって、こちらがマイナーに収まってしまったのは、メーカーや版権キャラの違いだけではないと思います。あと一歩のところで時代のスタンダードになれなかったのも仕方がないというか。
とは言え、逆に言うとこういうゲームは今でも珍しいですし、800円で「ちょっとやってみるか」という気持ちでプレイしてみると新鮮なんじゃないかと思いますよ。操作性の悪さは覚悟しなければならないかもですが(笑)。 |